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パンダの小説 オリバージョーンズの冒険  作者: 天才パンダ


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第5章「それでも朝は来る」

第5章「それでも朝は来る」(オリバー視点)


コロニーの朝ってのは、地球のそれとはちょっと違う。

静かで、どこか時間が止まってるみたいな空気がある。


仮想世界での管理作業を終えて、ようやく帰宅した頃、人工太陽の光がカーテンの隙間から差し込んでいた。

リビングに入ると、ソファの上でユリウスとネロが並んで昨日の戦闘のリプレイを見ていた。もう完全に日課になってる。


「パパ、昨日の戦略、ユリウスが立てたやつ、完璧だったんだよ!」


ネロがそう言って、にこにこしてるのを見て、思わず笑ってしまった。


「そうか。じゃあ、朝ご飯の後に再現検証付きで報告会な」


そう言うと、すかさずハチコウが「ワン!」とひと吠え。

お前も参加する気か?と撫でてやったら、尻尾ぶんぶん振ってた。相変わらず分かりやすい。


アーク・ノヴァーのマハラジャの別荘の使用人用居住地で俺達一家とエミールと妻リリカはホーム・シェアさせられてる。マハラジャ的に都合が良いらしい。俺達が一緒に住んでいるのは。断っておくが使用人用と言っても、その中では1番大きな特別仕様だ。


キッチンからは焼き立ての甘い匂い。エミールがフレンチトーストを焼いてる。

金髪碧眼のあいつに小さなエプロンが似合いすぎてて、何度見ても笑いそうになる。


「おはよう、オリバー。リリカが朝から野菜ジュースにこだわりすぎて、ミキサーが爆発しかけたよ」


「リリカが?それはまた珍しいな」


そう言った瞬間、背後からリリカの声。


「珍しくはないわ。子供たちの健康のためなら、多少の爆発は厭わないの」


……否定できねぇ。


ラファエラは、まだ寝室から出てこない。

今日は久しぶりのオフで、“象徴”としての活動は休み。少しはゆっくりしてくれればいいが――


その間に、ミレーユとノアがふにゃふにゃと目をこすりながら起きてきた。


「パパー、おなか……すいたぁ……」


「あと五分寝るぅ……」


ノアの寝言のような声に笑いながら、二人を抱き上げてダイニングに連れて行ったところで――


インターホンが鳴った。


モニターに映ったのは、配達ドローンの隣にちょこんと座る猫。レイの愛猫ハートだった。

小さな箱に収まって、真顔でこっち見てる。


「レイからの伝言だ」とエミールが言う。「今、マハラジャの別荘のあるコロニー・アーク・ノヴァーに来てる。『サーティワン食いたい。奢れ』だってさ。ハート、お前、父さんの護衛だろ?そば離れるなよ!」


……ほんと、父子揃って自由人だよ。



食後、ソファではフェイ太郎が跳ね回ってた。

ミレーユの頭を飛び越え、ノアの足元にスライディング。ピョコンと背を丸めて、まるで「やるか?やるのか?」と言ってるような目つき。


それを横目に、ハチコウは深いため息をついた。


(また始まったよ……)


「また課金したのか?旦那様」


フェイ太郎が、欠伸しながら訊いてくる。


「あぁ、盛大に課金したし、たっぷり寝た。なんだか夢の中に、MOTHERヘラが出てきたよ。……お前も逢いたいなら、またゲームに参加するか?ハチ公」


ハチコウが跳ね起きて、クンクンと鼻を鳴らした。逢いたくなったらしい。


最近、マハラジャが社運を賭けて運営してるゲームの世界には、幽霊と逢えるって噂をよく耳にする。それにおかしな点も‥‥


「僕も行くぜ!なんたって僕達ロボペットチームは、ユリウスとネロより強いんだからなクックック」


フェイ太郎が笑ったように鳴いた。


――そんな風に、今日も“日常”が始まる。


でも、ゲームの世界では確実に、何かが迫っていた。

それでも、朝は来るんだ。そう信じていた。






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