表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の記憶 ~ AIアイドルと、静かな整備士の三年間の記録 ~  作者: 明見朋夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/25

第21話 ツェルバへの歌

エリーが再びステージにあらわれると、今までにない歓声がわきおこった。




"エリー"




 


"やめないで!"




 


"歌って!"




 




 人々の様々な思いが、エリーに届けられる。




「ありがとう」




"エリー大好き!"


 




"こちらこそ、ありがとう"


 




「私の名前は、金の月エリノッティからつけられました。」




"やっぱり!"


 




"知ってるー"


 




 エリーはかえってくる反響に驚いたように笑う。




「アルバムでも、写真集でも、このライブでも2つの月の神話をいれたくて初めてスタッフに自分の意見を伝えました。」




 ステージの中央で静かに話すエリーは、先ほどまでの疲労を感じさせていなかった。




「このシルバーの衣装は、私の中ではウエディングドレスをモチーフにしてます。一度来てみたかった。」




 少し照れるように、言葉尻が小さくなり、照れたように笑った。




"かわいいー"




"似合ってる"


 


「エリノッティは銀の月ツェルバを憎んでて、ツェルバはそれが辛くて泣いていなくなってしまう。ってのが一般的なんだけど」




「図書館で、神話を読み漁ってたら、少ないけどその続きの物語がのこってました。」




「ツェルバはエリノッティを愛してて、エリノッティもツェルバを愛してたんだって。」




 会場がざわめきはじめる。




 ステージの袖で、折原もエリーの言葉に戸惑っていた。




――そんな続きがあったのか……。




「最後の曲は、エリノッティから銀の月ツェルバにあてたラブソングです。聞いてください……」




 ステージスクリーンには、夜空の映像が映し出される。金色の月と、銀色の月が、静かに並んでいた。




 ゆったりとしたテンポに合わせて、ペンライトがゆっくりと左右にゆれていた。




 折原は、彼女が歌っている間、涙が止まらなかった。




 ステージ裏のスタッフたちは


 


「これってツェルバへの歌っていうか…」


 


「個人的すぎない?」


 


 と、折原を遠巻きにみて小声で話していたが、折原の耳には入らなかった。




 エリーが歌っている間、折原の頭をよぎったのはエリーとの静かな日常だった。




 初めてのクリスマス。毎日一緒の朝食。ライブ配信やイベントの反省会。移動中の雑談。




 はじめから終わりがあると知っていたが、この日々はもう続かないのかもしれない。




 そう思うと涙が出ていた。


 




 何事もなく、アンコールは終えた。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。


もしこの物語を気に入っていただけたなら、

世界のはじまりを描いた神話にも、少しだけ触れてみてください。


本作は、拙作「二つの月の神話」の設定をもとに紡いでいます。

誕生を司る金の月の女神エリノッティ

そして終わりを司る銀の月のツェルバ


ふたりの物語は、

この世界の“祈り”と“終わり”の原型でもあります。


全5話、2,659文字の短い神話です。

物語の余韻のまま、静かに読める長さになっていますので、

よろしければぜひ、あわせてお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ