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ぱられる転生物語  作者: 桃売もも
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序章1

 俺は天野椋あまのりょう育ち盛りの17歳です。好きな食べ物は卵焼き。嫌いな食べ物はトマト。今日からお世話になります。よろしくお願いします。


 よくある転校生のような自己紹介をしたが、俺は死んだ。俺もよく分からない。


 覚えている限りだと、学校から帰って、家族4人でご飯を食べてゆっくりしていたら、突然窓が割れた。

 割れた窓からは全身を黒い衣服に身を包んだ人が右手に出刃包丁を持って入ってきた。俗に言う殺人鬼だった。

 当然、殺人鬼の前には我が家の大黒柱である父さんが家族を守るように出る。我ながら立派な父を持って誇りに思う。

 偉大な父さんは殺人鬼からの出刃包丁による攻撃を自らの体を用いて止め、その隙に母さんが助けを呼びに家の外へと向かった。その直後、殺人鬼は左ポケットに手を突っ込み拳銃を取りだした。そして、戸惑いや驚きもなく母さんを撃ち抜いた。鉛玉は母さんの背中へ吸い込まれ、その場に倒れ込む。殺人鬼は誰も逃げることを許さない。


 俺は、身を呈して守る父さんと倒れた母さん、そして足のすくんだ妹を守るために父さんと共に戦った。

 しかし、凶器を持った殺人鬼への抵抗は長くは続かなかった。殺人鬼は、父さんの頭を拳銃で撃ち抜き、出刃包丁を俺の肩口へ切り込んだ。父さんも俺もその場に立つことを許されず、呆気なく床に伏した。


 そして抵抗するものがいなくなった所で妹を殺し、父さんを殺し、母さんを殺し、そして俺を見ていた。その目は満足そうに、HAHAHAと歪に笑いながら俺の肩口の出刃包丁を引き抜き、何度も何度も俺の体へと切り込む。次第に、視界が薄れ、世界が傾き、視界の端では、殺人鬼が恍惚な表情でこちらを見ていた。それが最後の記憶だった。


 んー、なんというか。

 人間って呆気ないものです。

 急所を突かれれば死ぬ。血を流せば死ぬ。それを改めて、というか初めて実感しました。

 まあ、今も実感は湧いていません。

 そもそもここどこ?

 俺ってほんとに死んでる?視界は真っ暗で、体は…見えない。が、体はあるのだろう。感覚がそう教えてくれる。何だか、暖かい水の中の海藻を彷彿とさせるような感覚だ。不思議と落ち着く。ここが死後の世界って事なのか。


 実は夢でしたってオチでは無いのだろうか。

 そうであると願いたい。だって、生前やり残したことは無限にある。完結していないゲームや友達との約束、小学校の頃に埋めたタイムカプセルや、昨日の深夜アニメ、かわいい女の子と付き合ったり、デートしたり、さらにさらに、夜のプロレスまでして、そして自分の家族を持って…。

 あーあと、昨日妹のプリンを勝手に食べたことも謝ってないし、妹のウェディングドレス姿くらい見たかった。父さんと母さんには、産んでくれてありがとうすら今までろくに言ったことがなかったな。はは、なんて親不孝なんだ。


 思い返せば後悔しかないな。死ぬ間際の父さんの勇敢な行動に俺はついていけず、足が止まっていた。心の中では、父さんが負けるはずない。死ぬはずがないと思い込んでいた。いや、信じたかったんだろう。

 しかし、俺の感情と結果は比例することはなく、体をボロボロにしながら家族を守る父さん、そして、その隙を突いた母さんの逃げるという勇気のある行動にも、母さんが倒れるまで俺の足は動かなかった。


 父は強かった。しかしそれは心だけで、凶器の前には、赤子同然。

 母も強かった。しかし、音速を超える武器に対しては非力で、踏み出した勇気も全てが崩れ去った。

 俺は弱かった。心も体も、どちらも弱かった。17歳だろうが、所詮子どもということだろう。凶器を持った頭のイカれた殺人鬼には敵わない。

 妹はさらに弱かった。それも当然だ。何せ齢12歳。そんな子どもに強さを求めるのはお門違いだろう。

 

 俺は見知らぬ殺人鬼によって、痛みと恐怖を、心と体に植え付けられこの世を去った。

 今更だが、怒りと憎しみでいっぱいだ。

 この怒りは、手足を動かして発散することにする。


 何だか狭い空間に閉じ込められているような気がする。これは…、布団だな。布団の安心感に近いものがある。しかし、布団から一向に出ることが出来ない。

 おかしいな…。まあ、いっか、生きてるなら生きてるで良かったし、死んでるなら死んでるで化けて出てやる。うらめしや〜。

 そう思い、俺は意識を暖かな海へと投げ出した。



 しばらくの時間が経ったが、この真っ暗な世界からは抜け出す事が出来ずにいる。たまに、何やら声が聞こえ、布団の上に何かが当たる音がする。

 あと5分スピースピー。

 とは言いつつも、流石に何も出来ずにこの状態は飽きた。これも生前の小さい悪行への償いと考え、記憶の中にある限りの悪行に謝罪をした。

 神さま仏さま閻魔さま、私はたくさんの過ちを冒して来ました。それをここに反省いたします。南無南無。


 いきなり何かに頭を引っ張られている。そんなに引っ張られでも何も出なアイダダダダダ

 吸引が始まったと思えば次は頭から何かの締めつけを受ける。まるで西〇記の孫〇空のようではないか。

 三蔵〇師様。今目の前で頭をしめつけられている哀れな人をお救い下さい。

 次第に頭から顔、首、体へと締めつけは広がった。シンプルに痛いからどうにかなんないかな。痛みに耐え続けていると、頭で違和感がある。ここ数日?長い時間?触れたことの無い感触。だがしかし、俺は知っている。

 これは、冬のお風呂にて濡れた体を拭く時の冷たい風の感触。ついに、ついに、この真っ暗な世界から脱出することができるとそう確信した。

 そして。

 ポンッ。と。出た。

 俺は女性の股からポンッと出てきた。

 俺の第2の人生が始まりを告げた。



 ここ何日かで分かったこと、考えたことが幾つかある。


 1、俺が生まれ変わったこと。

 2、この世界が前と同じ世界ではないこと。

 3、生前の両親と今の両親が同一人物である可能性が高いこと。

 4、言語が違うこと。

 5、母親のおっぱいを見ても何も思わないこと。


 1つ目は、俺は死んだあと、もしくは死ぬ間際に転生したみたいだ。生前の記憶と幼稚な体が証拠だろう。

 2つ目は、異世界と言われる場所なのだろう。家具や両親の着ている衣服も現代の日本と比べるとなんとも安っぽい。さらに、両親は魔法っぽいものを使っている。これがなんとも奇々怪々で言葉に表せない。簡単に言うと何も無いところから火や水が現れている。

 3つ目は、一緒に死んだ親2名と、こちらの世界の親2名が酷似していることから分かる。そのため、俺の顔も生前と同じようになるだろう。転生させるのならもっとイケメンにしてくれ。

 4つ目は、単純明快。言葉がわからん。チンプンカンプンだ。ただ、一つだけわかる言葉があった。「エクセリス」と俺に対して呼びかけていたことから、俺の名前は「エクセリス」ということが分かった。

 5つ目は、気にしなくてもいいことだ。母親は母親ってことだ。


 

これに完結とさせていただきます。気が向いたら書きます。

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