さがしやコーポ
「其れで何が危ないんですか」
僕は朝顔に一応に聞いてみた
「・・・ここら辺一帯不味いかもしれないのよ」
「どう」
「あんたは今まで知らなかったかもしれないけど
この地は竜が封印されている
その竜を何者かが外に出そうとしていて
私は其れを何とか阻止してたんだけど
急に別の組織が其れをしちゃったんで
もう竜が暴れ出すのも時間の問題なのよ」
「・・・・」
知っている出来事である
そして残りの三人も
車に乗っているが
四人乗りのこの車の五人では
後ろはぎゅうぎゅうである
「・・・其れで朝顔はどうするの」
「まあ、其れなんだけどね、あんたには今まで黙ってたけど
私たちは代々竜を封じ込めておく仕事があんのよ」
「・・・・」
「其れであんた、血を出しなさい」
「血」
「ええ、其れで竜の名前 地台と書くの
そうすれば後は三カ所に其れを張って
またもとに戻す訳よ」
「其れなんだけど」
「なに」
「後ろの三人、もう知ってる」
「何で」
「一人がオカルトマニアで
一人が、黒蜂で
一人が紅」
「・・・・・何其れ」
「知らないの」
「いやどうしてそんな良くわからん組織が田舎にいるかと聞いてるのよ」
「さあ、事件に大きいもちいさいもないんじゃない」
「・・・・・しかしだよ、あんたたちは、どうしてあの橋を壊すの阻止ししなかったわけ、どうも分かってきたけど、あんた等の誰かが壊したわけだ、あの橋を・・・またどうして」
「其れなのですが」
ブラックデューインングの通が言う
「相手方の隙をつき
現在の封印を使い
二度と相手方の好きにさせないようにしようかと」
「そんな進歩してるの」
「ええ、血判的呪術よりも」
「そう・・・それじゃああとはあなた方に任せて」
「そうはいかないんです」
紅
「あなた方の血がないと始まりません」
「血・・・まあ、大量に使うから、其れはやむ終えないけど」
「そうじゃないんです、今はそれほど使いません
しかし、あえて多数の血を混ぜ合わすことにより
その術は
毛細血管のように、その術を複雑に絡み合わせるんです
その時は別に対して強度もありませんが
徐々に其れは非常に強い三本柱となり
その血だけで十分な強度を確立させます」
「そう・・・なら月下がいるわね」
「ええ・・・お願いします、もう手配していますので
現場で合流を」
「でも、暴れたらどうするの」
「いえ、竜に関しましては」
「・・・月下が」
「・・そんなに危険なんですか」
「まあね、無効か後からを代々受け継いでるから
その例外ではないでしょう」
「今電話をかけて確認します」
「・・・・・・・・」
静かな車内に
電話の呼び出し音がなる
「・・こちら、ミラーですが」
「・・・誰よ」
「・・・あんんたこそだれ」
「私は月下、あんたがた、何者かは知らないけど、ただで済むと思わない方がいいわ」
その時ミラーの携帯を思わずひっつかんだ朝顔
「あんた、その人たちに従いなさい」
「な・・て、朝顔」
「ええ、とにかく早くしなさい」
「其れは無理です」
「なんで」
「だって・・・・」
月下が見るのは
数日は再起不能な大人の山である
「しかし、どういう奴が来ると思う」
「さあ・・歴史の文献を読み解くと
女をさらったり赤子を食べたり
ベタですね」
「・・まあね・・でも何らかの策は打っているんでしょ」
とあさがお
それにミラーが
「ええ、神という存在を一時的に無に返しかねない
そう言う感じの催眠材がありますが」
「そんな物使えるの」
「ええ・・・しかし後々の弊害があるかも・・」
そこに突っ込む通
「あんたね、弊害がもう、
でてるでしょ
そのせいでどれだけの甚大な」
「・・・・」
「何があったの」
「其れがその薬が強力すぎて
一度消えたんです
その神が
しかし其れは大いなる間違いで
いや、正解でもあったんですが
其れが再び現れたときは
全く容姿の違う
もっと恐るべき物で
その時は一時的に特効薬があったからいい物の
それ以上の手に負えない物が居たら
不味かったです」
「・・・其れ大丈夫なの」
「ですから今回は昔ながらの方法で」
「でもねー、爆破されて起こされたんじゃ
いよいよ悪いじゃない機嫌」
「ええ・・封印されている時点でよっぽどのもんですからね」
「・・・・・」
「でも、黒蜂は、生け贄なんて用意できてるの」
「・・・・・・・・・まあ、私なんだけど」
「・・・・・・・・・え」
「・・・・・・・・・え」
「・・・・・・・・何」
「・・・・・・・・・うそ」
ミラー
朝顔
僕
通
「・・おい、その顔は嘘じゃないだろ」
「まあ最悪だよ最悪、その前に何とかお膳立てできればそれに越したことはない」
「大丈夫なんだな」
「ははは」
その通の笑いの真意を
僕は到底理解できていない
「まあ、最悪私がするにしても」
「だめですよ、術を作る人はなれません」
「でもそっちにも色々居るでしょ」
朝顔とミラー
「無理ですよ、あなたは実に古い血ですし
元をたどれば恐ろしいものです」
「・・・・・」
黙る朝顔
「ですからこれは出来ません・・」
「付いたけどどうするの」
其れは中間の橋
胴人橋であった
「伝説では、三つ壊されたとき
その体はここで元に戻り癒着すると書かれていたりするけど・・・どう」
「・・・」
皆黙り辺りを見る
そこは、十頭橋の今のように
そこに橋はなく
辺りは人がわらわらと立ち往生しているが
しかし、黒服の男たちに足止めされている
「あのーすいません」
そんなとき僕は肩をたたかれ
後ろを振り返ると
そこには一人の老人がいた
そしてその老人は
あのね子を持って走った老人でもあった
しかし、確か会話など出来なかったはず
いや、あのときは僕が一方的に・・・
今回もか
「何ですか」
「今回わしを封印するのは
あんたかい」
僕は言葉を失った
「・・・まさかあなたが」
「ああ、頭の、頭十郎だ」
「・・・そうなると後二人居るんですか」
「うにゃ、そう言うもんじゃない
頭合ってこそのからだ
わしだけにいしがやどり
残りは体のみの
ただの本能体だ」
「でも・・良いんですか」
「何がじゃ」
「そんな簡単に封印されても、嫌じゃ」
「何を言ってる・・こっちの方が心地居
まるでそばくされて居るときは
ゆりかごのように
川で揺られている
それにほかの土地神と違い
その地を守る心配もない
実に良いではないか」
「では、生け贄も」
「なんじゃいそりゃ」
「・・え」
「ああ・・昔はよう合ったんだ
人減らしでは世間体が悪いから
神隠しや生け贄にしたとかいって
無理矢理死んでいったもん達を美化しよったんじゃ
ほれ、妖怪や怪物にみずから嫁いで
そこで幸せになったんはなし
あれも実に切ないこいばなしだよな」
「・・・・・」
「まあ、そないことだから、後は頼みます
でも時間制限はある
いくら心を落ち着かせても
体二つに頭一つでは
自制心が続かんこともある
だから後一時間結うところや
・・ほれあれを見て見」
老人はそう言うと指を指した
「・・ッゲ」
そこには、下半身だけで歩いてくる
奇妙な物がいた
「いやーーあれを見る度に思うけど
もう少しどうにかできんと思うよ
あれでは落語の胴切りですわな」
「・・・・・まあ、そう言う風で」
そう言って老人はあの警備の人をどうかいくぐったか知らないが
また戻ろうとしたが
僕は腕を引いた
「あの」
「なんだ」
「どうして僕たちをあのときあのはしに連れて行ったんですか」
「そんなんかいたんだわい・・橋の爆破なんておもろいもん
出来れば大勢でみたいやないか・・あれわわしでわは無い」
「・・そうですか」
「まあ、そういうこっちゃで、ドロロン」
其れはそう言うと
歩く度に姿が消え
ついには消えた
「・・・なに・・」
僕は其れについてつぶやいたのである
「不味いことになった
後一時間で」
僕はななすと
「其れじゃあ習字の用意始めるか」
朝顔がそう言うと
車からトランクスを取り出そうとしたが
其れをミラーが止めて
もう用意は出来ています」
そう言ってテントでこしらえてある
一角を指さす
「後は月下さんだけでです」
「でも大丈夫かな、朝顔」
「・・・そこなんだよね」
「というと」ミラーが言う
ちなみに、宮下は、この状況を携帯でとっているし
通はどこかに電話をかけていた
「あの子どこか世界世滅んでもいいじゃない
みたいなところあるし」
「うん」
「・・つまり」
「逃げたんじゃないかなって」
「え」
すぐに電話をするミラー
「・・不味いです」
「どうした」
「・・それが、月下さん、パフェを食べたいといって
食べるまで行かないと泣いているそうです」
「あいつ」
「あの子」
かくして時間ぎりぎりで我が物顔で到着した月下を
急がせて
無事今回は終焉を迎えた
しかし、其れで起こることは、ほかにもあった
宮下を除く二人はまた転校することになる
一応のメールアドレスやら何や等は二人からもらったが
その携帯を持っていないので
あまりすることはないだろうと思う
しかし、付き合うと言った手前
あれは嘘なんだろうかと思わずには居られない
其れで去り際
僕は、学校の校門で待ち伏せして
通に声をかけた
「・・ああ、早か・・今から家に行こうかと」
「其れなんだけど」
「これだけのことして信じろと言うほうが、無理があると思うが
それでも」
その時僕は頬に彼女の顔が近づいた気がした
次の瞬間
僕の唇に柔らかい感覚があるが
しかし、其れがいったい何なのか
考える思考もなく
彼女は顔を離すと
そのまま
「じゃ、また」
そう言って校門から走って坂を下りていった
まるでバネが足にはいっているような
恐ろしい早さであった
しかしながら、僕は学校でのことを
月下に言ったことがあった
その時
「ねえ、その黒帽ってひと、本当にいるのかな」
そんなことを僕に言った
「居るかって・・居るから僕の記憶にあるんじゃないか」
「私あなたの学校の事調べたけど
そんな人居なかった・・・
いや、少なくともその名前の人は
男のはずよ」
「え」
僕は走馬燈のように
頭をあの女の先生がぐるぐると頭を回る
しかし、その記憶は次第に薄まる
結局学校に登校したとき
僕は、あの記憶の中の女性は
いつの間にか顔さえなく
そしてその黒帽先生は
今目の前で教鞭をふるっている
髭面の男の先生なのだ
だれも疑問に思わない
宮下に聞いても
「・・あれ、そうだっけ・・其れ面白いかも」
などとオカルトネタにしている
どう言うことなのだろうか
ごじつぼくが通に其れを電話すると
「ああ・・其れなんだけど、どうも、黒帽が、シラトリだったのかもしれない」などと言った
まあしかし、とにもかくにも
今日も学校に行かなければいけない
なにせ、最近朝顔が珍しく本を読んでいる
よっぽどみょうなじけんが来ているに違いない
僕はそれに巻き込まれないように
急いで学校に向かうのであった
およみいただきありがとうございます
むだにながくむいみ
それをさいごまでとばさずによもうが
とばしてさいごまでよもうが
とにかくおつかれさまでした