表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の記憶 ~ AIアイドルと、静かな整備士の三年間の記録 ~  作者: 明見朋夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/25

第8話 折原の感情

「しばらく、ライブ活動は控えます。」




 折原はエリーの目を見ることなく、コーヒーの入ったマグカップを持ち上げながら言った。ライブを楽しんでいたエリーの反応を、真正面で受け止めるのを避けるように。




「えーー!? なんでー!?」




 想像通りの反応だ。エリーの声が部屋中に響いた。




 折原は気まずさを隠すように、ノートパソコンの画面へと視線を移した。




「ライブだと君の負担が大きすぎるんです。」




「ちょっと寝れば回復するじゃん!」




 確かに、メンテナンスをすれば通常通りに戻る。だが、メンテナンスにかかる時間とボディへの負担は、チームの想定を大きく超えていた。




 視線を外したまま、折原は言う。




「今後は、以前のような配信やテレビ出演を中心に戻します。未発表の曲もいくつかあるので、それを収録してアルバムを出しましょう。」




「……歌の収録は嬉しいけど。ライブも良い感じだったじゃん。」




――ライブは良い感じだったかもしれませんが、君が"良い感じ"じゃないんですよ。




 エリーが彼の隣まで回り込み、折原の腕を掴んだ。折原は広報チームとのチャットを続けようとするが、エリーの手に阻まれた。




「なんか隠してるでしょ!」




「何も隠してません!」




 エリーの腕を振り払い、再びキーボードを叩く。




――君のためなのに。




 その言葉が喉の奥まで出かかった。




 大きく息を吐いて、折原は立ち上がる。真っすぐに彼女の瞳を見る。




「プロジェクトチームの一員として伝えます。これはチーム全体で結論を出した正式な決定です。エリーには、これまで通りチームが立てたスケジュールに従ってもらいます。そしてマネージャーとしても、今のペースでライブを続けるのは反対です。さっきも言いましたが、ライブは君の負担が大きすぎるんです!」




 我慢していた感情を吐き出すように、折原は一息で言い切った。その表情に圧倒され、エリーは言葉を失う。




「……怒んなくてもいいじゃん。」




 折原は目を伏せ、深呼吸してから柔らかい声で言う。




「怒ってません。君のために言ってるんです。だから、まずは集中メンテナンスをするために、ラボに戻りましょう。」




 エリーは小さく唇を噛み、視線をそらした。その横顔は、どこか拗ねた子どものようだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ