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パンダの小説 オリバージョーンズの冒険  作者: 天才パンダ


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第19章「帰還と混乱と、少しの再会」

第19章「帰還と混乱と、少しの再会」(オリバー一人称・回想録風)



 あの時――俺がラファエラと再び未来の座標に戻ったあの瞬間。

 シヴァータウンの地下転送施設には、懐かしい顔ぶれが揃っていた。


 マハラジャ、エミール、ケイティ、そしてリリカ。

 全員、俺たちを待っていてくれた。言葉にするのももどかしいほど、安堵と混乱が渦巻いた場所だった。



 ゲートが白く発光し、微かに空間が震えた。


 その震えが、時間の縫い目を割くように感じられたとき――俺たちは現れたんだ。

 ラファエラと、ハチ公と、そして俺。まるで過去から、未来に着地したかのような瞬間だった。


「……来た!」


 そう叫んだのはリリカだった。

 彼女の腕の中で、フェイ太郎がぴょんと跳ねるように動いたのが、今でも目に焼き付いている。



 目の前に立っていたマハラジャが、一歩だけ前に出て、立ち止まった。


 彼の表情は……なんというか、言葉にしづらい。

 喜びとも、怒りとも違う。

 あれは、安堵と困惑が交差したような、王子のくせに妙に人間らしい顔だった。


「ただいま」


 ラファエラの声が優しく響いた。


 そして彼女は、迷いなくマハラジャに近づいていった。


 マハラジャは、何も言わず、ただ彼女を抱きしめた。


 ――俺は、その光景を見て何も言えなかった。

 いや、何も言う必要なんて、最初からなかったんだと思う。



 隣では、リリカがフェイ太郎をラファエラに手渡していた。

 フェイ太郎は、ラファエラに抱きしめられた瞬間、跳ねるように反応した。


「待ってたよ! ラファエラ!」


「心配かけたね、ごめんね、フェイ太郎」


 俺は、あのやり取りを見て、ようやく帰ってきた実感がわいたんだ。

 “帰還”という言葉の意味を、あの日初めて実感した気がする。



 でも、現実ってやつは、いちいち待ってくれない。


「ところで、オリバー・ジョーンズ……」


 そう言ってきたのは、エミールだった。

 肩をすくめながら、まるで悪戯を白状するみたいに言葉を続ける。


「とんでもないことが起きたんだよ。ゼウスの計算式、狂ってたらしくてね。

 クリスタルゲートが暴走したんだ。……物凄いパワーだった」


「簡単に言えばさ」


 割って入ってきたのはケイティだった。

 いつもの調子で、いつもの顔で、だけどどこか本気でこう言った。


「マハラジャの会社で製造した“14兆円号”が、宇宙空間から乗組員ごと過去に転送されたらしい。

 会社は大損害、株価も急落中。おまけに、聖トスゴーン地下施設で働いてたゼウスとバーンズ・ダン、それに守護者3人――合計5名、消えたんだ」


 言葉を失う俺を見て、マハラジャは長いため息をついた。

 そして――これが一番キツかった。


「……まあ、つまりだ。損害賠償は、お前に請求する」


 ……あの一言はさすがに、しばらく夢に見たよ。



 その場に一瞬、妙な沈黙が流れた。


 そして、ハチ公が一声「ワン」と吠えた。


 それが合図みたいに、リリカが笑いながら言った。


「……まずは、おかえりなさいって言おうよ」


 この世界は、混乱していた。

 でも、仲間は確かにここにいた。


 それが、俺にとっては何よりも――救いだったんだ。



(第19章・完)



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