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切り裂きジャックは殺しません!!!  作者: 和呼之巳夜己
chapter:The entreated one.
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第八十四話 凱史は地獄で新たなものを見る。

今思うと昔は誤字脱字が多かったですね…。

しかし、これからもきっとたぶん絶対必ずやらかすと思いますがどうかよろしくお願いしますね。

小さい日傘をクルリクルリとまわしながら歩いていた凱史は、ある部屋の前に立って深呼吸した。

そして日傘をたたんで肩にかけてからゆっくりと

「失礼しまぁ~す」

そういって最近劣化が進みきしむ扉を開けた部屋にいたのは通称所長と呼ばれる男だった。

煙草を吸い続け部屋中が煙でかすんで見える中、その部屋にいる人物所長だけがはっきりと見えていた。

「凱史君か…。ところで、祀には指令を言い渡してあるからいないのは当然のこととしよう。しかし、佚榎君がいないというのはどういうことなんだろうね。凱史君。君は抑止力を持つ者だと、私は思っていたんだよ」

革靴が床を叩く音と共に所長は手から火をだし、たばこに着火し煙を吐き出す。

「まぁいいや。それより君にしてほしいことはね?地獄に堕ちてほしいんだよ」

いつの間にか凱史の肩に手を置いた所長は有無を言わせずに凱史の目線にかがみ、凱史の目を見つめた。

「堕ちてくれるね」

拒否権も何もない凱史はその場で頷くことしかできなかった。

所長に逆らうとどうなるかを知っているが故の反応だった。

「やっぱり君はいい仔だねぇ…。僕はぁうれしいよ。祀君と佚榎君は仲良しだからね。今回のことは大目に見るとするから、君は今すぐ、堕ちてきてほしい。オトモダチ連れて行ってもいいよ」

そういうと所長は凱史に退室を命じた。

出ていこうとする凱史を呼び止め、所長は一言アドバイスをした。

「気を付けてね。準備ができ次第の出発でいいから」

それを背中で聞いた凱史は再び劣化できしむ扉を開き、煙くさい部屋から出た。

凱史はようやく所長室から離れた自分の部屋で大きなため息をついた。

「まったく…。私は佚榎と一緒に行きたかったのに…。祀なんて嫌いだわ!!!すぐに佚榎が世話焼こうとして私よりも佚榎と仲良しなんだから…」

頬を膨らませ一人部屋で起こっていると凱史のいけない方の脳みそがフル回転し始めた。それも高速回転で。今なら凱史のいけない脳みそのほうは音速を超えているかもしれない。さらに同時に凱史は頬を赤らめる。

「ま…まさか……。佚榎と祀って…デキてる!?」

とってもいけない発見をしてしまったと一人勘違いする凱史は部屋で奇声を上げた。

それこそ砺磑が壁を蹴り飛ばし「ウルセェ」と怒鳴るまで奇声は続いた。



低く唸る音で支配されているようだった。

一見すると隙間から風が入ってくるようなそんな音だが、この場所には風が流れるようなことはない。

凱史は下で唇をなめた。

「ほんと、ゾクゾクしちゃう。こんな場所に乙女一人で行かせる魂胆が分からないわよ」

凱史がぼやくと後ろから強烈なけりが飛んできた。

「だから私を呼んだのだろう!?一人では夜怖くてトイレにも行けないか弱い妹様だからな。貴様は」

凱史は後ろから聞こえた声の主、砺磑の腰あたりまで伸びた青い髪を引っ張ると人差し指を突き付け言い返した。

「あんたが勝手についてきたんでしょうが。わ…私はついてきてなんて全く頼んでないっていううのに、あん、あんたが勝手についてきたの!!!」

顎がかくかくとなり、何度も言いたいことを間違える妹を見た砺磑は凱史の頭をわしわしとした。凱史の紫色の髪がぐしゃぐしゃになる。

「何すんのよ!!!」

つい叫んだ凱史が顔を上げるとそこに砺磑の姿はなく、すでに砺磑は門の前に立っていた。

「どうした、行かんのか!?凱史」

すぐ砺磑の背後に着いた凱史は看板を見た。

“この門、生人はくぐるべからず。くぐったが最後、生きては帰れない。くぐるな死者の門を。何人たりとも・・・・。”

同じく看板を見た砺磑は看板をけって破壊した。

「ばかばかしい。ここにもう支配者はいないんだ」

門を蹴り開けると砺磑は一人歩き出した。

その後ろを小動物のように凱史が傘を構えたままついていく。

長い長い回廊を進んでいく途中で凱史と砺磑は地獄が崩壊し始めているのに気が付いていた。

「ここはもう、終わりだな。抑えていた者がいなくなって勝手を始めている。地上うえに来るのも時間の問題だな」

砺磑は冷静な分析をしつつ回廊を進むと開けた部屋に出た。遅れてやってきた凱史はその部屋にいたものを見て息をのむ。

腐り、骨が見えている死体。もう生きてはいないはずのそれらは息こそしていないがはっきりとした頭脳を持ち動いていた。

その頭脳を持つ死体は一斉に侵入者をとらえる。垂れ下がった目や、本来目があるべきはずの空洞などの様々な目が二人の侵入者を見ていた。

にやりと笑うと砺磑はスーツの上を脱ぎ捨てると戦闘態勢に入った。

「あらあら、やる気ですわね。

こんな死体なんかでビビるあた…私ではないわよ」

凱史も傘を開くと何かを呟き服をワンピースからゴスロリに変え傘の形状を鋭い刃物に変化させる。

崩壊した地獄を見る砺磑と凱史姉妹。そこで見たものは今にも地上へと攻め込もうとする異形の化け物たち。

そして部屋で襲ってくるのは死体たち。はたして無事に地獄を見ることができるのだろうか。

次回 砺磑はネクタイを緩め、戦闘を楽しんだ。

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