【第2章】黒豹のリーダー
【第2章】黒豹のリーダー(オリバー語り口調)
俺のバトル記録を解析してた技術チームのAIが、ある警告を出してきた。
「EM-BFANG、急速に接近中」
……来たか。
スクリーンに現れたのは、仮想戦争のランク2位――コードネーム《黒豹》。この名前を知らないプレイヤーはいない。そして、その正体を知る者は、俺以外にそう多くない。
「……来たか、エミール」
画面の中、“黒豹”のアバターは漆黒の戦闘装甲に包まれていた。
けどね、知ってるんだよ。中身はあの金髪碧眼の美青年。少年のようでいて、内に火を秘めたあいつ。
「未だに黒人兵士の人格モードで来るんだな。中身、金髪の美青年のくせに……」
エミール・モナーク。gifted学園の同窓生で、俺の親友。そして――ゲームの中じゃライバル。いや、“最強の敵”か。
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一方その頃、軌道拠点ラグランジュ・レースベース。
そこにいたのは、エミールと彼のチーム――“黒豹部隊”。
「隊長、マハラジャウォーカーの新戦略、始まってます」
「知ってる。俺の得点を抜き返したらしい」
エミールは仮想マップに手を走らせ、俺の支配エリアをチェックしていた。
数値上は五分。でも、地形や資源配分、戦術展開――全部、俺が上。
「チート並みの課金か……相変わらずだな、オリバー」
わかってるよ、悪かったな。
エミールの背後には、ギフテッド学園出身の精鋭たち。
•ナディア・チャン(攻撃戦術)
•ミハイル=オルベック(防衛支援)
•カミーユ・ゼロ(索敵操作)
……完璧な布陣。
「行くぞ。マハラジャウォーカーを潰す」
俺もその言葉、ちゃんと受け取った。
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戦場が動く。激しく、そして優雅に。
俺の機械兵団は、宇宙庭園型マップで精密な布陣を敷いた。
そこへ黒豹部隊が、地下層からの多重攻撃で殴り込んでくる。
〈迎撃モード起動〉
〈連鎖ブースト:自律型防衛ライン形成〉
〈エミール陣営、パターンX-9展開〉
「うわ、初動から本気じゃん……さすがエミール」
サブユニットに指示を飛ばしながら、俺は数式を打ち込む。先読み、再配置、反転、封殺。けど――
エミールは、そのさらに先を読んで動いてきた。
そして、画面越しに、あいつの声が届く。
『手、抜いてんじゃないよオリバー。俺は“お前”を倒すために、ここにいる』
「こっちのセリフだって。さっきまで寝てたんだよ、僕は」
火花が散る戦場。
でもどこか、懐かしい匂いがする。
これはゲーム。だけど、誇りを賭けた本気の決闘だ。
「いつまでも、君の後ろを走らせたままにしない」
「なら、前を走ってる俺を超えてみろ」
ゲームに、命はかかっていない。
けど、俺たちは命より本気だった。
ただ……この戦いを、じっと見つめてる“第三の視線”があったことに、まだ俺は気づいてなかった。
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