第19話 最後のステージ
あっという間に、ライブ当日。
会場にはチケットが買えなかったファンたちもかけつけ、小さな騒動になっていた。
会場は満席。ファンたちはペンライトをもっていた。会場には大きなスクリーンが設置されている。
控室では、金色の衣装を着たエリーがメイクとヘアーのセットアップをしていた。
鏡越しに折原を確認し、エリーが鏡の向こうの折原に手を振った。
「アージェル不安そうな顔してる」
「今までで一番大きい会場ですからね」
誤魔化すような返答をした。
――あなたが最後までもつのか、心配なんです。
さすがに会場にカプセルは持ち込めなかったので、生守からエリーの電流や感情を整える調整機を預かっていた。一時的にでもエリーの状態を少しでも整える為に。
「会場の外にもファンの方いるみたいですよ。すごいですね。」
メイクの女性がエリーに伝えるとエリーは驚いた様子だった。
「嬉しいね。」
セットアップが終わり、ステージの裾まで移動する。バックダンサーも数名スタンバイしていた。
「いってくるね。」
エリーの言葉に、折原はうなずきで返答した。
会場が暗くなり、プロローグの映像が流れる。
エリーは、リハーサル通り音楽に合わせてステージに現れた。
ファンの歓声が響く。
エリーはいつも通り歌っている。彼女の歌声を聞き折原は静かに涙を流していた。
慌ただしいライブ現場で、折原の涙に気づく人はいなかった。
彼自身、涙をぬぐうこともなかった。
折原自身、自分の涙に気づいていないようだった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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世界のはじまりを描いた神話にも、少しだけ触れてみてください。
本作は、拙作「二つの月の神話」の設定をもとに紡いでいます。
誕生を司る金の月の女神、
そして終わりを司る銀の月の神。
ふたりの物語は、
この世界の“祈り”と“終わり”の原型でもあります。
全5話、2,659文字の短い神話です。
物語の余韻のまま、静かに読める長さになっていますので、
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