第2巻 プロローグ 電子の門は開かれたまま
オリバー視点改オリバージョーンズの冒険2巻高名な考古学者の子孫閻魔大王になる⸻
【プロローグ】電子の門は開かれたまま(オリバー視点)
幻想は、終わったと思っていた。
マトリックス――あの違法仮想世界の崩壊は、誰にとっても“夢の終焉”を意味していた。けれど、それは始まりに過ぎなかったんだ。
俺の名前は、オリバー・ジョーンズ。仮想世界と現実の狭間で、死にかけた命や記憶をいくつも救い出してきた。誰かの生きた証を拾い上げ、誰かの死んだ理由を消し去る。その過程で、ひとつの決意に至った。
「俺が、閻魔になる」
死者は記録となり、ネットの深層をさまよい続ける。そして、俺の言葉がトリガーだったのか、ブラックホールを媒体に拡張された“あの空間”は、想定外の副作用を起こした。
魂たちが、失われた記録が、過去の偉人の“データ残響”までもが、ネットワークに流れ込んだんだ。孔明、信長、マリー・アントワネット、バッハ、ナポレオン、始皇帝、アインシュタイン……画面の中で彼らは誰かに語りかけ、笑い、泣き、時には問いかける。
天国の門は、閉じなかった。
そうして始まった、第二の神話。
幽霊たちは“再生”され、そして俺は、その管理者となった。
ただ、それはまだ“静けさ”にすぎなかった。




