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切り裂きジャックは殺しません!!!  作者: 和呼之巳夜己
chapter:The entreated one.
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第九十二話 目標人物へ

まず、その城を間近で見て息をのんだ。

首をできるだけ上に向けても全く天守閣が見えてこないのだ。それほどにでかい。さらに、その門も一般的な人間の身長の二、三倍はある。

そんな門の前にたった竜太は思わず叫び声をあげてしまった。

突然門が開く。その城の主が招き入れているようだった。

そんな中、城の内部が窺えた。

明かりもつかない真黒な中で、ぺたぺたと音がだんだん近づいてくる。

「いらっしゃいませ。切り裂きジャックの面々。そして、重罪人  」

びくっとポチの背筋が凍る。

「出てきなさい。  、君はこちらで処分は考えています。さぁ」

またもや紋太が躊躇なく発砲する。

「渡さない。ポチは僕が守るんだ」

その声に音の主は姿を表し耳をぴくっと反応させる。

「一文字…紋太。はいはいはい…。わかっていますよ。柴にはわかっていますとも。ええ。一文字紋太。私どもはあなたを必要としています。力を貸してください。あなたがほしい」

柴が左右の手を広げると城の内部から犬人が先ほどよりも大量に出てくる。

その一匹一匹がその手に殺傷能力がある何かを持っていた。

「一文字紋太と  を連行してください。ええ。柴は奥で準備をしていますからね」

柴は闇に消え、犬人がそれと同時に雪崩のように攻め込んでくる。

「では、やりましょうか…」

理緒はいまだにハンドルを離さずにしゃべっているのでいつもの理緒よりも三割増しでいろいろとすごい。

竜太達はワゴン車から出るとそれぞれ武器を取り出し、犬人と戦いを始めた。

 必ず僕がポチの助けになるんだ!!!

紋太はその心意気を込めるかのようにトラベラーを握る力をより一層強めた。



一匹の犬が喜び走り回り、そして叫んでいた。

「はぁぃー!!!おれ登場ぉー!!!ねね、呼んだ呼んだ!?国王様ってば俺の力必要になったから俺呼んだんでしょ!?俺いつもんとこで来るやつぶっとばしてくるから待ってろよー」

犬耳がピコピコ動くやんちゃだとわかるほどの汚れてぼさぼさの毛並みをした犬は部屋に来た時のようにたたたーっと走って一歩的に消えていった。

「二番隊隊長、雑種ミックス…落ち着かないのか…彼は…。」

王は頭を少し抱えた。そして雑種との出会いが自然と頭の中で再生されていた。

もともと雑種は生まれも育ちも王宮ではなかった。

国王が遠征終了後にふらりと何かの偶然でまったく通らないゴミ溜め、王宮内では価値亡き者の墓と呼んでいるいわゆる奴隷の中の奴隷の唯一生きることを許されている指定地…そこを歩いていると奴隷たちは頭を地面にこすり合わせ許しを請う。

そんな中で、一匹の犬だけは違った。

今と大層変わらぬ汚れた毛並みのその犬は王の方へと駆け寄ってまるで王を知らないかのように辛く気安く話しかけてきたのだった。

「おっちゃん、なんか食いもん持ってない!?母ちゃんに食わしてやりてぇんだよ。な、オッチャンエライヒトだろ?」

周りで息をのむ音がいくつも重なって聞こえる。大方、王に軽口を聞いたから殺されるなどとそんな考えが浮かんできたのだろう。これだから奴隷の思考回路は低能で、だから奴隷だというのだ…。

子犬は汚れた毛並みとは真逆にその瞳をきらきらと純粋に輝かせ王を見ている。

面白い。

王はその子供に親を連れてくるように命令し、その子犬を親共々王宮へと連れ去った。

あいにくその子犬は母親一匹しか身寄りがなかったが、国に反発することもなく健気に、というよりも無邪気に王宮を駆け回っていた。

王は一つの決意をした。

この奴隷を隊長へと育て見ることを。

そして、現在に至る。

すでに雑種の母は他界し、身寄りも何もなくなった現在でも雑種は立派に生きている。

そして、今現在の守護犬使全隊長の中でもトップクラスの実力を持つ隊長だ。

決して負けることはない。その核心を経た王は場内に張り巡らせている回線を使い放送を流し始めた。


『重罪人  、および共犯者共よ。たった今からゲームを始めよう。君たちのうちだれか一人でもこの俺のいる場所へと来て、俺の命を止めることができるかというゲームだ。そちらが勝てば自由に国を作りかえればいいさ。ただし、参加料としてその命をもらおう。時期に猫人の全部隊がこの国を襲ってくるだろう。国が亡びる前に俺を討てるかな?』

放送はすべての国民をふるいあがらせたことを国王は気にも留めない。

どんな暴動が起ころうとも。どんなテロが起ころうとも気にしない。

全ては今、この時から始まったゲームだけが娯楽。国と自らの命を懸けた史上最高の娯楽。

娯楽は、始まる。



犬人たちの叫び声の中で亮祐は叫び声とうめき声を聞いた。

前者は紋太で後者はポチだった。

必死に二人の姿を探す。

一向に数の減らない犬人の中、亮祐は目的の一人と一匹を見つけた。

それは気を失い無防備な状態で連れ去られて行く紋太とポチの姿だった。

そしてそれは、娯楽の国王軍の勝利を大きく前進させるための力の一つとなる。

と、言うわけで彼ら犬人は鎧を真の力を発揮させるべく、狙っているわけです。

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