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初夏の風が髪を靡かせて。
ひとりの女子生徒が、学校の屋上に佇んでいた。
校庭では、体育の授業のため準備運動をしている生徒達の姿が見える。
そして、誰かが彼女の存在に気づいたのか、下から叫ぶ声が聞こえた。
しかし、女子生徒は、迷うこと無くフェンスを乗り越えて、校舎の端に佇んだ。
その表情は悲しみと憂いに染まり、その瞳は涙に滲んでいた。
「………」
校庭を見下ろしある生徒の姿を見つけると、一瞬だけ微笑みを浮かべて。
その生徒に向かって、囁いた。
「――― 、 ………」
そしてそのまま、その身を宙に飛ばし、校庭にいた生徒達の悲鳴が響いた―――。