第八十二話 そして祀は行動を始めた。
次のお話が決まらないのでとりあえず序章っぽいのを上げてみます。
太陽が傾きかけてきたころに帰ってきた祀を迎えたのは祀と同じような帽子にロングコートを羽織った男だった。
「お帰り。竾埀翅祀。それで、僕に報告書はまだ届いていないよ!?」
祀は喪服の裏のポケットから紙の束を出した。それはどう見てもポケットよりも大きいものだった。
「ふふふ。僕は好きだよ。君のような賢い仔はね。いいよ、もう遊んでくるといい。オトモダチが待っているよ」
祀は帽子を頭から外し頭を下げると所長室を後にした。
祀が向かった先には、少年少女が四人いた。
「お、祀帰ってきたのか!?じゃぁさ、久しぶりに一杯付き合えよ」
メッシュキャップをかぶりちゃらちゃらしたズボンと大きめのシャツとパーカーを身に着けた少年は手に持った空のガラスのコップを振ると祀を誘った。
「いいよ、俺は。疲れたからちょっと休む。夜んなったら起こしてよまた行くからさ。佚榎」
佚榎と呼ばれた少年は口をとがらせながら祀の背中を送った。
祀の背中をコップに注いだ炭酸とともに見送っていると視界に一人の少女が飛び出してきた。
「ねぇ佚榎?今日の指令、一緒についてきてくれるんでしょ!?私一人で地獄偵察なんてそんなの怖いもの」
キャハハッと笑ったおさげのワンピースを着た少女はその場でくるくる回り始めた。
その回転を足で止めたスーツ姿の少女はつぶやいた。
「うぜぇよ、凱史。てめぇの声と醜い顔見てると吐き気がするぜ?」
凱史と呼ばれた少女は回転を止められ悪口を言われ、顔を真っ赤にし憤慨した。
「私にそんな口きいて、また死にたいわけ!?砺磑」
凱史は肩に下げていた傘を手に取るとその傘を開いた。そして砺磑と呼ばれた少女はネクタイを緩め、靴の踵を直す。
「あたしがいつてめぇに殺されたんだよ。戯言もいい加減にしねけとなぁ凱史」
一触即発の雰囲気を壊したのは佚榎だった。
「おい、お前らやめろよ。そんなことしてると鐵が起きちまうから!!!」
佚榎の言葉を聞き、二人は背筋を凍らせ、鐵の方へと目を向ける。
その先にはソファに座りながら寝ている制服の男がいた。
「わ…わかったわよ。それで、私についてきてくれるよね!?佚榎」
コップの中身を空にすると佚榎は答えた。
「俺は祀に着いてくよ。最近あいつ働きまくりだから心配でな。そういうわけだからまた今度な。凱史」
今度は凱史が口をとがらせる番だった。そしてそれを見る砺磑は笑いをこらえていた。
「というか、凱史と砺磑。お前ら姉妹なんだから少しは仲良くしろよ…」
その台詞に凱史と砺磑は声をそろえて反論する。
『姉妹は関係ない!!!』
その突然の叫び声で鐵が起きる。
「うるさいなぁ…。もう。そういう所が合うなんてやっぱり君たち姉妹だよねぇ…。」
空はやがて、黒に染まる。
祀の部屋の扉がノックとともに開かれる。
「祀~?夜んなったぞ、起きろ!?祀くぅ~ん!?おおぃ、祀ぃ!?お前ほんとに大丈夫か?おぉーい」
布団からゆっくりと起き上がり、頷く祀。ちなみに先ほどの黒い帽子ではなく、ナイトキャップをかぶって寝ていた。
「おぉ…。夜かぁ…。ありがとな、佚榎」
佚榎は帽子を取り替えて部屋を出ていこうとする祀の手をつかんだ。
「今日の指令、俺もついてくよ。疲れてんだろ!?」
祀は佚榎の突然の提案に少し悩んでから頷いた。
「で、で?今日はどこ行くんだよ、祀」
祀はまた喪服の裏のポケットに手を入れると目的のものを取り出す。
「今日は、切り裂きジャック総本山の再調査行く予定なんだよ。代わりに移動頼めるかな?」
ドンッと自分の胸を叩くと胸を張る佚榎に思わず祀は笑ってしまった。
「じゃぁ、行くぜ、祀」
祀は頷くと移動を始めた。
気が付くとそこはすでに総本山だった。
次回、祀と佚榎の前に何者かが姿を現すのかもしれない。
ほんとのこと言うとあんまり決まってなかったりするのです。
次に何をやるのかが。
順番が決まってないのであたふたあたふた。
第八十三話 しかし祀たちの前に立ちふさがるのは…。