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猫福神社で街づくり  作者: とある神主
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第二話

本殿の裏へとまわると、地面に対して口を開けた大きな洞窟が見える。


「ここか?」


「うん。ここがボクが作ったダンジョンでボクが許可した人しか入れない猫福ダンジョンさ!」


「神社の名前からとったか・・。安易だな」


「別にいいでしょ!!分かり易いんだからさ!」


「はいはい。そしたら入りますか」


「うん!」


1人と1匹で中へと入って行く。

中に入り、薄暗い道をしばらく進むと段々と明かりが差し込んできた。そして洞窟を抜けると、そこには草原が広がっていた。


「草原タイプか・・」


「うん。作る時にちょっと設定出来るからね。洞窟でも良かったんだけど、草原の方が気持ちがいいでしょ?」


「まぁそりゃそうだが。外観は完全に洞窟だったからなー」


「もしかして初めてダンジョンに入ったの?」


「そりゃそうだろ資格持ってないんだから」


「そういえばそんな決まりがあるって言ってたね」


この猫は3歩歩いたら忘れるタイプなのか?鳥頭だな。猫のくせに。


「しかし、こうしてると外の世界と変わらないな」


「うん。ところで詳しいんだね?」


「まぁな。授業で習っているというのもあるけど、親父達の話で聞いていたからな」


親父達は自分たちが探索してきたダンジョンの事をよく話してくれた。そういう話を聞くとやっぱりエクスプローラーに憧れるようになるものだ。


だから知識だけは、前から大量に仕入れてきた。いつ何時エクスプローラーになってもいいように。


しかしまぁこういう形でダンジョンに入るとは思わなかったけどな。


「そうなんだ?でも康隆は肝心なこの神社の事は話さなかったんだね」


ため息を吐きながらマシロは下を向いている。


「まぁアイツはよくわからんやつだからな。今回も急にここに連れてこられたし、大体兄貴達でも良かったはずなんだけどな」


俺には兄貴と姉貴が合わせて6人いる。その内4人はエクスプローラーになって活躍しているらしい。残りの2人は平穏な生活がいいと言って、協会に勤めている。まぁエクスプローラーになった4人とは何年も会っていないが。


「多分だけどね、デンスケ以外にボクと喋れる子がいないとわかってたんじゃないかな?」


「さっき言ってた才能云々の話か?」


「うん。これに関しては血が濃く現れている子しか無理だからね。そういうのを見越しての事だと思うよ」


「なるほどなぁ。アイツがちゃんと考えてるっていうのが俺としては怪しいけどな」


「康隆はあんなだけど思慮深いよ」


「・・・えらくまた親父の肩を持つな」


「そりゃデンスケが生まれるよりも前からボクたちは知り合っていたからね。だから今回のデンスケに譲ったのも必ず理由があるよ」


「そうか・・」


「とにかく一狩り行ってみようか!」


「そうだな。でも俺は弱いから役に立たないぞ?」


「大丈夫だよ!康隆がここのダンジョンの敵は雑魚って言ってたからさ」


「言ってた?お前は入った事ないのか?」


「ん?最初にちょっとだけ入ったけど、すぐに康隆から俺にとっては雑魚だが、お前はレベルが合わないからって外に追い出されたんだ」


「レベルが合わない?」


「そうだよ。なんかボクじゃ低すぎるってさ」


「おい」


「なに?」


「言っておくが俺はダンジョンに入った事ないんだから、レベル1だぞ?」


「え?だってさっきボクのレベルを聞いて、笑ったからボクより高いと思ってたんだけど」


「んなわけないだろ。魔物を倒さないとレベルなんて上がらねーよ」


「そりゃそうだけど。てっきり康隆達に護衛されながら弱い魔物を倒す訓練でもしてると思ってたよ」


「してもらったことねーよ」


「あー・・。じゃあヤバいかもね・・」


「敵が強いのか?」


「えっとねそもそもこのダンジョン作る時にSPで作るって言ったでしょ?」


「あぁ」


「そこでどんなダンジョンかによって消費するSPが違うんだよね」


「ふむふむ」


「それでボクが持っているSPが少なくて中の環境タイプ以外はランダム作成しかできなかったんだ」


雲行きが怪しくなってきたな。


「それで?」


「それでね、環境は1番良さそうな草原タイプにして、あとはランダムで決まるようにしたんだけど、ボクの運が悪いのかどうかわからないけど経験値無し、ドロップ無し、スキルポイント有りのダンジョンになったんだよね」


「クソじゃん」


「クソっていうにゃ!!それとね魔物の種類もランダムだったんだ」


「マジかよ・・・。ドロップ無しで経験値無しなら絶対無理だろ。・・因みに魔物は何だ?」


「えっとね。雑魚としてオークキングが出てきて・・」


「待て!!雑魚がオークキングだと!?」


「うん」


「オークキングってレベル30で推奨討伐レベルも30だぞ!?しかもそれは5人パーティでの話だからな!」


「でも、康隆は20で倒してたよ。しかも1人で。それに昔のダンジョンはこんな感じだったよ?」


「あのリアルチート野郎と一緒にすんな!!しかも俺はレベル1だぞ!?秒で死ねるわ!」


「え?・・・じゃあ帰ろっか?」


「当たり前だ!とにかくまずはエクスプローラーの講習受けて資格とって、弱いダンジョンでレベル上げだな」


「わかった!」


俺たちはオークキングに見つかったら堪らないとそそくさと猫福ダンジョンを後にした。


危うくオークキングの餌にされてしまうところだったが、よく考えればオークキングさえ倒せればめちゃくちゃいいダンジョンだよな・・・。


ドロップ無しは普通に痛いが、経験値無しでスキルポイントだけ貰えるなら、倒せさえすれば半永久的にスキルポイント稼ぎ放題じゃないか・・。


しかしアイツが許可しないと入れないって事は、実質ソロ攻略になるかもしれないな。


そんな事を思いながらダンジョンを出て、とりあえずプレハブ小屋に入る。


中は、簡易ベットと小さな冷蔵庫と魔石式のコンロがあり、奥の部屋にシャワールームがあった。


「マジで必要最低限のものしかないな・・。しかも俺の荷物を入れた段ボールで余計に狭く感じるわ」


「ホントだ。狭いねぇ。まぁボクはこれくらいでも大丈夫だけどね」


「お前は猫だからそうだろうよ」


「だから猫神だってば!」


「はいはい神様神様」


「もう!!とりあえず今日はどうするの?」


そうだな・・。飯とか買わないとダメだよな・・。


「なぁマシロ。近くにスーパーとかコンビニとか何もないのか?」


「スーパー?コンビニ?」


「買い物ができる場所だよ」


「あー。そういうのは無いと思うよ。この辺一帯は康隆の土地だし、そもそも人が居ないからあっても仕方ないからね」


「そうか・・・。どうすっかな・・。とりあえず何かないか見てみるか」


備え付けの冷蔵庫を開けてみると、そこには大きな肉の塊とメモが置いてあった。


「何だ?めちゃくちゃデカい肉が入ってるじゃないか。メモもあるな・・」


ちらっとマシロを見ると、塊肉を興味深げに鼻を近付け匂いを嗅いでいる。腹減ってんのか?と思いつつ、メモに目を通す。



[よう!お父さんだぞ!冷蔵庫っぽいやつの中の肉は食っていいからな!因みにその冷蔵庫っぽいのはダンジョンのドロップ品で中に入れたものは時間がとまる仕様だ。だから賞味期限を気にしなくても大丈夫だぞ!でも冷蔵庫じゃないから冷やせないけどな!あと、小屋の裏にバイク置いておいたから、それに乗って他の必要なものは買いに行け。それじゃガンバw]



途中までは感謝しかなかったのだが最後の一言に何故か無性に腹が立った為、メモを握りつぶす。


「ねぇ」


「なんだよ?」


「このお肉食べようよ!」


「良いけど。コンロがあっても調理器具とかはないぞ?」


「そうなの?じゃあどうする?」


「とりあえず裏にバイクあるらしいからそれで買い物してくるわ」


「わかった。じゃあ待ってるよ」


そういうマシロに手を振り小屋を出てバイクのところへ向かう。


これも魔石式のバイクだ。魔石はダンジョンで拾えばいいから燃料に関して考えなくても良さそうである。


とにかく買い物に行って、明日は協会だな。


そう思いながらバイクを走らせ始めた。


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