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雪の中の、小さな小さな御話

作者: 梨桜

これは、雪の降るある村で伝えられている童話。

*****

あるところに、小さな小さな女の子がいた。その女の子は眼の色は青く、金髪だった。耳がとてもよく聞こえた。目をつむっていれば、何㎞先の音でも聞き分けることができるほど。ちょっと周りの人とは違うけれど、それでも仲良く暮らしてた。

「えいッ!!」

「このぉ、やったなぁ!?」

今日も、いつも通りみんなで笑って、遊んでいた。


あくる日の事だった。その日は、強い吹雪の日だった。

女の子は、かすかに泣き声を聞いた。とても小さくて、一人で泣く声。

「――――行かなきゃ」

洋服を着込んで、女の子は駆け出して行った。

轟々と降る雪を、ゴーグルで防いだ。ゴーグルにびしびしっと雪があたって、見えなくなったら手で拭った。

「ぅぇぇぇぇ…」

「すぐ、近くだ―――」

女の子は走る。やがて、小さな男の子を見つけた。こんなに寒いのに、とても薄い服だった。

「危ないよ!」

女の子は男の子を連れて、洞窟へと入った。洞窟に雪は入って来なかった。タオルで男の子の髪を吹いていく。

「ねぇ、おねぇちゃん、だぁれ?」

男の子は漸く泣き止んで、口を開いた。女の子は「私は、ユキ」と答えた。「君の名前は?」

「僕、マサト」

それから、いつまでもいつまでも二人で喋り続けた。おやつにチョコも食べた。


「えへへ…」


ユキは、頭の中に何かが響くのを感じた。

「おねぇちゃん、嘘をついててごめんね」

それは、あの男の子―――マサトの声だった。

「僕はね、死神」

みると、マサトは真っ黒い服に変わっていた。

「ここに堕ちた死神なんだ」

マサトは、寂しそうに笑った。

「ここで人間と一夜を過ごせば戻れる――だから、おねぇちゃんを利用してた。」

ユキは、ショックだった。それは、マサトが死神だから。ではなく

「ユキ、ありがと」

マサトの体は、消えていく。

「マサト!!行かないで!!」

マサトと別れるのが、嫌だったのだ。

「「バイバイ。また会おうね―――――――」」


*****

学校に新しく来た子は「マサト」という名前だった。

誰もいないところで、二人は笑った。


「「また、会えたね」」


その時、ユキの体は崩れ落ちた。

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