【第4章】ザイオン・ノヴァ、町田に降り立つ
【第4章】ザイオン・ノヴァ、町田に降り立つ(オリバー語り口調)
第二東京コロニーの中に浮かぶ、かつての副都心――町田市。
「ここが……町田市の空港?聞いてた話と違うんだけど?」
そう呟いたのは、レイ。俺の親友、そしてエミールの父親でもある男。
アマデウス・レイ・モナーク。アイドルグループ〈ZION NOVA〉のセンターで、現在“宇宙一かわいい少年”と呼ばれてる、黒人の天才アイドルだ。
イタリア製のオーダーメイドボディの身体で、心も身体も少年だが中身は125歳のおじいちゃん。
ドレッドヘア、漆黒の肌、聖歌隊みたいな制服の衣装。
その隣には、猫型ロボット「ハート」。
「にゃーん」
「こらハート、今はライブじゃない」
昨日のライブは、散々だったらしい。
町田市にある、東京ドーム級の会場がガラガラ。バーチャル席だけ満席って、どんな悪夢だよ。
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そのレイに、事件は唐突に起こる。
「君!君だ!お願いだ!これをマハラジャ様に!」
そう叫びながらトランクを押し付けてきたのは、黒人男性。
でもその後ろには、ナイフを持った“役所職員”。
「チッ、面倒だね。ハート、戦闘モード」
「銃変形モード起動――麻酔弾モード、作動」
猫がマシンガンに変形して、あっという間に4人を眠らせた。
レイは、やれやれと鼻を鳴らした。
「町田市って、何なんだよ……!」
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「ハート、戻っていいよ」
猫に戻ったハートが機械声でつぶやいた。
「マハラジャ……あの変人王子ね。ゲームパーティ開いてたはず。招待されてたよ?」
「……エミールにも会えるかもな。あのガキ、結婚なんてしやがって」
レイは、ふんっと鼻を鳴らしながら、軽々とトランクを持ち上げた。
――彼はまだ知らない。
それが、町田コロニーの大騒動の始まりだったことを。
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(続く → 第5章「町田バトル・ロワイヤル」)




