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仙路  作者: 鳳
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仙路

日本の大学に在学中の留学生です。昔から小説を書きたいですが、いつか「日本語で小説を書こう!」という考え方が出た。母語ではないため、変なところ「言葉使い」もあると思いますが、容赦してください。ありがとうございます!

 風の国、五行山。

 山の外は青々としており、渓谷は連続している。五行山は、風の国で最も大きな原始の山脈であり、天空から見ると、まるで血に染まった赤い森が連続して広がっている。微風が吹くと、木の葉がかすかに揺れ、その山脈全体がまるで沸騰する血の海のように見える。

 これはまさに五行山の特有な植物「血木」によって引き起こされた奇観である。

 伝説によれば、10万年前に大魔王が空間を引き裂いて現れ、その後に数十万の天兵天将も追いかけてきた。両方は五行山で決戦をした。その戦いでは、天地は変色し、地底から溶岩が噴出し、火山が連続して噴火し、海も沸騰した!最終的に、数十万の天兵天将が魔王を討ち果たしたが、彼らも全員が五行山で命を落とした。天兵天将の遺体が多すぎたため、五行山の木々が赤く染まった。その戦い以来、五行山で生長する木々は全て血のような赤色をしており、まるで天兵天将の無言の叫び声のようである。

 しかし、それはあくまで昔の伝説であり、現在の五行山は冒険者たちの聖地となっている。伝説の天兵天将が残した宝物を手に入れるため、多くの冒険者が森の奥に探検している。さらに、伝説はますます誇張され、時には「宝物を見つければ仙人になれる」という噂もあった。

 仙人!不老不死であり、空を飛び、一撃で山を割ることができる伝説な存在。その威厳と魅力に人々は憧れている。

 しかし、伝説は美しいものだが、今まで天兵天将の宝物を見つけたという話は聞いたことがないし、仙人になるという話などはなおさらだ。それでも、仙人になるという誘惑は非常に強く、毎年、多くの人々が五行山に訪れ、その伝説の夢に向かっている。五行山、ここから人々の夢が始まり、ここで人々の夢が砕け散り、結果としてただただため息と悔しさだけが残されるのだ。

 そのような悔しさ、カールはよく見慣れている。 

 五行山の奥への道路沿いに、木造の宿屋が立っている。この宿屋は3階建てで、血木を使用して作られているため、赤色の外観をしている。宿屋の作り手は明らかに高度な技術を持っており、素材は簡素だが非常に美しく、門には麒麟の形に彫刻している。その麒麟の扉が微かに開いており、中には整然と配置されたテーブルと椅子が見える。更に、2階には開いている窓に風鈴がつけられており、そよ風に揺れている。宿屋の外には美しい垣根が一周りしており、垣根の中には多彩な色の花が植えられている。品種が多いため、四季折々に異なる花が咲いていることができる。どうやら宿屋の主人は非常にロマンチックな人物だったようだ。道路のそばに、麒麟の形をした看板が彫刻されており、「天雨旅馆」と書かれている。

 カールはまさにこの天雨旅馆の店員で、今年12歳だ。記憶が始まった頃から店で手伝っており、冒険者たちの間では「尾行虫」として知られている。

 彼が「尾行虫」と呼ばれる理由は、幼い頃に冒険者たちの後をこっそりとついて深山に入ってしまったことだ。冒険者たちに発見された後、容赦なく叩かれて宿屋に追い返された。しかし、彼は変わらずその性格で、宿に戻った後も別の冒険者たちにこっそりと深山について行った。もちろん、結果は同じで、再び叩かれてしまい、更に縄で旅館の前の大木に縛り付けられたまま一日中過ごした。彼はその大木で一日中怒鳴り続けたが、冒険者たちは彼を指差して大笑いし、「尾行虫」というあだ名をつけた。

 しかし、カールは年齢が若くても、様々なことを知っている。床を掃き、テーブルを拭き、清掃を行うことはきっちりとこなし、栗色の髪と金色の目を持つ彼は「可愛い」とも言える。しかし、「尾行虫」の評判が広まってしまったため、冒険者たちは彼を遠ざけている。今では、冒険者たちが出発する前にいつも彼が旅館にいるか再確認しなければならず、もし深山で何か問題が起きた場合は誰も責任を負いたくないためだ。

 この日、カールは旅館の1階で床を掃いている。ロビーでは、無数の冒険者がビールを飲みながら大きな声で笑っている。フロントデスクの前では、壁に寄りかかっている男性が一つの手で帳簿をめくり、もう一つの手でゆっくりと算盤をたたいている、おそらく会計をしているだろう。

 それはまさに天雨旅馆のオーナーであるエディである。エディは非常にハンサムで、金髪が腰まで伸び、赤いひもで簡単にポニーテールに結んでいる。彼は剣眉と星のような輝きな目を持ち、微笑みを浮かべている。見た目は20代くらいに見えるが、のんびりとした雰囲気が全身から漂っており、何事にもあまり気乗りしないようだ。しかし、その容姿があまりにも目立つため、逆に奇妙な違和感を与え、特に女性たちの目を引いている。

 実際、天雨旅馆を訪れる女性冒険家は、エディの容姿に感嘆することが少なくない。中には告白する者も多くいる。しかし、この男は一度も女性に対して反応を示したことはなく、いつも淡々と笑って「ご愛顧に感謝します」と言うだけだ。

 カールは内心で、この男が男性が好きなのではないかと疑っていました。

 エディはすぐに疲れている様子になった、頭を上げて真剣に働いているカールを見つめ、口角に戯けた微笑みを浮かべながら、「カール、早く客にビールを運べ!」と声をかけた。

 カールは顔を上げて見回すと、座席に座っている冒険者たちの手にはまだたくさんのビールが残っていることに気づいた。目を白く剥いて言い返しました。「行くわけがないだろう!」

 二人の口喧嘩は結構前から始まった。まったく店主と店員の関係とは思えない。カールが木に縛られていたとき、エディも冒険家たちと一緒に彼を嘲笑っていた。

 しかし、カールはすぐに別の声に引き寄せられた。彼は気にしないふりをしながら床を掃いており、実際にはゆっくりとその声の源に近づき、注意深く聞いていた。

「本当だよ、あの森は本当に邪悪だよ。まるで生命を持っているかのように、一本一本のつるにはたくさんの骸骨が結びつけられているんだ!怖いよ…」

「まだ尾行と考えているのか?天兵天将の宝物を探しに行くつもりか?」という声が背後で雷のように鳴り響き、カールは一瞬にして冷や汗をかき、振り返って見ると、なんとエディがあごを撫でながら自分を見つめていた。

「床、床を掃いているだけだ!」とカールは弱音を吐いた。

「同じ場所を何度も掃くなんて、お前も大変だよ」とエディは冷笑し、ゆっくりと身を振り返り、カウンターに戻って会計を続けた。

 しかし、エディの言葉は明らかに話していた冒険者たちの関心を引いた。3人は森の話をやめ、代わりにカールをからかい始めた。「おやおや、これは尾行虫じゃないか?また森に忍び込もうとでも思っているのか?今度は木に縛ることはないだろうな。どこに縛ろうかな...」

「看板に吊るすとか?」もう一人の仲間がすぐにアイデアを出した。

 カールの顔色が悪くなった。彼が木に縛られたのもこの冒険者の仕業で、恥をかかされて「尾行虫」というあだ名をつけられた。もし今回また看板に吊るされるようなことがあれば、自分は本当に有名になってしまうだろう。

 カールは不満そうに「ふん」と声を出し、平然として掃除を続けた。

「こいつ……」冒険家はカールの姿を見つめながらつぶやいた、「結構成長したものだ。以前ならすぐに喧嘩に来るのに……」

 しかし、その状況は長くは続かなかった。床を掃いていたカールはどんどん腹を立ててきたようで、掃除道具を持ってカウンターの前にすばやく駆け寄り、エディを睨みつけた。

 エディは彼を一瞥して「チッ」と声がした、どうやらカールが冒険家に立ち向かう勇気がないのにカウンターに来て愚痴をこぼしていることを嘲笑しているようだ。そしてすぐに頭を下げて会計を再開した。

 しかし、カールの次に続く言葉で、エディの笑いは終わった。

「エディ、僕は仙人になりたいんだ!」


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