第3巻 プロローグ オリバージョーンズのバケーション
第3巻 オリバージョーンズのバケーション
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【プロローグ】バケーション4分割計画(改訂版)
閻魔大王――それは、かつて「神話」と称された青年、オリバージョーンズの今の姿である。オリバーは町田市のマトリックス事件、つまり彼が閻魔大王と呼ばれる切っ掛けとなった事件から1年間、働き過ぎで疲れていた。
オリバーとラファエラは29歳になり、それぞれ双子の子供達も一歳ずつ成長した。
記録を裁き、ネットに残る魂を導き、時に神のような権限をもって断罪を下す……
――などという重い役目を、「できれば楽してこなしたい」と考えたのが、当の本人だった。
「というわけで、クローン作った」
閻魔大王ことオリバージョーンズは、満面の笑みで言い放った。
「俺の記憶、思考、全部入ってる。
人格もそのまんまの、4体の“完全複製型ジョーンズ一家”!」
ラファエラが、腕を組んで訊く。
「……で、何がしたいわけ?」
「1ヶ月に1家族ずつ、完全オフ! 残りの3組がローテーションで裁定業務!
つまり、1ヶ月のうち3週間仕事・1週間バカンス!! 最高でしょ!」
ラファエラはさらに眉をひそめる。
「それ、あたしたちにも“クローンで対応”ってこと?」
「もちろん!」
「……子どもたちも?」
「当然!!ミレーユもノアも完全再現!それぞれの家庭で、ちゃんとバケーション楽しめるようにね!」
「ミレーユが“分身で効率的に休める”って言いそう……」
「ノアは“どっちでも寝るだけ”って言いそうね……」
ラファエラはため息をついたが、結局了承した。
こうして、ジョーンズ家の4組のクローンファミリーは、それぞれ別々の週に異なる銀河リゾート、時間遡行温泉、異世界冒険テーマパーク、果ては夢のホテルまで――
自由に予約を取り、交代でバケーションを楽しむ「閻魔界バカンス制度」が発足したのである。
因みに本物のオリバー一家はプラチナのブローチ、三体のクローンファミリーは、赤、青、緑のブローチ、ルビー、サファイア、エメラルドを着けている。
今回バカンスに行くのは、プラチナのブローチを着けた本物のオリバー一家だ。
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「遊び倒すぞーっ!!」
「「「「「おおーーっ!!!」」」」」
オリバー一家(ver.1〜4)は、それぞれ違う週に歓声を上げた。
1組目は、**“次元アミューズメントゾーン”へ。
2組目は、“重力サファリパーク”へ。
3組目は、“異世界温泉郷”へ。
4組目は、“ホテル・マトリックス”**へ――。
それぞれのクローン一家が、自分たちの週に、自分達だけの「バカンス」へと旅立っていく。
そしてその中のひとつ、“次元アミューズメントゾーン”に向かった第1プラチナのブローチを着けた、つまり本物のオリバー一家が、今日の主役である。
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その頃――
別の惑星軌道では、クローンNo.2一家のルビーのブローチを着けたノアが、毛布にくるまったまま、ぽつりとつぶやいた。
「……なんで別行動なの?一緒に行けばよかったのに」
「“分身が多すぎてパニック”って過去にクレームあったらしいよ」
とミレーユが答えた。
「じゃあ……誰の旅が一番面白くなるのかな」
「たぶん、どれも全部“事件起きる”と思うよ。パパだし」
毛布の中で、ノアはくすっと笑った。
ミレーユとノアは現在4歳、2歳歳上の双子の兄弟ユリウスとネロは6歳になっていた。2人ともgifted学園に入学を希望していたが、未だ幼過ぎるので親元に居る。
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こうして、**“閻魔大王一家、分割型バカンス計画”**が静かに幕を開けた。




