星の
犬と猫が少しだけいる話
村がある
村長と、村人がひとり
あとは犬がいる猫もいる
星は幾ばくもないひとの命を静かに見下ろしている
「そんちょ」
「なあに」
「あの白いのと赤いのがありますか」
「あるね」
村人が指さすのは広大な宇宙から降り注ぐ数多の光線のうちのとくべつなものの
「あれを線でつなげてみませんか」
「それはいいね」
赤から青へ、そして白へ
ふたりの口ずさむ星の導き
切り取られたかすかなまたたき
「まるでお絵かきのようです」
「そんな感じだね」
「にゃー」
猫も賛成する
犬は寝ているクークー寝息をたてて
ふたりは夢中で空に描く夢を描く
「壮大な物語が始まりそうですね」
「これをとなりの村にも伝えようか」
「それもいいですね」
「それもね」
結局ふたりはその夜の星座を誰にも話さなかった
ともだちにもかぞくにも
にわとりにも牛にもトンボにも
もしもだれかがこっそり聞いていて
こどもに孫にずっとそのあとのこどもたちにも
語り継がれたとするなら
あのときのキラキラが形を変えて生き続けていく
それでもふたりは教えなかった
あのときふたりで眺めたキラキラを
それぞれの胸にしまっておいた
しまってしまった
赤い星も青い星も
いつかは白だったかそれともそもそもなかったか
思い出せなくなるかもしれない
流れ星がすいーっと暗闇を切り裂いていく
てのひらでキャッチした流れ星
そのまま握ったままどこに向かうのか分からないまま
キラキラと言うと星が
虹とか貝殻とか
昆虫の複眼とか
紙幣のホログラムとか




