夢の中
コンコン、コンコン
窓の叩く音がする。
パジャマ姿の礼は眠い目を擦りながら、窓を見る。
そこには、一羽の小鳥がいた。
「鳥さんどうしたの?」
礼は小鳥に声をかける。すると、小鳥は礼に喋りかけた。
「今から遊ぼうよ。」
「でも、ママに怒られちゃうよ。」
「大丈夫。ここは夢の中だから。」
「本当に?」
「本当さ。」
小鳥の言葉に礼は一歩一歩、窓に近づいた。
「どこまで行くの?」
「君が望むところまでさ。」
礼は小鳥に手を伸ばした。すると、小鳥は小さな羽で礼の手を掴んだ。
「行こう。」
「うん!」
礼は小鳥の言葉に大きく返事をして、一人と一羽で窓から飛び立った。
「寒いよ鳥さん。」
「そうかい?でも気持ちいいだろ?」
小鳥は休むこと無く羽ばたき続けた。
「あ、公園だ。」
「礼がいつも遊んでいる公園だね。」
「うん。ここで遊ぶの?」
「いいや、ここじゃないよ。」
小鳥はまだ羽ばたいていた。
「今度は幼稚園だ。鳥さんここ?」
「ここでもないよ」
「それじゃあどこまで行くの?」
「それは着いてからのお楽しみさ。」
そう言い、小鳥はまだ羽ばたいていた。
しばらく一人と一羽は飛んでいると、近所の山に着いた。
「ここ?鳥さん?」
「そうだよ。頂上から見る景色は綺麗だろ?」
「うん。すごく綺麗。」
「良かった。夢の中じゃないと、礼くんと遊べないから。」
「なんで?」
「なんでもさ。そろそろ帰ろうか。」
「まだ鳥さんと遊んでたいよ。色々な所に飛んで行きたい。」
「また会えるよ。」
小鳥は礼の手を掴み来た道を戻った。
礼は泣いていたが疲れて寝てしまった。
「おやすみ。またね。」
チュンチュンと夜とは違う音で礼は目が覚めた。起きたときに小鳥のぬいぐるみを抱えていた。
「また遊べるかな。」
ベットから起き上がり部屋を出た。
「また遊べるよ。」
誰もいなくなった礼の部屋で小鳥のぬいぐるみがささやいた。