~1年~入学当初
甲斐が学園に入学した時から、既にカースト制度は敷かれていて、学園に多額の寄付金を払っている富裕者が優位に成り、その者達はみなジョーカーと呼ばれ、そのトップが男子生徒なら王様、女子生徒なら女王様と呼ばれ崇められていた。
一方、俊達のような一般の生達は下民と呼ばれていた。
さらに学園内の暗黙の了解として、廊下を歩く時は王様・女王様が優先的に通り、その後に取り巻きのジョーカー、普通のジョーカーと続き、下民は端の方で一礼し邪魔をしてはいけない。
成績がいくら良くても、下民はジョーカーより上の役員になってはいけない。
つまり、学級委員等に立候補してはならない。
一般の下民でも、ジョーカーに直々に上納金を差し出せばその者も普通のジョーカーになれる。
しかし、それにも条件がありその後も継続的に支払わなければ、下民に戻される。
等といった、金と権力に支配されたものだった。
一般の生徒にはこの事は伏せられていて入学と同時に知らされる為、外部入学組への学校案内は表向きのものでしかなかった。
もちろん甲斐も入学後にそのことを知り、その後の学園生活が不安で仕方がなかった。
1ヶ月が経ち、それぞれにグループができはじめる頃。
甲斐もまた、自身の所属するグループを作っていた。
学園の初等部から所属していた鷹嶋朔弥・高原聖と親しくなり、同じ外部入学組だった俊とその友人の中條敦也の5人でグループを作ったのだった。
一番大人しくて小柄な俊を敦也と甲斐がいつもサポートしていて、聖が雰囲気を作って朔弥がそれを調整すると言った役回りになり、物静かだがそれなりに学園生活を過ごせるようになっていった。
しかし大人しいこのグループは、同じクラスにいたジョーカーグループには恰好の玩具候補であったのに変わりはなく。
いくらジョーカーグループが騒いでいても勝手にモノを使われても、何も言えない状況だった。
気が先走る聖は何度かジョーカーグループに抗議しようとしたが、朔弥に止められモヤモヤした気持ちが募っていった。
そんな中、在るジョーカーが聖に「上納金を払えば、お前も意見を対等に言えるだけの地位が与えられる」と持ちかけられ気持ちが揺らぐ。
そして結果的に、聖はそのジョーカーに上納金を納める事にしたのだった。