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パンダの小説 オリバージョーンズの冒険  作者: 天才パンダ


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第7章「虚構の闘技場(アリーナ)と4人の王」

第7章「虚構の闘技場アリーナと4人の王」(オリバー視点)


あのとき俺は、マハラジャの別荘コロニーのゲームルームで昼寝してた。ゲーム上位ランカーたちがパーティー目的で集まってたんだけど、町田の逆流事件の一報が入った瞬間、まるで蜂の巣突いたみたいな騒ぎになった。


エミールは、場を収めようと必死だったけど――

その隣で、あからさまに不機嫌な顔してたのが、イタリア人のアレッサンドロ・ビアンキ。


オートクチュールのクローンボディ会社の社長。あの一点物の高級クローンね。15年待ちって言われてるやつ。そんなやつでも、エミールの“今の姿”には何か思うところあるらしく、目つきが棘だらけだった。


でもエミールは、気づいてるくせに完全にスルー。

あいつ、そういうとこだけ無駄に大人だ。


しばらくして、俺たちは、俺はエミールに起こされて、サーバールームの奥深くへ。

そこから意識を仮想空間――《ヘヴンズ・マトリクス》へと飛ばした。


あそこは……もともと俺が、黒豹部隊にボコられそうになった時に、6兆円で買った“ブラックホール”の中だ。もちろんマハラジャの預金で。あいつ、知ったらまた文句言うだろうな。


でもそのブラックホールがきっかけで、死者のデータや偉人の人格が流れ込んできて……この空間は再び「天国」として動き始めた。


「ここが……天国?」


その声に、ゴーストの母さんが応えた。


「ようこそマトリックスの世界へ。私はオリバーの母、ヘラのゴーストです。ラファエラ、初めまして」


驚くラファエラ。まぁ、無理もない。


「母さんたち、死んだ人間は魂だけの状態になって、ブラックホールの中で生きてたらしいんだ。俺も最初は驚いたよ」


「初めまして、オリバーのお母様」


ラファエラがまだ信じきれてない表情で頭を下げる。


そのとき、フェイ太郎が嬉しそうに自慢してきた。


「ケイティの大好きなモーツァルトにもこの前あったよ。新曲作ったって言ってた」


「えーそうなんだ?」

ラファエラが呟いた足元に、無限に広がるステージが出現する。


「それっぽく造ったんだ。……マハラジャの金で」


俺はラファエラにだけ、小声で耳打ちした。いや、今のアバターはマハラジャの姿だけど、中身は俺だ。


光るキューブの大地に、空には虹色のソーラーベール。

その中央、まだ誰も座っていない“神の玉座”があった。


ちなみに、俺のアバターは今ログイン制限中。マハラジャ本体がリアルの仕事で忙しくて接続できない状況でな。


代わりに現れたのは――俺の子供たち。四人の“大王”。


俺とラファエラが行くって聞いた途端、「ズルいズルい!」って駄々捏ねて、結局ログインさせるハメになった。四人とも、まったく……。


それぞれが別の衣装をまとい、別の武器を携え、別の思想を持って――この空間に現れた。



「第一の王 : ユリウス」

緻密なロジックで戦況を制す。天秤型のデータジャッジメントシステムを装備。


「第二の王 : ネロ」

直感と火力で押す武闘派。拳でコードを打ち砕く紅蓮の魔王。


「第三の王 : ミレーユ」

静かな思考と情緒のバランス。空間そのものを操る力を持つ。


「第四の王 : ノア」

夢のような幻術空間で敵を翻弄する、昼寝系幻術使い。昼寝こそ最強戦術らしい。



ラファエラは口を開けて見てたけど、俺――というかマハラジャの姿の俺は冷静に言った。


「この空間は、現実の鏡であり、死者の帰る場所でもある。けど……暴走したままだと、現実を侵食し始める」


「だから制御する必要があるのね」


ラファエラがそう言う。


「うん。ちなみに僕もランカーパーティーに呼ばれてたんだよ。……一応13位だからね」


さらに俺は、小声でこっそりラファエラに続けた。


「マハラジャも、ゲームプレイヤーとしてはちゃんと頑張ってるみたいなんだ。俺の名前とアバター使ってさ」


で、その言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、仮想空間に異変が起きた。


エミールの瞳が光った。

姿は黒人の中年戦士、つまり――“黒豹”だった頃の彼だ。


モニターにはフェイ太郎の姿が映ってる。


「データの異常を確認。町田市の旧住民アーカイブから、巨大な意識の波が押し寄せてる。フェイ太郎、得意の鍵開けは出来るか?敵はドーム町田の地下空間に厳重に保管されてるらしい」


「勿論出来るよ!鍵開けるのはお茶の子さいさい。MAP見せてくれる?黒豹」


「了解した。今転送したぞ、フェイ太郎」


エミールのチームメンバーの誰かが、フェイ太郎にマップを送った。


フェイ太郎は、人間サイズじゃ通れない狭い隙間にスススッと潜り込んでいく。


「サンキュー!!」



そのときだった。レイが抱えてた猫型ロボ――ハートが、機関銃モードに変形した。


「にゃー……状況、最悪です。バリア突破まで27秒」


俺は反射的に叫んだ。


「ハチコウ、ログイン!レイヤー守備展開!」


その声に応じて、ロボ秋田犬のハチコウが吠えながら飛び込んでくる。

黄金のコードを空間中に展開し、守備網を張り巡らせた。


その瞬間、空から“祈り”が降ってきた。

町田市民の願いが、言葉じゃなくて――光になって、音になって、マトリックスの世界から流れ込んでくる。


現実と虚構の境界が、崩れていく中で。


俺たちは、自分という存在すら超えて――魂の戦いに挑んでいた。



(続く)

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