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パンダの小説 オリバージョーンズの冒険  作者: 天才パンダ


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第14章「銀髪の青年」

第14章「銀髪の青年」

──オリバー・ジョーンズ 回顧録より


第1節:潜行任務


あのときの海は、不気味なほど静かだった。

月明かりすら届かない深海の中を、俺はハーレーで“潜っていた”。


いや、そう言うと信じないやつもいるだろうな。

けど事実だ。バーンズダンから託された、あの水陸両用型の愛機。水素電解式エンジンに自動浮力調整装置。あれがなきゃ、俺はラファエラを探しに行けなかった。


ラファエラが消えて、ちょうど1年後。

gifted学園の許可をもぎ取って、俺は海底のクリスタルゲートの再調査に出た。


上では、エミールがボートを操縦し、リリカとフェイ太郎、ハチ公が待機していた。


「水深450。通信良好」

通信越しのエミールの声は冷静だった。


ケイティの言葉を思い出す。「植物は記憶する」ってな。

聖トスゴーンの切り株に、針を刺す。あのバリアを貼った瞬間の“記録”が、今も残ってると信じて。


だけど――


第2節:海底の記憶


あのとき、俺は見てしまった。

水圧と静寂の中に、ぽつんと佇む、壊れかけたゲートの残骸。


ハーレーを降り、樹齢2000年と言われた切り株に触れ、検査用の針を刺したとき――

まるで“記憶”が逆流してきたんだ。


母の最後の声。

ゼウスとダンが残ったあの夜。

俺が無力だった、あの場所。


「……俺は、もう戻らない。あの頃の俺には」


口にした言葉が、ヘルメット越しに響いたその瞬間。


第3節:事故発生


……ゲートが光った。


一瞬だった。暴走波。

プロペラに絡んだ泥で、ハーレーが制御を失う。


酸素警告。暗転。

次の瞬間、すべてが、途切れた。


――そこから先の記憶は、夢の中でしか思い出せない。


第4節:意識の断片


暗闇に母さんの声が聞こえた。


「あなたは生きて、“伝える”ために生まれたのよ」


そのあとに、ラファエラの微笑みが浮かぶ。


……そして、目が覚めた。


――いや、正しく言えば、あとから気づいた。

目を覚ました“らしい”ということに。


第5節:救出


あれは後でリリカから聞いた話だ。


俺は水中で気を失って、潜水服は破れ、もう酸素もなかったらしい。

そんな俺を、エミールが助けに来た。


潜ってきたのは、装備なし。

HONDA製のクローンボディの性能に任せて、単独で海底に。


水圧、冷却装置の限界、瓦礫を掻き分け――

それでも、迷いはなかったって。


(あいつらしいな、ほんとに)


それでも、あのときのエミールはただの“青年”じゃなかった。

昔、幼いマハラジャを庇って瀕死になった時の記憶。護衛隊長としての記憶。

あいつの体が、俺を助けながら思い出してたって言ってた。


✨第6節:銀髪の目覚め


水面を破って、彼は俺を抱えて浮上した。


ハチ公が吠えて、フェイ太郎が跳ねて、リリカが泣きそうになりながら処置を始めて――

エミールは、その場に膝をついて倒れ込んだ。


「……護衛だった、俺は」


そう呟いて、そのままスリープモードに入ったらしい。


リリカは震えながら俺を人工呼吸してくれた。

バカって泣きながら、薬まで使って心拍を戻してくれたって。


俺が意識を取り戻した時、最初に気づいたのは――髪の色だった。


銀色。


鏡越しに映った自分の顔に、一瞬誰かわからなかった。


「これは、“生還者の徴”だよ。死を見て、生を選んだ者だけに現れるの」


リリカの言葉は、やけに重く響いた。


第7節:報告と決意


数日後、マハラジャの私邸にログデータを持って訪れた。

ラファエラの座標が示された波形を見せると、あいつはひとこと、


「……貸し借りは帳消しだ。で、行くのか?」


「当然さ」


俺の銀髪が、窓から差し込む陽光でふわりと光った。マハラジャは俺の髪について気付いているようだが一言も触れなかった。


(ラファエラ、俺は絶対に……)


そう心に誓ったあの日を、俺は今も忘れていない。



※続く


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