8話 嘘を付くコツ
「お前がキワミ ゴミか」
声も見た目に負けず、ドスが聞いた渋い声。
「はい」
「俺はギルド長のマリュフ ツタケだ。ラミィから話は聞いた、昨日までLv2だったのが今日冒険者カードを更新したらLv82になっていたそうだが」
Lv82!?
50は超えてると思っていたけど82!?
おいおい、城にいたこの国最強って言われてる騎士団長でさえ60台だったはずだぞ。
てか、受付嬢の綺麗なお姉さんはレミィさんっていうのか。
「さて、率直に聞くが何をした?」
「何をというと?」
なるべく動揺を見せないよう自然に振る舞う。
「惚けなくてもいい、一日でレベルが80も上がるなんて聞いたことがない。」
ですよねー、聞いたことないですよねー。
「俺は、今日起きた山が大爆発を起こして消失したことと関係あると睨んでいるんだが?」
はい正解!
なんだこのおっさん、めっちゃ鋭いんですけど!
「はは、Lv2の俺がそんな大それたことを起こせるとでも?」
だが動揺は表情には出さない、自分でも不思議なほどそれが自然にできた。
初めから嘘をつくと決めていたなら、意外とボロって出にくいものだな。
それとももしかしたら、レベルアップしたことが関係しているのかもしれない。
身体能力だけでなく精神的な能力も上がっている可能性がワンチャン?
「まぁ、普通に考えたらそうなんだが、山が大爆発を起こして消失と一日でレベルが80も上がる。ありえないことが立て続けに起きたらそこに何らかの関係性があると考えてもおかしくはないと思わないか?」
「気持ちはわかりますが、それだけで俺がやったと言われても…ああ、ただレベルが80上がったのは見たことのないモンスターを倒したからですね」
ここから、先ほど思いついた設定を使い嘘を重ねていく。
ああ、ちなみに嘘をつくコツというものを知っているかな?
「ほう?それはどんな?」
それは
「いえ、大きさはゴブリンより小さいぐらいですかね?ただ銀色で金属のような固い体で、それなのに平べったくてドロドロしている不定形といった感じのモンスターでしたね、そいつを倒したら頭にレベルアップの声がずっと鳴り響いていたので」
嘘の中に本当にあることを混ぜて嘘をつくということだ。
この場合の本当というのは真実とは別で、ぶっちゃけ某有名ゲームの経験値を大量に持っているモンスターの設定をそのまま使うことだ。
クラスメイトがここにいたら、それはぐ〇メタルじゃねーか!と突っ込まれること請け合いだが、今ここにはいないのでばれることもないだろう。
「確かにそんなモンスターは聞いたことはないな、だがそんな大量の経験値を持っているモンスターをLv2のお前が倒したと?」
不振がっているが、ボロなんかださないぞ。
だって俺が話しているのは、綿密に設定されたナンバリングは10を超える国民的ゲームの設定だからな。
日本人のサブカルに掛ける情熱を舐めてはいけない。
「近づいても何もしてこなかったので、持っていたナイフを突き立ててみたんですがまるでダメージは与えられなかったんですよね。本当に硬い金属を刺しているみたいな感触でした。」
「ふん、それで?」
「それで何回もいろんな方向から刺していたらスルッとナイフが入り込んだと思ったら破裂してしまいまして、倒せたといった所です。」
ゲームで言う会心の一撃が偶然でて倒せましたよってことだ。
「ダメージをほとんど与えられない体の急所に偶々刺さったってことか?ふん、まぁ山を消失させましたと言われるよりは説得力はあるな。ミリィ、今の話は新種のモンスターとして記録しておいてくれ」
「かしこまりました。」
どうやら100%信じたかどうかは別として、嘘ではないと思ってくれたようだ。
「キワミ、お前ももういいぞ、これ以上の情報はなさそうだしな。ああ、レミィこいつのランクをCに上げといてやれ。」
「よろしいんですか?」
レミィさんが少し驚いた表情を見せる。
おお、ランクの飛び級か。
これもまたテンプレだよな。
まぁ、大体この後同じCランクの冒険者に難癖付けられるまでがテンプレなんだけど。
「ああ、いくら戦闘用スキルがないといってもLv82の奴をEランクに置いとくわけにもいかないだろう。本当はもっと上げてもいいかもしれんがこいつもある程度戦闘になれないといけないだろうからな」
そうか、【石投げ(極)】は置いておいて、Lv82もあればモンスターの討伐も可能になるのか。
身体能力だけならこの国で一番になってる可能性も?
「かしこまりました。それではキワミ様まいりましょうか。」
「はい、それではギルド長失礼します。」
レミィさんが開けた扉を通りギルド長の部屋を後にする。
よーし、これから身体能力だけでも俺TUEEEEE出来るな!
俺の最強チートな冒険者生活のスタートだ!!
これから俺TUEEEEな物語がはじまると思ったら大間違いですw
感想、評価などよろしくお願いします。