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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
シエルの章
7/59

シエル――ゼト

路地裏で警察がゴロツキたち数人を指導していた。

「警官に対して暴力を振るったことは覚悟しているな? 公務執行妨害だ!」

警官たちは反抗するゴロツキどもを縛り上げて拘束した。

ゴロツキたちは警官たちをにらみつけた。

「ハロー!」

「!? なんだ!?」

「声? どこから?」

「出てこい! どこにいる!」

「フフフ……ぼくはここだよ」

なんと壁から黒いマスクをつけた男が現れた。

一同は驚き唖然あぜんとした。

「な!? おまえは何者だ!?」

「ぼくかい? そうだな、シニガミとでも言ったらいいかな。フフフフ」

「おまえも逮捕だ!」

警官の一人がサーベルを抜いた。

「フフフ……そんな武器でぼくにかなうと思ったのかい? 無駄だよ。それでは食事に入ることにしようか。アデュー!」

シニガミは口を開けると、一同の命を吸い込んだ。

これがこのシニガミの食事だった。

生命力を吸われた一同はその場に倒れた。

警官、ゴロツキの区別はなかった。



犯罪者――スリのグループが路地裏でたむろしていた。

彼らは自分たちがスった手柄を互いに語り合っていた。

「今日はよく稼げたぜえ! カネ持ちのサイフは違うなあ!」

「アニキの腕は見事でやんすよ」

「ははは! とーぜんだろ? しかし、あのおっさん、目があまりよくなかったのかもしれねえなあ」

「ハロー!」

「!? 誰だ!?」

「フフフフ……ぼくはここだよ」

黒いマスクをつけた男が壁から現れた。

「なんだ、てめえは!?」

「フフフ、ぼくはゼト(Dzeth)。君たちみたいな社会のクズに用があったんだよ。君たちみたいな人には誰も同情しないからね」

「なんだと、この野郎! ぶっ殺されてえのか!」

スリの男がナイフを出した。

「フフフ……あがらうならあがらうといい。君たちはしょせん無力にすぎないのだから」

ゼトが手を前にかざした。

「がああああああああああ!?」

「うぎゃあああああああ!?」

「おぐうううううううううう!?」

スリたちが悲鳴を上げる。

ゼトはそれを見て喜んだ。

「フフフフ……君たちの生命力をもらうよ」

スリの男たちはその場に倒れた。

ゼトはそれを見て笑い声をあげる。

「さて、さすがにこの生命エネルギーはサイーゼ様に献上しなければなりませんかね。最近ピンハネが多かったですからねえ……我らが教団は闇の支配のために膨大な生命エネルギーを必要とされている。ぼくがピンハネしているのがばれたら殺されてしまいますよ! ウーフッフッフッフ! さて、ではこの生命エネルギーは送りますかね」

そう言うと、ゼトは闇のゲートを開き、生命エネルギーを送った。



「悪魔?」

「ええ、そうよ」

教会の中でセリオンとセレネが話していた。

二人はコーヒーを飲んでいた。

話のテーマは最近、クヴィンツで見かけるようになった死体の件だった。

その死体は体の全身から生命力を吸い取られていたというのだ。

「そんなにひどいのか?」

「クヴィンツ当局は今のところ私たちに仕事の割り振りをしてきてはいないわ。でも、同様の件が二件も連続して起きたとなると……」

「つまり、悪魔のしわざということか。悪魔が人を襲っているというわけだ」

「その通りよ」

「つまり、ドクローマの時と同じように見回りが必要なんだな?」

「事件は夜に起きているみたいなの。それで、夜の見回りを頼めるかしら?」

「……俺たちで事件を解決するというわけか?」

「そうよ。対悪魔戦のプロフェッショナルであるあなたにお願いしたいのよ」

「いいだろう。今夜から見回りをする」



夜のクヴィンツでセリオンは大剣を下に向けて精神を集中させていた。

これは悪魔の気配を探るためだった。

魔力強化で周辺の状況を調べる。

セリオンはふと、何らかの強力な魔力の存在を感じ取った。

「あっちか!」

セリオンは方向を見つけた。

次にセリオンは身体強化で、運動能力を強化すると、夜の街を疾駆していった。

「フフフ……今晩もいただきますよ」

ゼトがゴロツキたちを相手に生命力の吸引を始めた。

ゴロツキたちは短い悲鳴を上げて地面に倒れこんだ。

「おい、そこのおまえ! 何をしている!」

「おや? 君はいったい誰だい?」

「俺はセリオン・シベルスク。テンペルの騎士だ」

「テンペル? ああ、聞いたことがあるよ。闇に対する敵対者集団だね? フフフフ……そうかい、君がテンペルの騎士様かい。こんな社会のクズどもを助けるというのかい?」

ゼトはマスクに手を当てて答えた。

「おまえが最近生命力を奪っている悪魔か?」

「その通り。ぼくの名はゼト。審問官サイーゼの部下だよ」

ゼトはニイッと笑った。

「審問官サイーゼだと? いったい何者だ?」

「フフフフフ! それはぼくの口からは言えないね。ぼくたちの組織は秘密にしておくよ」

「まあ、いい。俺はここでおまえを倒す」

セリオンが大剣を出した。

「フフフ……ここは狭いし戦いにはふさわしくない。もっと別の場所で戦おうじゃないか!」

ゼトは右手をかざした。

ゼトが手を出すと、ゲートが現れた。

「さあ、来るがいい。ぼくの亜空間『さんずの川』までね!」

ゼトは一人亜空間に入った。

セリオンも続けて亜空間に入った。



そこは橋の上だった。

大きな橋が川の上にかけられていた。

橋の下には川が流れている。

「ようこそ、死出の場所へ」

「ここがおまえの亜空間か。悪い趣味をしている」

「セリオン君。ぼくは一度君と戦いたいと思っていたんだ。いい機会だ。さあ、戦おうじゃないか!」

ゼトが右手に大鎌を出した。

ゼトはセリオンの首を狙って鎌を振るう。

それをセリオンは軽く後退して回避する。

ゼトの鎌が空を切った。

「今の一撃をかわすなんてやるじゃないか!」

ゼトの目が楽しく笑った。

ゼトはセリオンに追撃をかけてきた。

ゼトの鎌による攻撃がセリオンに迫る。

セリオンはゼトの攻撃を読んでいた。

セリオンは大剣でゼトの攻撃をガードする。

「さあて、ぼくの攻撃はどこまで見切れるかな?」

ゼトは鎌でセリオンを斬り刻んだ。

セリオンは大剣をうまく動かしてゼトの攻撃を防いでいく。

セリオンはゼトの攻撃をはじき、反撃して大剣で斬りつけた。

ところが、その攻撃は空振りした。

ゼトが影の中に入っていき、セリオンの攻撃をかわしたのだ。

「影の中に入るとはな……そんな能力を隠していたのか」

ゼトは影から出ると同時に、シニガミの鎌を振るった。

セリオンは光輝刃を出した。

セリオンの光の大剣とゼトの鎌がぶつかり合う。

ゼトは鎌を見つめた。

鎌にはひびが入っていた。

「へえ……ぼくの鎌に打撃を入れるなんてね……こんなことは初めてだよ」

ゼトは鎌に闇の力をまとわせた。

闇が鎌に集まる。

「これでもくらいたまえ! 闇黒波!」

ゼトは闇の波を放った。

セリオンはそれを見て翔破斬を出した。

二人の技がぶつかりはじけ飛ぶ。

影舞かげまい!」

ゼトは闇の刃でセリオンを斬り刻んできた。

闇の力が踊り狂う。

「光輝斬!」

セリオンは光の斬撃で影舞を一掃した。

セリオンは光輝刃でゼトの首を斬りつけた。

「まさか……このぼくが……!?」

ゼトの体が倒れた。

ゼトの体は黒い粒子と化して消滅した。

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