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王子様の片思い1
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
たまたま王子が付き人と話しているのに出くわしてしまった。
王子は私に気付いていない。
切なそうに呟く王子の目線を追うと、聖女を見つめていた。
そうか王子は聖女のことが好きだったのか…
私がいなければ聖女と結婚できるのに…
胸がしめつけられる思いで、
その場を立ち去った。
私ー財前美姫は、王子の婚約者である。
魔法学校の3年生で、あと半年で卒業して、
卒業後に王子と結婚する予定だ。
私がなぜ王子の婚約者かというと、
私の家と王族が昔から深い関わりがあり、
簡単に話すとお互いの祖父が仲が良く、
婚約の話が出たということだった。