表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンダの小説 オリバージョーンズの冒険  作者: 天才パンダ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/85

第18章「時を越える者たち」

第18章「時を越える者たち」

――俺の記録として。



あの日、西暦2025年の太陽は沈みかけていて、ゲート施設を黄金色に染めていた。

波打ち際に立つラファエラの横で、俺は静かに息を吐いた。

ロボット犬のハチコウは足元に寄り添い、いつでも俺のタイミングを待っていた。


「……時間だよ」

ラファエラの声が、波の音に溶けて消える。


俺は、一度だけ振り返った。

クリスタルゲートの先、タラップを駆け下りてくる白衣の姿――あれは、バーミリオン・ジョーンズ。


「オリバー! 言い忘れてた! 財務処理は全部俺がやっとく!」


「最初からやる気だったろ!」


「まあな!」


にやりと笑って、あいつは手を振って踵を返した。

その背中に、世界の混乱を整理するっていう重荷がのしかかってたはずなのに、まるでそれが“面白い仕事”か何かみたいに軽くしていた。


バーミリオンは、多分ああいう奴なんだ。

何かを背負ってる時の方が、顔が晴れるんだよ。



ゲートの前に立ち、俺はハチコウの頭を撫でた。

ラファエラの横顔が、夕日でオレンジに染まっていた。


足元には、未来へ戻った証として並べられた銘板。

その最後には、サン=ジェルマン・マグナスの名が刻まれていた。


ゲートが起動する。

空間が歪み、光が空の色を変えていく――俺たちはまた“旅”に出る。



その頃、別の場所では、もうひとつのゲートが動いていた。


第零ゲート。未来都市の地下に封印されていた、存在すら忘れられかけた場所。

そこにいたのは――ゼウス。そして、バーンズ・ダン。


俺の父と、俺の師。

彼らもまた、旅立とうとしていた。


「時間だ。行くぞ、バーンズ・ダン」


「了解。……記録媒体、全て積んだ」


周囲には、守護者たち。遥か空の上には冷凍睡眠から目覚めつつある「14兆円号」の乗員800人。

誰もが分かっていた。これは未来へ逃げる旅じゃない。

過去に、“真実”という名の種を蒔くための旅だってことを。



ゲートが開いた瞬間、施設全体が光に包まれて、

――そして、5人の姿が消えた。14兆円号の姿も800人の乗組員と共に消えたそうだ。


静寂だけがそこに残されて、

まるで未来そのものが、“役目を終えた”ようだった。



彼らが辿り着いたのは、星も月もない夜の砂漠。

ただ黒い風だけが吹いていた。


「……ここが、“起源”か」

先生が呟いた、とゼウスから後で聞いた。


“旧約聖書”と呼ばれる時代。

何もないこの場所から、未来を変える神話が始まる。


タラップが開き、「14兆円号」から次々に人々が降りてくる。

彼らはこの地が、後に“楽園”とも“地獄”とも呼ばれることなど知らない。


だけど、それでよかったんだと思う。

冒険は、知らないからこそ歩き出せる。



俺たちはその頃、再び歩き始めていた。


ラファエラと、ハチコウと。

ゲートをくぐって戻ってきたこの世界で、

次の再会を――仲間との再会を目指して。


(第18章・完)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ