第14話 部品交換
――それから数日後。
雨は上がり、空は晴れていた。
生守からのメール。
『部品が届いた。明日、ラボに集合』
折原は、エリーにそのことを伝えた。
「やっと届いたんだね!」
エリーは嬉しそうに笑う。でも、折原の表情は硬かった。
翌日、ラボ。
白い光が静かに点滅している。エリーは黒いカプセルの中に横たわっていた。
生守が、胸元のパネルを開く。内部の回路が露出する。
「……これは……」
生守の手が止まる。折原も、その様子を覗き込んだ。
回路の一部が、黒く焦げていた。まるで、何かに侵食されたように。
「負の感情を変換する部分だ。ライブで観客の感情を受け取るたびに、ここに負荷がかかっていた。」
生守は、慎重に部品を取り外す。
「交換できる部分は交換する。でも……この中枢部は無理だ。」
「……どういうことですか。」
「中枢部には感情装置と記憶メモリが入っている、交換するとリセットされる。今までのエリーじゃなくなる。」
生守は、折原を見た。
「だから、交換できない。このまま使い続けるしかない。」
「それじゃ……」
「ああ。エリーの稼働時間は、予定より短くなる。」
折原は、言葉を失った。
――あと…どのくらい?
生守は、新しい部品を慎重に取り付けていく。
「できる限りのことはする。だが…」
生守のいつにない真剣な表情が緊迫感を感じさせた。
折原は屋上に出た。空は晴れていたが、風は冷たかった。彼は両手で顔を覆い、深く息を吸った。
――エリー…。
エリーとの穏やかな日々がまるで夢のように感じた。




