悪役令嬢計画①-2
私が思い詰めた表情をしていたのか、
さつき様が「何あったのですか?」と聞いてくれた。
さつき様とはほとんど話したことがないが、
聖女にもかかわらず、みんなにフランクに話し、
明るい性格でクラスメートの人気者だった。
私も密かに憧れていたー
そんな人にきついことを言わないといけないのが辛いと思いつつ、
碧人様の為を思って思いきって発言した。
「さつき様、紅茶の入れ方が間違っていますわ。」
さつき様は魔力の才能はすごいのだが、
元々貴族の出身ではないこともあり、
マナーに疎いようだった。
この学校ではマナーの授業もあるのだが、
先生も紅茶の授業のパートナーも、
聖女であるさつき様にダメ出しができないようで、
マナー違反をしても、指摘できていなかった。
このままだとさつき様が恥をかくー、
そう思いながらも、なかなか話す機会がなかったが、今回それを指摘しようと考えた。
本来ならさつき様が傷つかないよう、
手紙などで指摘するべきだが、
今回さつき様のマナー違反をずらっと本人の前で話した。
ーこんなにダメ出しされたら、
誰だって嫌になるはずだわ。
私は全て指摘し終わり、おそるおそるさつき様の顔を見上げると、
「ありがとうございます」と満面の笑顔で言われてしまった。
ーーなぜ??