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さがしやコーポ

僕という人間は、果たしてどうしてここまで不幸が続くのだろう

今考えてみれば、その不幸は、僕の両親の死が始まりに思う

しかし、その不幸だって、遠い昔、もうぼくが保育園児だったことを考えれば、八年ほど前になる・・・そう言えば、どんな顔だったのだろうか

僕はそんなことを考えていたが、その手にしているものは、立派な大人になるためと言うよりも、時間を無駄にする唾棄すべき物と言われる「ゲーム」であった、それは箱状の物が、テレビ画面にワイヤーで繋がれ、さらにはコントローラーが、僕の手元になる、今先ほどから、体長三十メートルはあろうかという、怪獣を、こともあろう事か、まるで鋭くない、ハンマーで、僕は倒そうとしていた、もちろんゲーム内である

「よし」

何が良しなのかと自分に問いたくなるが

とにかく、僕はその怪物の鼻面に、そのハンマーをぶつけてそんなことを喜んでいた、それはそんなときだった

いきなり立ち入り禁止とかかれた扉が、こちら側に開き

その向こうから、三十ごろくという年の割には若い女性が

こちらに無礼にもズシズシと画面の怪獣顔負けのスピード力と威圧感で圧倒的に迫ると、まるで猫か何かと勘違いしているのだろうか

僕のよれよれのパジャマとかしているシャツの襟をつかむと

そのままずるずると、何も言うことなく

そのまましたまで引きずっていく

ここで言わなければいけないのは

僕は二階から一階へ

尻をバウンドさせるように、階段を引きずられていることにある

もう、それれは、実に痛い

昨日食べたサンマの大根下ろしの気持ちが他所なりとも分かるような気がするほどにいたい

僕はしたについても、的の猛攻が止むことはない

そのまま玄関まで引きづられ

そこでようやく放された

「なっ、なにするんだよう」

僕は久方ぶりの音声を

そののどから発したが

まるで蚊の鳴くようなおとであり

その蚊の鳴くような声も

「それじゃあ、出発するぞ」

と、何が楽しいのか分からない底なしの笑い声のようなかけ声で

抹消された

ちなみに彼女は、母の妹で、朝顔という

そして僕の名前は 山霧 早 ヤマギリソウ である

ちなみに彼女はバツイチであり、その下に、月下と言う、妹分のような従兄弟も存在するが、現在近くの保育園に出勤中である

僕とは偉い違いである

かくして僕はシューズをはいて

そのまま彼女がどこかで見つけてきたのかは

分からないが

今時レトロミュージアムか果ては、畑で野ざらしにされた廃車並に見ない

三輪の車に乗ると、シートベルトを締める

僕もあわててそれに習うが

その前に明らかな交通違反にすぐさま達するスピードに

危うく振り落とされそうになる

全く・・・まったく

僕の心の中に

否応無く、トホホな、効果音が鳴り響いたのであった


1、迷子の迷子の迷子のキノウエニアリ


彼女について話すことがあれば

底抜けに明るいと言うことであろうか

とにかく明るい

底抜けに明るい

うざいくらい

怖いくらい

壊れているくらい

鬼の位

鬼で思い出したが

僕の趣味は、夜な夜な出かける付近の山間部にある「釜鬼」(カマキ)温泉郷である、何でもその由来は、鬼が風呂の釜を休みにしているというのにそれに反発した亡者が

勝手に風呂釜を開けてため、そのままこちらの世界の釜鬼の温泉から亡者があふれ出したという、とんでもない逸話があるが、逸話であり本当ではないだろう、もし本当であれば、おちおち温泉にはいっていられない

ちなみに先ほどの彼女は、大の風呂嫌いであり

また明るい性格だ

そして彼女の仕事なのであるが

言ってしまえば探しやと言う物をどう言うものかやっている

この探しやと言う物が

どう言うものかと言えば

読んで字のごとく

書いて字の如く

言って字の如く

思っても字の如く

とにもかくにも探す商売をしている

探し屋であるからにして

そう言うことだ

その探す物は暇が無く

春は山菜

昼は、守長町シュチョウマチ界隈に出没するという

液体芋なる、怪しげな名前の焼き芋屋を探し

夜になれば、何処からともなく消えて、保育園まで、愛娘を迎えに行くような人である

それこそ、遺書が橋で見つかれば

どざえもんを探し

パソコンのデーターが消えれば

データーを再構成し

データーをサルベージしたり

もうそれは、ごっちゃごちゃであり

ちまたの探偵職が見たら

きっとそのいとまの無さに

裸足で逃げかねない

食い意地の悪さは、野良犬並の大食漢である

そんなものだから、ものすごく今僕は不安である

これなら中学に行ったほうが

まだましだったのではないかと

心の天秤が悲鳴を上げながらそんなことをほざくが

今降りるのは

ジェットコースターから落ちるより危険きわまりない

ふとメーターを見れば

おかしなことに速度範囲を10キロほど下回っている

あり得ない

それを見ている僕に気が付いたのか

朝顔は

「ああ、これね、壊れたみたいで、ずーーとこうなってるの」

「・・・・」

果たして家に無事帰れるのだろうか

遺書を、書く筆と紙は何処に


無事僕がアスファルトの地面に足を着けた場所は

碁盤の目どころか

大学ノート並の升目の細かさに

この地の道を区画整備しやがった

先代の県知事 丸々 豚塚 まるまるぶたずかのせいである

それまでの歴史を、還付無きまでの取り去った、それは

もはや迷宮かスラム街かと言いたくなるような

入り組はしない物の良く分からないまでに同じような景色が連なる

恐ろしい地区である

それを言えば、どこもかしこも同じであるが

この場所は中心地に近いためか

どうなのかは知らないが

ほとんど昭和初期の面影を残しているため

実に、当時の面影を残し

迷宮かしている

それは、ほかの地区で有れば、他所うなりとも、整備されているものであるが、この場所は良くも悪くも当時の面影を残しているため

実にわかりにくい

そんな地にあの三輪止めて

彼女はいっけんの赤い屋根の西洋づくりの家へと

入っていく

僕はその実に草ぼうぼうというか

生えた物をそのままのような庭を

ただ、英国ガーデンと、どこら辺がそう思ったのかは

そのときの僕でも良く分からなかったとは思うが

そうつぶやいていた

「あらいらっしゃい」

僕はそう言われて

僕以外の誰かに声をかけたのかと思ったが

草の中から

イノシシかと見間違えはしないが

ふくよかな寸道の老婆が

こちらににこやかな笑みで

近寄ってきた

「あ・・・あの・・・これは・どうも」

僕があやふやな返事をしていると

「あなたが、探しやさん」

と、老婆が勝手に解釈してくれた

その老婆の声を聞いて

後ろで何時までのうるさく心地良いチャイムをうるさいくらいに鳴らしていた朝顔が

「ああ、これれ、これは」

などと良いながら落ち着きもなくこちらにやってくると

「私こう言うものです」

そう言って、手書きの名刺を渡す

「ああ、ありがとう」

老婆はそう言ってその名詞に目を通した

しかし、そのこういを、まるで遅いと言わんばかりの早さで

「それで用件というのは」と、忙しなく言っている

どうやら用件も聞かずにここに来たようだ

朝顔らしい


中にはいると、そこは予想に違わず

なかなかの英国を思わせる

落ち着いた広いリビングであり

そこで今名も知れない、紅茶を頂いていた

「それで本題なのですが」

味わっているのだろうか

朝顔は、まるで緑茶を飲むように、(いくら熱くても)がぶがぶ飲み干すと、そんなことを、落ち着きもなく言う

たぶん彼女がこんな性格なのに失敗しないのは

この人の感というか運が、異常に良いからなのだと思わずには、いられない、家宝は寝て待て、鳴かぬなら鳴くまでまとう、いそがは回れ、なんて言葉たちを、ことごとく否定して、それどころか見向きもせずに突っ走るような人である、石橋を叩くよりも前に、壊れようが、走りきってしまうような、恐ろしい人である

そんなことだから、僕はあまり目立つこともせず

ゆっくりと唇にカップを近づけるのである

「まあ、クッキーでも食べながら」

老婦人はそう言って笑顔で皿に並べられている物を出しているが

こんな物を奴の前に出したら、犬に出すようなもので

一瞬に終わらしてしまう

それも、オマケのカードほしさに

お菓子を買うようなものである

この人は、今、依頼を聞きたくてうずうずしたいるのだ

だからお菓子なんてどうでも良いと内心思っているに違いない

そう僕は、きつね色の紅茶を飲みながら思う

「では、依頼のほうですが」

口の中でバキバキ音を鳴らしながら

クッキーを食べ終えた朝顔は、そんな失礼と言うよりも

行儀違反だろなどと思うような勢いで食べ終えて

質問に移った

「ええ、実は飼い猫のミルちゃんが行方不明になったんです」

「何か写真なんかはありますか」

まをおかずそんなことを言う

「ええ、これをどうぞ」

奥さんはそう言って、アルバムを渡してきた

朝顔はその中をぺらぺら見ると

お眼鏡にかなった物があったのか

その一枚を拝借して

「お借りしても」と聞いた

婦人はそのあふれんばかりの笑みで

「ええ」と言うと

おかわりの紅茶を、僕たちに注ぐのである


「本当に見つかるのか」

僕は助手席に座りながら

なんと無しに開いた窓から外を見ていた

「あったり前でしょ」

しかし、彼女の自信は何処から来るかは

実に謎である

彼女つまりは、ミルちゃんの行方が分からなくなったのが

一週間前

そして、今日、今現在まで、その存在を確認できてはいない

かくして、探すに当たって、どこら辺に何時もいるかと聞いたが

それが分からないと言う

結局我々が掴んでいる情報は

名前が、ミルそして、その猫の姿が、牛のような白黒だと言うことだけだった

「あてはあるのかよ」

やはり心配なさそうに

僕は外を見ていたが

そんなとき

目の前に人だかりをみた

何だろうと思うが

それよりも先に

朝顔が車をその人だかりの前で止めて

外にでた

「どうしたんですか」

一軒の塀から飛び出している木を皆眺めている

少なくとも、あの限られた場所だけでUFOなんかが目撃できるという物ではないだろう

「ああ・・猫がいるんだよ」

おじさんと言うべき年齢のおじさんが

そんなことを一瞬横にきた朝顔を見てまた上を見ながら言う

「・・猫ですか」

僕はそのとき、もしやと思った

もしや、それは偶然にしては、いささか

出来すぎてはいるが

そう言うこともあるかも知れない

僕は朝顔のように

外にでると

上に突き出ている

榎を眺めた

なぜ榎かと分かったかと言えば

内の近所の神社を小学生の頃、取材したとき

その神社では、あまりないという樹齢四百年の榎を見たのであるが

その光景から

なんと無しに、僕は榎だけは、ほかの樹木と区別することが出来たのだ

僕の頭上に、せり出しているその老木の中に

僕は白黒の茶色い蹴鞠のような物を見た

しかし、それは動くことから、間違いなく動物であろう

少なくとも木の上という、不安定な場所で動くロボットが

こんなところに偶然か必然的か

どちらにしてもありえないだろう

しかし、僕はそのとき失念していた

あの人物を止めるのを


「危ないですよ」

そんな声が聞こえたので

そちら方面に目をやると

1人のおばさんが、朝顔に何か言っている

しかし、それは偶然的にそう思ったからであり

もしおばさんだけを見たのであれば

木に向かってしゃべっている不思議系な人に見えるであろう

僕は木にしがみつくように上っている朝顔を見た

何処で覚えているのか

その足には、白いタオルが巻かれており

それをてこに

上に上っている

隣の老人がそれをミルと

「ほうほう、懐かしい登りかただ」などと言っているが

昔にそんな物があったのだろうか

「あの戦争時代、椰子は高かったからな」

どうやら日本ではなかったらしい

僕はその老人からうえにしせんを戻すと

なにやらおかしなことをしている朝顔を見た

まるで猫にとりつかれたように

四本足で

背中を逆立てて

向かいにいる猫と喧嘩のようなことをしている

一体何をしているというのか

「こっちに来なさい」

どうやら言葉を忘れたわけではないようで

そんな言葉が聞こえる

「ニャーーーー」

しかし相手方は、そんなことを意に介さず

それどころか先ほどよりも

うなり声高らかに

相手とは、ま逆に走り出す

「危ない」

おばさんが叫んだ

僕は万が一のために

下へと移動した

その手には、一応のあみを持参しているが

こんな場所で虫取り編みが役に立つとは思えない

しかし、万が一である

何が万が一かは知らないが

「おい、早下でキャッチしろ」

僕の名前を呼ぶと

朝顔はそう言って

猫を追いつめていく

これ異常、行けば

僕は腰を痛める覚悟で

猫以外のものもとらなければならなくなりそうだと思った瞬間

「ニャーー」

何を血迷ったのか

猫はまるで上空を滑降するかの如く羽ばたいた

それは地面しかないこの場所から見れば

間違いなく自殺行為である

少なくともコンクリートで

あの高さからのジャンプは

もはや馬鹿の領域

そこまで追いつめた朝顔の責任はどれほどのものだろう

誰もが猫の無惨な姿を思い描いた

網を持っている僕ですらその例外ではなかったのだから

実に無責任である

しかしながら、猫という物は

人間よりも責任があるらしく

無責任に自らの命を絶ったわけではなかったようで

向かい側の塀に飛び移ると

そのまま目にも留まらぬようなダッシュで

どこかへ走り去っていった

ただ呆然とそれを見ていた人間から

徐々に安息の声が聞こえたが

それを遮り怒濤のように叫ぶ女性の声を聞いたが

もちろんそれは朝顔だった

「早く捕まえなさい」

それはそう言うと

音もなく見事三メートルはあろうかという高さから

飛び降りて僕の横に立ったかと思うと

猫以上のスピードを出して

そのまま僕の視界から逃れようとした

不味い

僕は急いで、その後を追うが

追いつける自信は皆無であった


結局、エンジン恩が遅れて聞こえるような早さで

怒濤の「待てー」と言う声が、遙か彼方で聞こえた頃

僕は彼女の捜索を一旦中止して

そのまま家に帰ることにした

もちろんこの町が自分の庭みたいだからと言って

彼女の車をそのまま乗っていくわけにも行かないから

あまりない貴重品を二、三点ポケットに突っ込んでから

そのまま家に帰ることにした

出来るだけ人通りの少ない道を行き

そのまま家に付いた頃には

もう当たりはすっかり

お昼時であり

僕は即席ラーメンを1人分作り啜ると

そのまま自分の部屋で睡眠をむさぼることに邁進したのである

しかしながら、僕の安息をじゃまする電話が

僕の睡眠中の脳をさまして

無理矢理したに行かせた

彼女とのルールとして

絶対電話は、でること、と言う物がある

そのため、極度の電話嫌いであるにも関わらず

僕は行くことになるのである

下についても、気がないがいようで

その電話は切れることなく

うるさくなっている


「はい、山霧です」

僕は何気なく取っているようで

ものすごい重圧を耐えながら

手に受話器を掴むと

何気なく、やはり言った

「おまえ、今何処にいる」

どんな質問だろう

ここに電話をかけておきながら

どこにいるとは

いよいよ朝顔も、本格的におかしくなり始めたのだろうか

「早く来い、すぐこい、今すぐにだ」

そこで僕は廊下に響く時計を目にした

もうすぐ従兄弟の・・いや、妹のお迎えの時間だ

どうせ僕たちが行かなくても

僕たち以上に安全に帰ってこれるだろうが

しかし、それでも行かない手はないだろう

いくら引きこもりのような僕であっても

人情まで忘れているわけではない

いや、忘れても、それくらいはしなければいけない

僕はしかし

電話を切ることもせず

相手に話を合わせる

「今何処にいるかは知りませんが

今から娘さんをお連れしなければいけないので」

「ああ・・それなら心配はするな、今ここにいる」

実に心配な言葉を聞いた

「どうしたら、そっちに月下ちゃんがいるんですか

と言うより、何処まではしって行っていたんですか」

「いや、それなんだが、いま、十橋の所にいるんだが

それで困ったことになった」

それはいよいよ問題である

困る前に問題にぶつかっていくような人物が

困っているというのは

実に厄介な問題に直面したことを意味している

「それで何があったんです」

気が付くと腕が僅かに振るえている

よほど怖いのだろう

あくまでも武者震いではない

これは名誉のためである

危険を目の前に

楽しむような野蛮な人間では断固としてない


僕は、ふるえ収まらぬまま、電話で言われた場所に

自転車にまたがるとこぎ出した

この自転車は、この家に唯一ある一台であり

後ろには、子供用の座席がくくりつけてある

しかしながら、この自転車が活用されることは

ほとんど皆無であり

車が来てからと言うもの

稼動している姿を見たことはない

僕はその車体のペダルをこぎながら

ふと思う

結局あの猫はどうなったのか

どうして、

橋なんかにいるのだろう

僕に何をさせたいのか

しかし、ペダルをこぐだけで

それが判明することはない

一時間ほど走っただろうか

ついに橋の全体像が見えたとき

僕は唖然とそれを目の当たりにしていた

橋が消滅しようとしていた

いや、それは消滅というよりかは

崩壊という言葉が正しいだろう

馬鹿でかい怪獣のうなり声のような

爆音をとどろかせ

水しぶきをあげながら

其れは水没していた

そして、本来橋の袂であり

今現在では

その場所に道は続いているが

外見的には

川しかないところに

三人の人間がいた

1人は、知らない老人であり

ほか二人は、良く知る親子である

そして、よくよく目を凝らせば

月光がその胸に

小さな牛柄の猫を抱いているのが目に入った

どうやら一匹追加らしい


「どうしたんですか」

橋を見ている三人と一匹に向けるかは置いて置いて

そう声をかける

「遅い」

そんな言葉が開口一番であったが

どれくらいの悪事を知らない間に働いたか

聞かないことには悪びれることも出来ないので

それに対しては曖昧に返事を返すと

「何があったんですか」

先ほどしたような質問を彼女にもう一度投げかけたが

どうやら彼女ではらちがあかないと思ったらしく

「遅い遅い遅い」と、

小学生並のだだを再現している大人の下にいた少女

ざんばら髪の髪型は

一見すると目元がぎりぎり見えるか見えない程度なので

夜トイレで会うと

座敷わらしかようかいの一種に見間違いかねないのは重大的に秘密でもあるが

そんな彼女が話し始める

「爆破されたようです、何者かに」

「その老人は」

橋があった場所を見て

不適に不気味な笑みを浮かべている老人を指さして

僕はたずねた

「ああ・・良く知らない認知症の老人です」

「・・・」

良く知らないのに良く症状が分かったものであるが

この少女は、少女というには些か年を食った知識を所有しているような雰囲気をにおわせるせいで、大した疑問を浮かべさせない

ような気がする

しかし、惑わされることなく僕は、身内には容赦なく質問した

「どうして知っているのだ」

「彼が自分で言っていたからです」

・・・それは実に、様態のない答えである

まさに身も蓋もない

あるがままであった

「それを信じるの」

「ええ・・・特に興味はありませんし・そう言っているんだからそれで良いんじゃないですか」

どれほど冷たい少女なんだ

信じると言えば言葉が良いが

それは単純に興味のない無視とさほど変わらない

悪行ではないだろうか

全く末恐ろしい

何度もその性格を少しでも本来あるべき少女の枠に流そうとしたが逆に死出の旅に流されそうになったのは記憶に新しい事実である

やはり自由主義に身を任せ

黒松並のひねくれた盆栽へと彼女のねじ曲がった性格を

押し通させるべきか

僕はそんなことを思うも

話の続きを続行した

「それで気には何でここまできたのかね、見たところ車はないし」

「彼女におぶって貰いました」

月光は、母のことを彼女と呼ぶ

ませているのか

馬鹿なのか

大人びているのか

大人ぶっているのか

後者で有ればかわいげがあるが

前者ではめも当てられない悲劇である

世の中とは、本当でないからこそ美しいのであり

それが本当で有れば

それは狂気である

昔の人間が昔の人間たらしめる

その芸術の執念は

その狂気的な本物にあるのだろうと

僕はゆめゆめ、出てくる老人に諭されるのだが

どういうこっちゃねん・・である

話を戻そう

「しかし、どうした彼女が連れてきたんだ

普通なら仕事のじゃまだという建前で

君を危険からとうざけるため

家に監禁するんじゃないかい」

「なまじ笑えません」

彼女の悪徳のせいか

あの家には冗談抜きで、檻がある

刑務所や、悪さをしていない動物園の動物が入ったりする

あれである

あれが部屋にある

異常中の異常である

「しかし、それでも君を連れてきた、よっぽどの事があったとしか思えない・・話してくれるね」

「・・その前に私を妙な目で見るのをやめてください・・破廉恥です」

「・・・・・君の悪徳を考えれば、どう言うことをしでかすか分かったものではない」

「私が何時そんなことをしたんです・・何時」

「・・・トカゲを百匹捕まえ、その尾をちょんぎって、怪しい漢方薬で煮込み、非常な怪しいぐらいの価格で

怪しい男に売っていたのを、僕は知っている、それに」

「あれはトカゲではなくヤモリです」

「同じ爬虫類だ」

「全く意味が違います、まるで、ゴジラとガメラは、一緒の怪獣だから

同じ銀幕へ登場させようとするような愚考の中の愚考的発言です」

「・・・意味がわかりにくいが・・・要するに、人参とストロベリーは

野菜だから、デザートではない、みたいなことか」

「余計分かりにくいですし、何です、何でイチゴだけを英語に直したんです」

「・・・そんなことより、何があったか詳しく聞かせてくれ」

「そんななおざりな会話術だと、彼女が出来ても別れますよ愛想付かせて

私がそうでした」

・・・言い訳がましくもなく

だいたい名誉のためにいわなければならないが

そんなことは今の人生でない

そして未来的にもないことを祈ろう

いや、ないと断言しておきたい

「そんな事実などない」

「・・・・・」

「そんな目で見るな僕を」

「それで事件の話ですが、老人がいきなり猫を持って逃げ出したんです

だから私を帰すことも出来ずに

一緒につれてきて

あの惨事をあなたは、のこのことやってきて

その惚けた顔で私たちと見ていたわけです」

こいつは一体どの方面へといきたいのだろうか

そのアイデンティティーは、果たしてどの方面から得た知識なのか

それとも真性なのか

どちらにしても悪口はやめて貰いたい

「それは分かったが、何時、幼稚園にお前の母親は行ったんだ」

「だから、猫を探しているときじゃん、普通に考えれば」

「・・・・これからどうするつもりだ」

「・・・別に、警察がきていろ色ごたごたする前に

帰るのが賢明だと私は思うけど・・ねえ、朝顔」

「・・うん・・何・・帰る・・・そうか、帰ろう」

「でも朝顔さん、あの老人はどうするんですか」

「・・うーん・・ほっといても良いんじゃないかな」

「良いわけ無いでしょ」

「そうかな・・・別に」

「とりあえず連れて帰ることにします・・良いですね」

「そこまで言うなら良いけど」

かくして四人連れであるきながら

自分たちの家の有る方角へと

歩くのである

しかし僕はその途中で

気になったことを聞いてみることにした

「あのおじいさん、何で猫を連れてはしったりしたんですか」

しかし老人はそれに答えることなく

「戦争バンザーーーイ戦争バンザーーーイ」

と、いきなり叫び始めた

「ああ・・あのおー」

僕がなんとかと目に入ろうとするも

しばらくそれが続いたのである


老人を一応に、警察署に預けようとすると

横にいた月光がぶつくさと

(無責任)と、念仏のようにつぶやくが

それに反論もせずに

僕は滞りなく預けると

そのまま帰宅した

今日の夕飯はカレーである

家に帰ってから作っておいたのである

ちなみにお隣さんから貰ったなすを

角切りにして、出来るだけナスの煮たときにである味を薄めるように

しむ込むようにしたのである

どうしてそんなやっかいなことをしたかと言えば

自分もそうではあるが

あのおやこ二人してナスが駄目なのである

昔の老人が

取り立てのナスを良くもみ込んで

へたを取った中央に小さな穴をあけて

それを飲んで、残ったもので紙風船のようにして遊んだと言ったときは

まるで僕が、生きた鹿の内蔵を、ムシャムシャチュウチュウ食べているような目つきで僕を見ていた、実に心外である

「いただきまーす」

朝顔は、早食いである

そして今回、僕は、今日のぐざいは、トマトという事にしてある

出来上がる直前に入れることで

触感を残す工夫をしたとさも自信ありげに語ったが

どうだろう

たぶん朝顔は食べ終わった頃に気が付くだろう

しかし、月光は違う

「御馳走様」

果たして味わったのだろうかと言いたくなる

そんな言葉を残して

ふと、朝顔が言う

「このトマトなんかナスみたいだよね」

ついに火蓋が切って落とされた

まるで、英国のディナーのごとき

優雅に食べる保育園児

このただの保育園児に

どれだけ苦手なナスを食べさせられるか

それが問題だ

しかし、奇跡が起こった

「・・・・・」

今日はどこか上の空であり

いつもの、上品に上品を重ねた

上品のミルフィーユのような奴が

今日はさも普通に

食している

それに朝顔も心配したのか

「あんた大丈夫」

などといっている

しかしその問いにも

大した返事もなく

月光は

「御馳走様」

そう言って自分の部屋に帰っていった


「ほら起きなさい」

朝早く誰かに起こされるが

間違いなく朝顔であろう

そして何か妙な物を感じた

「仕事よ」

僕たちが向かった先は警察だった

そして依頼人というのが警察だったのである

「やあ、久しぶりだね、朝顔君・・それと早君、君もおもしろい

こんな真っ昼間から警察署に来るなんて

私の幼い頃でも出来なかった」

ちなみ所長は

朝顔の年の離れた兄である

「・・・・」

僕は何も言い返さない

こんなことを言われるのは目に見えていた

いや、逆に言われることのほうが少ないが

なまじ心の中で思い描いたが故に

そこまでではない

一番悪いのは

おだてて突き落とす

詐欺のような奴である

「まあいい、それで今回の依頼なんだが

ちょっと、条件がある」

「条件」

朝顔が首をひねる

もうどうやら仕事の内容は二人の間で何らかの

連絡をしたらしい

「君、そう、早君、今回の事件の犯人を見つけられなかったら

君は学校に行って貰う」

「無理です」

そうなのだ、こう言うのは嫌だ

だいたいどんな内容かも分からない


「まあ良かったじゃん、お小遣い貰えるってよ」

何処まで呑気なのかこの人は

失敗したときのリスクを考えていない

良く大人として死んでいないなと思わずにはいられない

それは一概に

運が良いとしか言えないのを僕は薄々しっている

しかし運も、何とかと言うしな・・・

今回の内容はこうだ

橋を爆破した人間を捜し出せ

全く警察の恥はないのか

こんな大事件

しかし、もちろん警察も動くだろうし

もし発見したときの賞金は

叔父さんのポケットマネーでもある

だから別に違法ではないし

職権の私物化でもないだろう

しかし、情報を流している時点で

それは実に裏切りこう言うというか

良く言うじゃないか刑事ドラマで

危険にさらしたくない

みたいなことを

危険にさらして良いというのか

あのおやじは

どちらにしても半ば強引に決めつけられた僕は

ここ三、四年で一番のピンチをその幼い年齢ながらに

たたされているのである

まるで絶壁の上

後ろから迫る巨大な叔父

僕はじりじりとうしろに下がるが

もう後はなく

足下の土が

僅かにしたへと落ちていく

絶体絶命の大ピンチである

大体こう言うことは起きないのに起きている

そして、必ず来る、刑事なりヒーローは、来ないだろう

もし来たというのであれば

それは宝くじぐらいの幸運であり

やらせの確率が高い

どちらにしても

そんなことは起こらないと考えておいた方がいいだろう

そのとき僕はまだ知らなかった

爆破がこれ一軒だけではなかったことを


結局僕はその時期

やったことと言えば

老人の面会をして

月光のお迎えをして

夕飯を作ったくらいだ

一体何をやっていたのだろう

ただでさえ人のいない橋であった

監視カメラも

もちろん目撃者がいたわけではない

そうは言っても、僕たちと老人、それにあの牛柄の猫も見たが

どちらにしても猫は言って置いて例外だ

そして朝顔たちが見たのは

崩れ落ちる橋であり

それ以上は、何も見ていないのであった

「どうする」

約束の日は今日である

だからヒーローなんていないのだ

もしかして所長自ら

いやないだろう

いくら人間として嫌みで図々しくても

そんなことをやるくらいにひん曲がった根性と精神は無いだろう

結局

僕はあの当たりをぐるりと幾度と無く探索するも分からず

朝顔に至っては

いつもより金がはずむので

僕のためを思ってはどうかといえるかも知れないが

僕自身は嬉しいと言うべき方向だろうが

何だろう・・・

とにかく一生懸命であるが

特に町を当たっても

さし当たって珍しい証言は得られない

ただ一つ

転校生が来るらしいことは聞いた

何でも、ものすごい金持ちだとかなんだとか

どちらにしても僕に関係のある話ではない

そして行くことが無事なくなれば

それに越したことはないのである

「いやーー、残念だったね」

大人というのは汚い

本心で思っている確率はどれくらいだろう

まあ、無いであろう

大人とはそう言うものだ

今日の約束の時刻

結局僕は手がかりを何も掴むことなく

警察署署長が直々に会い

その結果、明日から学校に一年とりあえず行ってこいという

実に死刑宣告にも近いことが言い渡された

なんて事だ

僕はふらつきながら

何かを考えたくて

一緒に付いてきた

朝顔が車に一緒に乗ろうというのを断り

そのままあるきながら思考を巡らせることにしてみる

「ちょっとあなた」

僕が商店街の裏の路地を歩いているとき

僕の耳に悪魔のような

同世代と思われる女子の声がした

否応無く僕は同世代が苦手だ

というか人間が苦手だ

もはやそれでどうやって社会を生きろと言うのだ

全く持ってなんかいだ

「ちょっと」

またしても声をかけてくる

せっかちだ

別のまたある気だそうとしているわけではない

どうしてそうせっかちなのだ

「・・何でしょう」

僕が振り返ると

それは実に気の強そうな女性がいた

背は僕より低く

僅かに髪が茶色っぽい

染めているのか

しかしあまりにもマッチしているため

それが地毛であるのかも知れないと言う可能生もある

「・・オオマガドキ商店街は何処よ」

実に怒り浸透している声で言うが

この商店街である

この一本向こうにわたれば

オウマガドキ商店街である

「あっち」

僕はその指で

細り露地を指す

「ああ・・ありがと」

それはそう言うと

そのまま向こうの露地には行っていく

「・・ちょっと」

「なに」

明らかな嫌悪感とともに奴はそう言った

「そっちじゃなくて、」

僕は確かに指さしたにも関わらず

反対側に行こうとしている少女に言った

「良いじゃない、あなたが本当のこと言ってるか分からないもの」

とんだひねくれ者である

いや、驚いた顔を見て面白がっているのかも知れない

「じゃあ、」

僕はこんな奴と関わったのが運の尽きだと

あきらめて、足早にその場所を退散した

「待ちなさい」

僕は意趣返しに走って逃げた

しかし、そのあと

「ドローボー」という、明らかな悪意のこもった声により

僕がしばらく警察との地獄の鬼ごっこを開催しなけば行けなかったのは

実に最悪的な事実なのであり

また、あの女が、あの一ヶ月の間に、数少なく仕入れた

一見して全く持って関連性のない

つまらない珍しいことの一つだったと分かるのは

それから二日後のことである

大きなお節介に

所長の叔父から、高級な鉛筆を送られ

なまじジャーペン派手はないので、

それを持つと、僕はそのまま、学校に向かった

一度も行ったことはないが、道を知らないわけではない

一応の道順を頭にたたき込まそうと言う朝顔の親切心を断り

僕は久々に、朝早く起きると

断腸の思いで、死ぬように、学校に出かけたのである

今思えば、その時点で間違っていたのだ

自分の考えを突き通せていれば

そう思わずには居られない

「あんた、この学校の人だったの」

開口一番、転校生が、引きこもり相手に

自分の横にいる僕に向かって

そう言った

「うるさい」

まるでここ係りの人みたいにないいかたに

僕は軽く怒る

「まあ、まあ」

先生が割ってはいるが

それ以前に、不登校の僕が、どうして転校して日の浅い彼女と顔見知りなのかを、不思議がっているようにも思える

「それでは紹介します」

先生は、そう言うと、クラスの人間に向かって

二人の自己紹介をしている

僕に対しては

「都合により」

時季はずれの転校生には

「親の都合」という案配になっている

かくして僕は素っ気なく

○○です、などといって、早々と終わらせると

席に向かおうとするも

ちょっと待って

と、先生に止められ

あの生意気な奴の後ろで

自己紹介を聞くことになる

「私の名前は、鏡 花神です、よろしく」

僕と対して変わらない

素っ気ないものであった

僕が言えた義理もないが

「それではお二人は」

そして何の因果か

たまたま開いていた

末の席を、指さした

「隣同士で座ってください」

普通こう言うのは、別々にするものじゃないのか

余所者どうしにしてどうする

まあ、地元ではあるが僕は

「じゃあ、黒帽子先生は授業があるから」

先生は、自分で自分の名前を言う

不思議な人でもあった

かくして四六時中突っ伏している僕とは正反対に

隣ではやかましく、彼女の拒絶を聞いていた

「鏡さんは、休日どうしているの」

女子の1人が休み時間を利用して

隣の偉そうな奴に言った

「あら、聞いてどうするの、何も出さないわよ」

誰がこいつから物を欲しがるのだろう

僕はとなりながらにそう思うのである

いや、しかしながら、金持ちという前情報を知っている僕としては

そんなことがあるのかも知れない

などと、心のどこかにも思わず

ただの風景として聞くのであった

「えー、今日の所はこれで終わりにする、当番」

こっちとしては、すべてが始めてである

もうはや、小学生などと言う時期は、遠い昔であり

あまりいいおもいではなんくはないかも知れないが

あまりにも難しいくらい難しい問題である

どこら辺が難しいというのであれば

それは、難しいのである

とにもかくにも

僕は皆の流れの中で

1人足早に帰宅部に邁進しようと

心に決めるも

そんな僕に声をかけてきた物があった

「ねえ」

はじめは空耳か

それとも当たりの喧噪の一つか飛んできてたまたま僕の耳に強く

感じと

しかし僕はそれをよそにまた寝ていると

「ねえ」

今度は肩をたたかれた

どうなのだろう

眠っている人間にそんなことをするのは

大勢の神あれど

僕は許さない

そんなこと言えるはずもなく

僕は突っ伏して

まるで孤独を愛する気取り屋のようなことを

していると自覚しながらも

この空間愛におぼれていたが

それをやむなく解除すると

僕は外の世界へと目を向けた

机から顔を上げる

そこには同級生と思わしき

女・・いや女子が立っていた

おかっぱである

もしここがここでなければ

小学生

と訪ねるよりかは

やはり年が上に見える

しかし、どうも同学年に近い人間というのは話しにくい

僕はそのまま

そちらを見ていると

(ああ、話さなきゃ)

見たいな感じの会話があるかどうかは知らないが

それは僕に向けてその口を開いた


「覚えてますか」

僕は覚えていた

いや、正直忘れてほしかった


僕が小学校の時の同級生宮下 月野である

別段深いなかな訳でもなく

ただの同級生であるが

一体全体なぜに話しかけてきた

僕を惨めに誘うような

友達的なものではなさそうだと

勝手に解釈しながら

予防線を張っておく

「ええ・・それで何か」

そうなんだというのだろう

僕はそれを見ていった

「実は付き合ってほしいの」

これは新手の、剣道かフェンシングの誘いだろうか

のこのことはいっと言ったが最後

実はそう言う突きあいにちがいなく

こんなの詐欺だと言っても

何のこと

とかいって白を切られ

挙げ句の果てには、そんな勘違いをした自分を攻めさせるにちがいない

僕は改めて断ろうと考えていると

「断らないよね」

一体どういう事だ

まるで猫のような瞳で

見下げているにも関わらず

見上げているかのような錯覚

「と言うと」

言葉が見つからないので

相手に投げ返した

「だから・・・約束を」

果たして約束などしただろうか

僕という人間はちゃらんぽらんであるからにして

そんなものとうの昔に忘れているか

この人が覚え間違い

もしくは詐欺を働こうとしている可能生も捨てきれない

「詐欺をしようと考えているでしょ」

先ほどまでの子猫が消えて

いつの間にか魔女でさえ操りかねない

化け猫らしき魔の者がそこに立ってこちらを見定めている

いや、威圧に近い不思議な感覚だ

これは実はドッキリなのか

「もう良いや、明日から付き合いましょ」

「・・・・いや、明日は予定が」

「ならそこに私も行く」

もしや、僕の頭の中に百分・・いやせんぶんに近い確率で

もしかしたら何らかの組織の何らかの役職にこの宮下は付いており

それで僕の動向を

なまじ橋の事態が大きいので

そんなことがあるかも知れない

果て万が一に備えて

断ることを考えていると

「あっ・・ごめんなさい」

僕はいきなり机に頬を擦り付けた

いや、違う、後ろから何かが俺を前に押したのだ

「・・・」

僕は後ろをおそるおそる振り返ると


そこにはなぜか、先生が立っていた

「ああ・・先生でしたか」

まさか先生が嘘のようないじめを始めるつもりか

ぼくは注意散漫していた注意を

何とかかき集めると

先生の動向を調べる

しかし

「なに、何の話」

逆に聞かれてしまった

いや、それはいい、会話と言う物は、なまじ嘘が露見しやすい

最近の刑事ドラマなんか見てると

ほとんどが、刑事役や探偵役や近所のおばさん友達

何だってどうでも良いのであるが

犯人を言い間違えさせて

捕まえるという

もはやラッキースケベをりょうがするずるさを否めない

あの探し回った時間は何だ

時間稼ぎか

それとも余程運に恵まれているのか

前に朝顔にそんなことをいったが

別に、謎なんてどうでも良くて

何となく雰囲気がおもしろければそれで文句はないのよ

と言う

実に謎に興味もロマンもないことを言うが

渋茶を飲みながら、なんか良く分からない難しそうな本を読んでいる

月光はというと

果たしてドラマを見ていないにしろ聞いていたのか

それとも、話している物を聞いたのであろうか

どちらにしても

ほんの向こうから

「・・・どうでも良い、しかし、あえて言うのであれば、結局はそうなっていた、そしてたまたまという物がすべてだという事へのしさ」

「・・どう言うことだよ」僕は頭にはてな何かを浮かべてみる気はないが

そう言う、疑問視であろう、しかし、日本人にはてなは不要だが

最近になり浸透した固め、はてな感染者が多く

言葉に悩むことなく

何でもかんでもはてなを付け

あげくには、日本古来の疑問視に対する風情

そして、元々あった疑問視のときどくとくの言葉が消滅しかかっている

あまりに日本は変わってしまったと

嘆くこともなく

やはり聞く

「だから」

会話の途中だというのに

本を片手に

渋茶を啜ると

本を下げて

落語家のように不貞不貞しく

自慢げとも普通とも

「結局その人の才能ではなく、運がすべてだと言うこと示唆」

「・・・それじゃあ学校で何で努力しろといっているのだ」

「あれは単純に、ふるいにかけているだけなのだよ」

「・・ふるい・・学力的なことか」

「今の現代社会を見た前、どこもかしこも同じようなもの

都市開発が進めば、皆同じようになってしまう

そうなると、人間も同じようにしようとする

中途半端をなくし

皆正方形のかっちかちにしようとする

その結果、昔は、それを外面だけで取り繕っていたのが

それを本気にし出し

正しさこそが良いと思い始めたが故に

おかしくなる

正しさなんて物は実に曖昧だ

それこそそんな物は空想状の産物に等しい

自分がもし何かを正しいと思った瞬間

それは自殺行為にも等しい賞賛だと思いたまえと

私は言いたい」

この保育園児は、何を言っているのか

本の読みすぎで

それこそ宙を歩くようなメルヘン少女になってしまったのか

この歳でこれだとこの先大変であろう

「お前は大丈夫なのか、不確定要素を含んだそれこそ形さえないようなもんだろ、社会にいないと思われて消されや、しないか」

「ははははは、私はもはや消えた存在

なれば何にでもなれよう」

「いやそう言う事じゃなくて」

「他人は他人・・・これは実にひどい言葉だとは思わないかい」

「いや別に・・・それこそお前がさっき言っていたように

人という物は他人の評価できない

だから、そのことは正しいと言うことにお前のあんならなるだろうさ」

「いいや、これは大いなる詐欺だ」

「はあぁーああーー、お前は言葉をクルクルと変えすぎじゃないのか」

「話を最後まで聞きなさい、要は、正しきものでも、それすべてに陶酔していたようでは、しょせん価値観の偽造でしかない、正しければ正しいほど、それは正しさをも裏返す悪かも知れないと考えるのも一興ではないかと言うところで、私は先にお風呂に入ります・・覗くなよ」

「・・・・なんだその言葉で、後を追わせずにごまかそうとしている

要はどう言うことだ、信じる物は救われる一方で、信じていない人間も同じくらい救われていた可能生もあるんじゃないかと言うことだよ

悪だから悪いわけでも良いわけでも何でもない

善だろうが関係はない

決めているのは主観的な問題であり

そこが問題点だ

人は何にでもなれるが

それは頑強なまでに固定された中で生きていた方が

正しくもあり

また、正しいが故に、間違っていることもあるかも知れない」

「お前は何だ、反宗教家の本でも見たのか」

「いや、開かず禁ちゃんと大仏の載っている雑誌を見ていたら

ふと思ったのだ」

「ようわ分からんが、お前の風呂は長いから

30分までにしろ」

「そう・・そこだ、実はその30分異常の風呂にいらいらしているのが

実は良いことだった、いや、待たなかったときと、たいして変わらないんじゃないのか・・と」

「はいはいもう良いから・・残り29分」

「・・・・まだこの講義は」

「いつから授業を受けていた・・それにこれは講義ではなく、僕に対する

反逆的抗議なのでは」

奴は少しきょとんと見ていたが

「寒いからお風呂先はいります」と

要らんことを口走ってはしっていった

「・・・あれはだいじょうぶでありましょうか」

僕はドラマを見終わり

新聞をアイマスクに

畳に寝っ転がって寝ているように思われている

朝顔に聞いた

寝ているのなればいいが

僕はそう思いながら

少し待って部屋に帰ろうとしたとき

「さあ、今がおかしければ、将来まともになるかも知れない

でもそれが逆だとしたら、あのことは一人だけまともになってしまうかもね」

まずらしくまともなことのようなことを言って

彼女は寝てしまったのか

寝ているようである


結局たわいもない話をしてその会話が終了しかけたとき

「ですから私は、橋に一緒に行きたいと思います」

と無理矢理会話に入り込んだ

宮下なのであるが

僕は其れをやんわりと断ろうとするのを

有無も言わせない強さで押し曲げると

そのままその話は終了となる

「しかし、君も災難だね・・其れで橋はどうするの」

先生が聞く

「さあ・・・朝顔は少しづつでも・・ああ・・ええと、家の母です」

「知ってるわ、一応」

「そうですか・・そんなとこです」

「面白そうだけど・・」

そこで先生は、言葉を切って

「あまり無茶しない方が良いわ

どうせ起こることは起こるんだし

止めようとするとばかを見るわよ」

「・・・・・どういう」

「と言う格好いい台詞を私は吐きたかったのです

と言うことで、まあ、気をつけて、よければ演劇部にようこそ」

僕はその手を丁寧に、差し出しているにも関わらずお断りして

言えにダッシュで帰るのである


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