第22話 最後の打ち上げ
たくさんの拍手と歓声。ファンの涙でライブは無事に幕を閉じた。
会場のファンたちはなかなか会場から出ようとせず、会場スタッフが必死に誘導していた。
控室では、スタッフたちがエリーの為にケーキや花束などを準備してねぎらってくれた。
「きゃー!嬉しい!みんなありがとう!!」
今日の参加者で小さな打ち上げが開かれた。
エリーも大きな異常がなさそうで、折原も安堵していた。
"カンパーイ"
メイクスタッフがエリーに近づき、泣きながらハグをした。
「エリーさみしいよー」
彼女はずっとエリーを担当してくれており、エリーも彼女を好いていた。
「ありがとう」
エリーもハグをしかえした。
メイクスタッフが我にかえったように泣き止んだ。
「エリー熱いよ。熱あるの?」
「……熱あるのかな?」
自分ではわからないのか、エリーは折原をみた。
折原は、エリーのおでこ、腕、肩を順に触った。
――これはまずい。すぐにラボにもどらないと。
エリーのボディは限界にきていた。
「すみません。エリーは体調がすぐれないようなので帰らせます。」
会場がざわつく。
「よく頑張った!」
「エリー偉いよ」
「ゆっくり休んで!」
再度、大きな拍手がわきおこる。
「みなさん、ありがとうございました。また、改めてご挨拶させてください。」
「お疲れ様でした。みんなありがとう!」
エリーをステージ衣装のまま会場からだした。
会場の駐車場に、ラボの車を用意させており、生守が運転席で待機していた。エリーを後部座席に乗せ自分もエリーの隣に座り、生守の調整装置をエリーの両手にセットした。
「エリーはどんな感じだい?」
「体中が熱いです。」
「……私、熱いんだ?」
――体温感覚もマヒしてるのか…。
「ラボまで急ぐぞ」
生守はハンドルを両手で握り、アクセルを踏み込んだ。折原は、エリーを支えるよう両手で彼女を包んだ。
エリーは折原の腕に抱かれ彼に身体をあずけ、安心したように目を閉じた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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世界のはじまりを描いた神話にも、少しだけ触れてみてください。
本作は、拙作「二つの月の神話」の設定をもとに紡いでいます。
誕生を司る金の月の女神、
そして終わりを司る銀の月の神。
ふたりの物語は、
この世界の“祈り”と“終わり”の原型でもあります。
全5話、2,659文字の短い神話です。
物語の余韻のまま、静かに読める長さになっていますので、
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