表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンダの小説 オリバージョーンズの冒険  作者: 天才パンダ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/85

第6章「町田コロニーからのSOS」

第6章「町田コロニーからのSOS」(オリバー視点)


あの騒動の発端は、俺がログイン中に、プレイタイムを消費する為の目的で昼寝していた間の話だ。


後から聞いたところによると、マハラジャが紅茶を吹きかけたのは、LINE通話の内容だったらしい。


「……トランクで人間が届いた?」


通話の主はエミール。隣には、あの父親――レイ。

変装のつもりでサングラスかけてたけど、周囲のテンションは完全に暴走モード。


『父さん相変わらず、若作りだね。恥ずかしくないの?』

『ザイオンよー!ザイオン君!本物だわーー!』


そんな叫び声がバックで鳴り響く。

女の子達の歓声が聞こえて来る。


『お前こそ、肌の色が白過ぎるぞ』


マハラジャも苦笑交じりに聞き返した。


「今どこにいるんだエミール?騒がしすぎるぞ」


『父さんがサーティワン食べたいって言い出して、マハラジャのコロニーにある支店に来てる。今、ファンに囲まれてるとこ』


映像には、町田コロニーの一角が映ってた。

かつての東京都町田区の名前を冠した、軌道都市。農業ドームや住宅シェルターがある、ちょっと“中途半端”な未来都市だ。


「田舎臭ぇくせに、名前だけ東京なんだよな……で、なんでうちにSOS?」


その疑問に、オペレーターが答えたらしい。


「開発母体がマハラジャグループ傘下だったもので……一応、正式ルートでの救援依頼です」


ふーん、で――って感じだったマハラジャが、次に目にしたのが“トランク”の中身を撮影した動画だった。


後で俺も見せられたけど、あれはちょっと衝撃だった。


銀のトランクが開き、中から出てきたのは、古いスキャナー装置を装着した全裸の男性。

しかも、微弱な脳波信号を発してる。完全に現実に存在している“データの逆流”。


「……これ、さすがに悪趣味すぎるだろ」


マハラジャがそう呟いた後、AIが動き出した。


《対象の脳波記録、現行オンラインユニバースと一部一致》

《推定:仮想空間からの“現実側への逆流”による個体搬送》


……要するに、ゲームの中から人間が“帰ってきた”。後から聞いたんだが町田市民は、ほぼ強制参加でゲームに参加させられていたらしい。その中の数名が反乱を企てて、ゲーム会社代表取締役のマハラジャにSOSを送ってきた


「逆流現象……ありえない……理論上も不可能だったはずです」


マハラジャの顔つきが変わる。


「つまり、町田で“何か”が起きてるってことだな」


その場でレイがアイス頬張りながら、こんなことを言ってたらしい。


『町田市のLIVE最悪だったぜ!ネットのバーチャル観覧席は満員なのに、生で見に来た客がほぼゼロで空席だらけでさ……』


『ドーム町田ってデカいのに、変だよなぁ』


エミールまで虹色のアイスを掬ったスプーンを舐めながら、のんきに相槌打ってたとか。


マハラジャは呆れて言ったそうだ。


「お前ら、よくそんな状況でサーティワン食ってられるな……」



で、調査チームが町田に送られた。


けど、現地の担当者のひと言がまたぶっ飛んでた。


「……住民は“消えた”んじゃありません。全員“生きて”ます。全員、マトリックスに接続されているんです。ドーム町田の地下空間に集められて」


マトリックス――違法意識接続システム。

その名前を久しぶりに聞いた時、俺はゾクリとした。


「ええ。住民全員、自主的に仮想世界で生活してます。リアルで生きる気力が、もうなかったんです。現実よりも、そちらの方が……幸せだと」


「それはおかしいぞ!現に反乱者からの救助要請が、コッチには来てるんだからな」


マハラジャが言うと、担当者は喋るのをやめた。罰が悪そうにモゾモゾしながら。コイツ何か隠してやがる。


マハラジャが感じた違和感。

通信は途中で乱れ、次の瞬間、警報が鳴った。


《警告:町田シティ内部システムに外部からの干渉》

《仮想空間マトリックスが、外部ネットワークとリンクを開始――》


「……これって……」


「仮想世界が、現実に侵食し始めている……」


マハラジャは、すぐに命令を出した。


「オリバーに連絡を取れ。ログアウトしてるか分からんが、呼び戻せ」


「はい!」


「エミール!ラファエラにも伝えておけ。

――町田シティから、戦争が始まるかもしれないってな」



(続く → 第7章「町田バトル・ロワイヤル」)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ