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第百十一話 It burns, it burns, and it blazes up

起きるはずもないこんな時間に目が覚めた原因は二つ。

一つは、異様なにおいを感じたこと。

もう一つは、熱風だった。窓をたたき割り流れ込んでくるとけるような熱。

飛び起きた竜太が見たものは赤だった。

窓の外で暴れ狂う焔の竜。

理解するのに時間はかからずに、竜太は部屋の外へ飛び出そうと後ろを向く。

どすっという鈍い音と共に竜太は壁にぶつかる。

「平田、竜太だな。我々と来てもらおう。切り裂きジャック総本山へと」

それは壁ではなかった。全身を余すことなく包み肌を一切露出しない服を着た男は表情を見せずに竜太を掴む。

「平田竜太、拘束完了」

一瞬にして口をふさがれ手足の自由を奪われ、気絶させられた竜太は、その後どうなったのかなど知ることはできないのだった。

もちろん、母親の事も含めてだ。



「こちらは切り裂きジャック総本山特殊部隊!!!貴殿らが切り裂きジャックが隠ぺいした事件の隠し子か!!!」

なだれ込んできた男は、男女だった。

言葉のあやでも、いい間違いでもなく、確かに男女だった。

右半身が男で左半身は女の、化け物だった。人間とは認められないほどの男女だった。

「あらやだ、すっごい好みの子がいっぱいいるわぁ…食べちゃおうかしら(ペロリ)」

その場にいた祀たちの背中に寒いものが駆け巡る。

どうやらこの男女は一人二役のようだ。

あっという間に祀たちは拘束され、身動きが取れない状況へと陥る。

隣から同じように砺磑と凱史の悲鳴も聞こえる。

一方的な攻撃にはなすすべもなく、彼らは連行されていった。



シャガンが壊した総本山の町。そこからさほどは慣れていない場所に異質な存在感を放つ建物があった。

それこそが今竜太たちが連行されている場所、切り裂きジャックにとって重要な場所だった。

道中すれ違う兵士たちは口々に呟いていく。

死に方は法廷で決めてもらえ、苦しんで死ね、などと好き勝手に叫び散らしていく。

ようやく長い廊下を抜けると、そこは裁判所らしい建物だった。

行け、と拘束を外されてから背中を押された竜太たちは強引に檻の中に入れられる。

しばらくしたのちに、裁判は開廷して、ただ一度裁判長が口を開くだけで裁判は終了する。

「罪人、竜太、八迫、理緒、紋太並びに彼らがかくまっていたであろう祀、佚榎、鐡、砺磑、凱史の九名の身柄をこちらで確保させていただく。ただし、身の保証は一切しない」

裁判長が右手を鳴らすと裁判所の一室にはシャガンが用意していたコマが現れる。

「切り裂きジャックとそれによって生きながらえてる僕たち、みんなみんな苦しんじゃうといいよ」

裁判長の姿が歪みシャガンへと変化する。

それと同時にすべての扉から特殊部隊が乱入してくる。

「ここにはもう切り裂きジャックなんてものは存在しない。あるのは元切り裂きジャック用特殊部隊」

その後、シャガンの指示により特殊部隊全ての銃口が竜太たちに向けられる。

逃げるぞ、と八迫の叫びが聞こえる。それに続いて走り去っていく仲間たちの足音。

けれども竜太はそこから頑として動こうとせずにシャガンを睨みつける。

「変わらないな、七の切り裂きジャック、平田竜太。あの時の貸を返してもらいに来た」

えげつない笑みを向けるシャガンに竜太は指をさす。

「絶対に、ぶん殴る!!!」

捨て台詞をと共に去ろうと思っていた竜太は方向を変えようと体の向きを変える。

しかし周りは特殊部隊に囲まれていた。

「逃がすと思うか、俺の手ごまであるお前を」

再び頑丈に拘束された竜太は思わずつぶやく。

あれ、こんなはずじゃ…?

シャガンが竜太の前に降り立ち顎を持ち上げる。

「どれほど待ったと思う?この時を。始めるんだよ、俺が出来なかったことをお前を超えることで成し遂げるんだ」

嬉しそうにシャガンは竜太を投げ飛ばす。

避けることもままならずに、周りにいた特殊部隊を巻き込み竜太は壁に叩きつけられる。

「竜太、お前のジャックを括目しろ、お前から、お前たちから切り裂きジャックの権限をはく奪する」

言葉は、目的を果たそうと竜太を取り巻く。

シャガンはただ笑ってこちらを見ている。ただ何をするでもなく、笑っている。

「壊せ」

続く言葉はさらに竜太に取り巻き、目的の物を見つけ出すと迷わずにそれを壊す。

「これで、切り裂きジャックはいなくなった」

不快な笑い声と共に竜太の腹部に向かってシャガンは拳を唸らせる。



質問の答えにたどりついたときにはため息が出た。

昔からそうだった。

養成学校の時も集団行動で隊長を任された時の事。

あの時もこんな風に一人行方不明にしてしまったんだった、と八迫は自己嫌悪に陥る。

鐡が辺りを見渡した時、すでに竜太の姿はなかった。

だから八迫に伝えたのだ。竜太がいないと。

八迫は一時的な自己嫌悪の後、すぐに思考を切り替えいったん逃げることを最優先した。

理緒と、紋太も、祀に砺磑、凱史や佚榎それから鐵はその意見に賛同しとにかく逃げた。

隠れ家として選んだ場所はジャックスクールだった。

出入り口は全部で二か所に作られている。

総本山周辺に厳重に配備された特殊部隊の目を掻い潜りながらようやく見つけた隠れ家だった。

手元には何の武装もなく、残されているのは八迫と理緒の二人のジャックのみ。

けれどもその頼みの綱に、突然ひびが入る。

「んぎゃぁー!?」

思わず叫けぶ理緒の口をあわてて防ぎとりあえず殴りつける。もちろなん後で数倍返しなのは目に見えているが。

口をふさいでもなおおも、モガモガと何かを伝えようとする理緒は自信の手首を掲げる。

そこについているはずのジャックはみしりと嫌な音を立てて手首から外れる。

それに続いて八迫の手首から何か金属が音を立てて地面に落ちる。

「うぁあああああ!?」

今度は八迫が叫ぶ番で、それを砺磑と凱史が殴ることで止める。

武器も何もない中での頼りはこれまで培ってきた経験と武力だけとなってしまった。

「一回、戻りませんか?」

一瞬にして落ち込んだ空気をどうにかしようと祀は提案する。

「帰ったら、その一応武器とかあるわけだし抵抗ぐらいは…いや必ず勝てると思うんです!!!」

ぐっと握り拳を作り胸の位置に構える祀の姿に少しだけ雰囲気はよくなる。

「かえろぉー」

紋太も賛同して立ち上がり拳を突き出す。

痛む頭を押さえながら、八迫は指揮を出す。

「いったん帰ろう。出直してボコる。ここまで時間の浪費されて黙ってらんねぇ。泣いて謝るまでボコってやる」

ウヒヒッと笑う八迫に鐵と佚榎が懸命になだめる。

「暴力はあんまり度が過ぎると駄目、駄目だから!!!健全な子供が二人いるからーっ!!!」

鐡が紋太を、佚榎が祀を指さして叫ぶ。

「なぁなぁ、誰かいるんじゃねー見てみよーぜ」

やんちゃそうな少年が好奇心丸出しでこちらに近づいてくる声が聞こえる。

「やめようよ、見つかったら怒られちゃうよ、入っちゃダメって言われてるんだから…」

どうやらそれを止めようとしている子供もいるらしい。

「見つかんなきゃいいんだよー、ほら早く、行くぞぉー!」

どうやら大声で叫んだりしているうちに外には声が漏れていたらしい。

反対側に出入り口があることを幸いにこそこそと逃げ出していく。

後ろからは、何もいねーな…。やっぱり気のせいだったんだよー、こらー!!!お前たち何してる―!!!、うひゃ!ごめっなさい!!!などというやり取りが聞こえてきた。



シャガンはその光景を見て思わず舌なめずりして喜んだ。

目の前には鎖につながれ頭を垂れている竜太がいた。

竜太の足元に記されているのは何らかの術式で、その中心に竜太は倒されていた。

「こっちで見てたらどうだ、お前の友達がただの人間となり下がるその瞬間を。お前の息子がただの愚息になり下がるその瞬間を」

激しい閃光が部屋に満ち溢れ、

変なところで打ち切っちゃいました。

別に先が面倒になったからとかじゃなくってそういう仕様にしてみました其の二です。たしか前もやりましたね。

眞石版編の時台座が云々。

ちなみに、全然その場で書き上げていますのでつじつまが合わなくなった場合は修正したりするかもしれないのです。ごめんなさい。

次は一週間後ぐらいにかけると嬉しいなぁ…。

次回百十二話 タイトル未定

今考えている時点ではなんだけ面倒なことになり更に面倒な奴らが大集合になる予定です。

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