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第八十一話 終幕

これにてようやく切り裂きジャック最長編が終了いたします。

長かった…。

キィィィ…ン…と、金属の音が響いた。


響いた金属音はマリーネのものだった。

折れた剣は邪竜魂剣だった。

倒れた者はマリーネだった。

竜太の手から眞幻想の非幻想破壊ファンタジアブレイクが零れ落ちる。

「お前の言ったことは違う…。俺は竜撃手を捨て駒だとは思ったことはないよ…」

覇凱一閃を鞘にしまうと竜太は言った。そして覇凱一閃から出てきた豪火龍はマリーネが地面に倒れている姿を見ると口を開いた。

「私はあなたと交わることはもうありません。ここで、すべてが終わるのです」

「シャカラキホロロ…」

地上殲滅部隊めいじょうたいを全滅させた竜撃手が竜太たちのそばで呟いた。

そんな中突然笑い声が聞こえた。マリーネの声だった。

「俺が死んでも何も変わらない。悪意持つ者は消えることもないし、それを止める貴様らも消えることもない。完全には…」

どろどろと液体のように溶け始め消えていくマリーネを竜太と豪火龍は見ていた。

「決して変わらない。石版や、私が消えたところでお前らを潰す者たちはまだまだいる。それにお前たちは立ち向かえなくなる日が来る。今日以上の挫折を何度も何度も味わうことになるぞ」

ため息一つついたマリーネは竜太のほうを見て叫んだ。

「死ね!!!切り裂きジャック平田竜太!!!」

そして、冥浄王マリーネは消えた。と同時に地獄道具も持ち主の死によって粒子分解され消えていった。

「終わりましたねぇ…」

その場に座り込んだ竜太はため息とともにつぶやいた。その傍らにいた豪火龍はかすかに聞こえる程度の声で「お世話おかけしました…」とつぶやいたのを聞き、地面に寝転がると答えた。

「別に、戻ってきてくれたならいいよ…。それに終わったんだし」

のほほんとした竜太の答えに豪火龍は反論した。

「いいえ。まだ終わってません。マリーネが捜していたという門…獄門を破壊します」


そこは漆黒の闇というほどに何も見えなかった。

しかし、その中央部にそれは存在していた。

「これが…。獄門」

漆黒の闇の中にただ一つ存在するそれは門というより穴というほうが相応しいようなそんな場所だった。獄門は凡てを吸いこもうとしていた。現にその門に吸い込まれそうになっている。

「これに、刺せばいいんだな…!?絶対に吸い込まれないんだな!?」

念を押した竜太の発言に太鼓判を押すと豪火竜は再び覇凱一閃の中にもぐりこんだ。

『覇凱一閃炎斬一閃!!!』

そしてもう片方の手に持った非幻想破壊ファンタジアブレイクで獄門を切り裂いた。

竜太が剣を振った一瞬の間、覇凱一閃から吹き出す炎でその場が光で包まれた。その場にあったのは全て人のものであろうと思われる頭蓋骨で、そのどれもが風化している。

「シャガンは、悪趣味だなぁおい!!!」

涙目になった竜太は思い切り獄門に向かって剣を振った。





突然の事だった。

「ただいまぁ~」と満身創痍で皆の元へと立ち寄った竜太を待っていたのは本当に突然の事だった。

「遅ぇ!!!」と、叫んだり八迫の拳だった。

「長い!!!」と、発狂した理緒の鉄拳だった。

「遅いよぉ!?」と、呟く紋太の視線だった。

「…。すかぴぃ~」と、寝息を立てる亮祐だった。

突然の事で竜太は対処しきれず、そのすべてをまともに受けてしまった。ふらつく自分の足に絡まれて後ろに倒れそうになる竜太を支えたのは豪火龍だった。

『豪火龍!!!』

亮祐を除く全員がその場で叫んでいた。

「お…お久しぶりです」

その声に一瞬驚いていた豪火龍も久々の挨拶を交わした。挨拶をするためには常識として前に出なくてはならず、結果として竜太が後ろに回ってしまった。竜太は突然の支えをなくし、その場で倒れる。

一瞬にして竜太の後頭部から多量の血が流れ出す。

「さてと、終わったことだし帰ろうぜ。そこの睡眠魔王と出血馬鹿を連れてさ」

八迫が指差した先にはマリーネが壊した時空の壁が徐々に閉じていくところだった。

八迫率いる切り裂きジャックはその中へと飛び込んだ。

その場に残されたのは、眞幻想とその愛剣の非幻想破壊ファンタジアブレイク。その非幻想破壊ファンタジアブレイクもやがて風と共に消えていった。




「これが奴らの仕業ですか…。ひどいありさまだ。本当にひどい…」

黒い帽子を深くかぶり喪服をまとった少年が総本山を見て呟き、腰につけていた通信機を取り出す。

「奴らの被害は尋常ではありません。このまま放っておけば総てが消えてしまいます。迅速な対応を」

少年が通信機に向かって話し始める。やがてその通信機からは返事が返ってくる。

<そこに切り裂きジャックの総領がいるはずだ。生きているか?>

しばらくその場をさまよった少年は現状を見て絶句する。

「生きていません。惨いです。首が、掻き切られて飛んでいます。人間ができることじゃない!!!」

いつの間にか涙を流していた少年は叫びながら伝えた。

<これで決定した。俺たちはすべての戦力を集め、奴らを全滅させる。>

通信機から聞こえてきた声は冷酷に目標の名前を告げた。

<残酷無比の殺戮集団切り裂きジャックの完全殺害を実行する計画を始動する。お前も戻ってこい、まつり

祀と呼ばれた少年は帽子を取り、袖で涙を拭うと涙声のまま返答した。

「了解しました」

<それと…>

通信機の向こうにいる男は一つの指令を祀と呼ばれた金髪碧眼の少年に渡した。

「わかりました。全ての戦力を集め、駆逐のための準備…ですね」

少年は一人歩き出した。

ついに約一年かかっていた眞石版編が終了いたしました!!!!最後まで読んでくださりどうもありがとうございました。

とか言ってもまだまだ終わらないんですけれども。まぁ次回からはなんか考えてやっていきますよ。とりあえず長い話は疲れたので少し短いのを挟んでからになりますけれども。

次回 第八十二話 そして祀は行動を始めた。【仮】

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