第九十四話 空に来た彼は、真偽を確かめに来た。
なんだか知りませんが話の乗りが上手い事行かないのでとある人物を助っ人に頼みました。
すると少しは上手い事行きました。まだまだですが。
「いらっしゃいませ。待ってましたよ」
紋太が連れてこられた部屋は悪趣味な部屋だった。
壁には所狭しと鎖や鎌…いわゆる拷問道具とかいう物騒な品が飾られていた。
「…。国王、様」
ポチが鎧を着こんだ犬人に向かって話しかける。
「 、君はもう僕に話しかける権限はないから。庶民が気安く話しかけてたら極刑だよ。まぁこれから死んでもらうんだけど。君と、そこの一文字紋太君とね」
そういうと、王はカチャカチャと壁の鎖を外し、部屋の中央に安置されている十字架へと巻き付けそこにポチを張り付ける。
「必要なんだ。君たちの血が。この鎧を最強にするために」
鎧で顔が見えないが、おそらくその顔はとてもえげつない笑顔を浮かべているのだろう。
「ポチを離せ!!!」
とっさにトラベラーを構える紋太は鎧の胸に的を絞った。
「ポチを離せ…」
一切反応しようとしない王に紋太はためらいなくその銃口から鉄の塊を発射させた。
銃口からはじけてまっすぐ飛んで行った銃弾は軽い金属音を立てて鎧に弾かれ地面に落ちる。
「抵抗しないでくれる?君たちの血を無駄に流すことはできないんだ」
王はそう言うと素早く紋太をポチと同じように十字架に拘束した。
「それじゃ、ちょっと苦しいけど、頑張ってね」
明るい声色と同時にボタンが押され、それに反応した十字架が紋太とポチを襲った。
悲鳴に似た二重の叫び声が響き渡る。
「おぉ…。これまた派手にやらかしましたねぇ…。犬たち倒れてるよ…」
いまだ顔面出血中の八迫はふらふらと貧血状態でつい先ほどまで理緒と竜太がいた場所に重なって倒れている犬人たちをしり目にそのまま先へと道を進む。
しかし八迫は気が付かなかった。
自分たち以外の存在がその道を歩いたという確かな形跡を。
とある扉の前に立っていた祀は大きく伸びをしてから、軽く準備運動をすると
「んー。ここにあいつらがいるのか…」
思わずつぶやいた。
ジーンズに紺色の半そでシャツの上からオレンジ色のフード付きジャンパーを羽織った祀は右腰に差してある小太刀に手を滑らせた。
「俺が、此処で確かめるんだ。本当に所長が言っていることが真なのかを…」
そして右腕の手を腰から外し、黒の腕時計を見る。
この時計は某多目的変身道具のような感じだった。
「…。電波は届くんだな。空でも」
思わずつぶやいた祀は自分のするべきことを思い出し、歩いて行った。
「ニンゲンって弱いよね。俺わかっちゃったかも」
雑種はがれきの上で座り亮祐を見下していた。
「うるせぇ。そんなに人間の強さ知りたいのか…。知りてぇよな」
アドベンチャラーを雑種に向け弾丸を放つ。
「そんな直線状にしか飛んで行かない銃弾なんて俺の速度の前じゃまったく無駄なんだよ」
雑種は目を細めて言葉を紡ぐ。
「いい加減解れよ」
雑種は弾丸に挑戦するかのように弾丸に向かって行った。
それが亮祐の残された最後の作戦だと知らぬ雑種は突然の変化に戸惑い、反応が遅れた。
銃弾から網が出てきたのだった。と、言うよりは銃弾を仕込んである捕獲用弾だった。
「な!!!」
しかもおまけにトリモチで逃げられないように対策ずみ。
「これが人間の作戦。強さ。よく覚えておけよ、今度はニンゲン見下さないように…な!!!」
銃のグリップで思いっきり頭を叩き、亮祐は雑種の意識を失わせた。
「で、紋太どこにいるんだよ…」
ドアが開かれた。
その場に待機していた白綿と柴は互いに微笑みあい来客を出迎えようと犬歯をむき出しに低く唸る。
白綿は守護犬使内唯一の女性隊長で、いうならば守護犬使の紅一点だった。ただし女性だからと見くびってはいけない。
白綿は華麗な舞で相手を錯乱させ、その間に仲間がとどめを刺すという補佐的役割を持つ隊長だった。
しかし、それは来客者の顔を見て真っ青に変わった。
「あなたは…あなたはだれなの?」
思わず白綿は尋ねてしまう。それは王から渡された情報には載っていなかった顔だった。
「ああ、ああ。柴には理解できてしまいました。理解できてしまいましたとも。あなたは、切り裂きジャックの六人目、ですね?」
真実にたどり着いたと誇らしげに考えを述べた柴の答えは一瞬で切り捨てられた。
「一緒にするな。俺は、切り裂きジャックじゃない。それよりも…もっと、もっと危ない組織の一員だ」
そして、祀は腰の小太刀に手を伸ばす。
威燕が使っていた私物の中の唯一の遺品、名刀金箔。それは祀の手の中で照明の光を反射し鈍く光った。
「俺は、俺たちは切り裂きジャックを倒さねばならぬ者。ジャックハンター、通称ジャクソニーだ」
祀は閃光のごとく二人の体毛を切り落とした。
「俺は、俺の目で見極める。お前たちを襲う切り裂きジャックが本当に娯楽目的の行動かどうか」
祀はそっと金箔の柄を握った。まるで今もそこに兄がいて、守ってくれているかのように。
「お前たちに干渉するのは本当は駄目だろうが、ここで会ってしまったらどうしようもないからな」
柴は執事のようなその服を丁寧に脱ぎ捨てた。
「柴は負けられないとわかってしまいましたよ。ええ、ええ」
その言葉に賛同した白綿がどこかから扇子をだし、奇妙な舞を始めた。
「一緒に舞ってもらいましょう。この私と柴を相棒として」
その扇子には殺戮こそ美というわけのわからない文字が筆で書かれていた。
「まぁいいだろう。俺が奴らが来るまでの準備運動を手伝ってやるよ」
祀は興味なさげに言い放ち、再び小太刀を振り始めた。
祀君たちの組織名が判明いたしました。
何にも考えていないままただ名前だけ作ってみたジャクソニーですが、こんなところで名前を使えました。
それからそれから。ジャックハンターナイトを覚えていますか!?
まぁそんなこんなでいろいろと片づけていこうかと思います。