第3巻 寄り道編2「ケイティとカノン」
第3巻 寄り道編2「ケイティとカノン」
ラファエラの2歳上の兄、ケイティのことをもう少しだけ書こうと思う。
ケイティが12歳で、俺とラファエラが10歳だった頃。
gifted学園のサバイバルゲーム公開大会――そのレセプションで、とある少女が模範演奏を披露していた。
当時6歳にして、日本からの留学生としてタレンテッド科に在籍していた少女。
名前はカノン・マエダ。
それが、現在ケイティの恋人だ。
ふたりの馴れ初めは、ケイティが27歳のとき。
今は31歳だから、付き合い始めてから、もう4年になる。
ケイティは、カノンが出演するバイオリンとチェンバロのコンサートを聴きに行った。
その演奏に、完全に魅了されてたらしい。
しかも、開演の3時間も前から、会場に並んでたっていうんだから筋金入りだ。
「ミス・カノン・マエダのアナログレコード、全種類3枚ずつ欲しいんです! 聴く用、保存用、そして傷ついたときの予備。うちの植物たち、みんな大好きなんです! 俺もですけど!」
ケイティがそう言ったとき、スタッフが少し困った顔をした。
「失礼ですが……お客様、アナログレコードの購入は限定生産なので、お一人様1種類につき一枚限りになります」
この世の終わりみたいな表情をするケイティ。
物販を扱うスタッフの1人が、ケイティの熱心さに心を揺さぶられ、カノンのマネージャーを呼びに行った。
「あの、もしかして、有名な植物学者のケイティ・バード博士ですか?」
「そうです。俺はケイティ・バードです。ミス・カノンの大ファンです。何とかなりませんか? 金ならいくらでも払います。再販の資金も、俺が用意します!」
その熱意に驚いたマネージャーは、ふと声を潜めて言った。
「控室でお待ちいただけますか? 実は、カノンもあなたの大ファンなんです。毎日あなたの研究記事を検索しては、デジタル・スクラップしてるくらいで……」
「……えぇ?!」
ケイティは顔を真っ赤にして絶句した。
そして控室に案内され――そこで、再会した。
舞台衣装に身を包んだ美しい、21歳のカノン・マエダに。27歳になったケイティ。
見つめ合ったふたりは……
一瞬で恋に落ちたらしい。
──
いま、ケイティはどうやって劇的なプロポーズをすべきか、ラファエラに毎晩Skypeで相談しているらしい。
「プロポーズ、うまくいくといいんだけどな」
俺はそう思いながら、Skypeで話し合ってるラファエラを応援してた。
(続く → 第1章「恐竜はおとなしく乗せろ」)




