第10話 一緒に過ごす日々
エリーと二人の休暇は、最初の3日は慌ただしかった。
初日は家から比較的近いショッピングモールでショッピングと、流行りのロマンス映画の鑑賞。
エリー曰く、映画にはポップコーンが必須らしい。
"誰から聞いたんですか"と問いかけそうになるのを折原は飲み込んだ。
ゲームセンターにも立ち寄った。クレーンゲームでは何も取れなかった。
エリーがやりたいことを、ほぼ全部やった。
話題のカフェでパンケーキを食べに行ったり、"海が見たい"というので約2時間の移動をした。
外に出るとき、エリーは帽子に髪を隠し、声も折原だけに聞こえるよう小さく話す。必然的に、ふたりの距離は近かった。
休暇3日の夜。部屋に戻った折原はPCのメールを確認した。
生守からのメール
『部品の到着日が遅れる。あと一週間は休み!』
「え!?」
予想外の内容に声が漏れてしまった。エリーも画面を覗き込み、目を丸くする。
「エリー、申し訳ないですが……僕は少し疲れたので、数日だけ家でのんびりさせてほしいです。」
「…うん。」
あと一週間、エリーに連れまわされる想像が折原の頭をよぎった。
フラフラとベッドのある部屋まで歩き、服のままベッドの上に丸くなった。
エリーも彼の後を追いかけベッドのそばに腰を下ろし、彼の髪をゆっくり撫でた。
シルバーグレーの髪は硬くて、少し弾力があった。
「疲れてたんだね…」
2年近く一緒にいるが、こんなに弱い彼を見るのは初めてだった。
「アージェル、寝るなら布団に入ろ? 風邪ひくよ。」
もぞもぞと動いて布団に潜り込む折原。
「ありがとう。アージェル、おやすみ。」
エリーは彼の髪を、愛しいものに触れるように、もう一度そっと撫でた。
折原はそのまま眠りに落ちた。
彼の寝息を確認すると、エリーは自分のカプセルに入りスリープした。




