第17話 最後のスケジュール
広報チームは、全国を回る大規模な引退ツアーを企画したが、移動の負担はエリーの寿命を縮めるだけだ。
折原はそれを即座に却下した。
代わりに、首都圏の大会場での一度きりのライブ。それも、リハーサルで負荷がかかりすぎないよう、日程には十分な空白を設けるよう指示した。
パズルのピースを埋めるように、最後のスケジュールが決まっていく。
引退ライブは、5ヶ月後。それが、彼女に残された時間のすべてだった。
アルバムはその1ヶ月前、4ヶ月後に発売が決定。
写真集は、アルバム発売の1ヶ月後、引退ライブと同じ月に発売される予定だった。
「……半年ないのか」
決定したスケジュール表を見つめ、生守が低い声で漏らす。
折原は何も答えず、ただ無機質な日付の羅列を目に焼き付けた。
それはまるで、愛する存在への死刑宣告書のようだった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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世界のはじまりを描いた神話にも、少しだけ触れてみてください。
本作は、拙作「二つの月の神話」の設定をもとに紡いでいます。
誕生を司る金の月の女神、
そして終わりを司る銀の月の神。
ふたりの物語は、
この世界の“祈り”と“終わり”の原型でもあります。
全5話、2,659文字の短い神話です。
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