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5話 【極】

冒険者になってから一週間がたった。


あれから何とか冒険者として細々と活動は出来ている。


とは言ってもモンスターを倒したり、戦闘が発生する依頼は一切できていない。


なんといっても、最弱といわれているゴブリンと一対一で互角の名勝負を繰り広げる俺だ。


一対一ならギリなんとかなっても途中で乱入でもされようものならほぼ終わりである。


なので町から離れすぎない程度で薬草等の植物系の採取をとにかく毎日やることで何とか生活費を稼いでいる状態だ。


当然そういった依頼は報酬が安い、そのため生活はギリギリだ。


最初あった銀貨20枚も、宿屋の宿泊費、初期装備費、日常雑貨等で今はもう銀貨5枚ほどしか残っていない。


これでも毎日採取系依頼をこなすことで銀貨5枚まわりをキープは出来ているが


もし何か急な出費が起こってしまうとその余裕もなくなってしまう。


予想以上に低ランクの冒険者は儲からない。


まだ何か戦闘スキルでもあれば討伐系の依頼も出来るのだが、いまだスキルは効果不明の【極】のみ。


これではパーティーを組むこともできない。


パーティーを組もうとしても


「特技は【極】とありますが?」


「はい、【極】です。」


「【極】とは何のことですか?」


「すっごいスキルです。」


「え、すっごいスキル?」


「はい、すっごいスキルです。チートです。」


「…で、その【極】は当パーティーにおいて何のメリットがあるとお考えですか?」


「はい。敵が襲ってきてもチートで守れます。」


「ふざけないでください。」


「あれあれ?怒らせていいんですか?使いますよ。【極】を。」


「いいですよ。使ってください。【極】とやらを。それで満足したら帰ってください。」


「運がよかったな。発動条件がわからないみたいだ。」


「帰れよ。」


となってしまうだろう。


高校生なのに古いネタだって?なろう上級者たるもの古いネタも網羅しているものよ。


何か新しくスキルを覚えることもなく、討伐をしていないのでレベルも上がらず気分は就職できないフリーターである。


いや、高校生だったからフリーターが本当にそんな感じなのなのかはわからんけども。


そんなわけで今日も今日とて採取系依頼をこなしている。


今日のノルマを運よく午前中に達成したので、今は湖を眺めながら朝途中で買ってきたサンドイッチっぽいものを食べている。


中身はいまだよくわからない肉とよくわからない野菜だが値段の割にボリュームがあり結構うまい。


さて、これ食ったらもう少し採取して金稼ぎますかね。


そんなことをぼーっと湖を見ながら考えていると、ふと目の前にある平べったい石に目が止まる。


これはいい石だ、水切りやったら10回ぐらい跳ねそうな感じのちょうど良い石だ。


なんか毎日採取ばっかりで普段ならやらないことを全力でしたくなった。


よーし、久々に水切りやっちゃうぞー。


石よーし。


構えよーし。


周りに誰もいないことの確認よーし。


「どっせぇえええええいいいいいい!!!」


ピシュ! パッパッパッパッパッパッパッパッパッパッパッパッパッパッパッパッ!


ひゃっほー16回も跳ねたぜ!!


「はぁ、空しい。採取に戻ろう。」


荷物を拾い上げ森へ戻ろうとした所


『スキル【石投げ】を習得しました』


頭に抑揚がない平坦な声が流れた。


「はっ?」


はっ?


…え、はっ?


【石投げ】って。


いや、スキル覚えると頭にこんな声流れるのかとか置いといて、【石投げ】って。


いやいや、確かに後天的にスキルは覚えるってあったけど、そんなことより【石投げ】?


もうちょっと実用的なスキルを覚えろよぉおおおおお!!どうせならさぁああああ!!


『スキル【石投げ】は【石投げ(極)】に変化しました』


「はっ!?」


【石投げ(極)】!?


【極】の効果ってスキル強化系なの!?


2話でこっそり箇条書きの中に書いてあったスキル強化系なの!?


読者だってあんな細かい所おぼえてねーよ!


そりゃ効果わからないわけだ、だって【極】しかなかったからな!


それにしても【極】の条件はわかったけど、【石投げ】につくかね。


【石投げ】が極まった所でどうなるというのか。


コントロールがよくなるとか?それとも速く投げられるとか?


…まさか水切りがうまくなるとかじゃねーだろうな?


まぁ、物は試しだ。


とりあえず使ってみるか、使いようによっては何か役に立つかもしれないし。


足者に転がっていた卓球の球程度の石を拾い


「【石投げ(極)】!」


スキル名を叫んで思いっきり投げる。


投げた石は


シュッゴッ!!


目の前から一瞬で消え去り


カッ!!


眩い光を放ち


ドガァアアアアアアアアアアアン!!!


天を揺るがすような轟音が辺りに響き渡った。


「目がぁ!目がぁ!!耳も痛ぁあああい!!」


そんな中俺は、光を直視し音もモロに聞いてしまったおかげで地面に転がりもがき苦しんでいた。


スタングレネードとか喰らったらこんな感じなんだろうなぁ!


ああああああ!!


目と耳の痛みが治まり、目を開いた先にはあるはずのものがなかった。


そう、湖の先にあったはずの山がなくなっていた。


「はは…まじかよ」


乾いた笑いしか出てこない。


役に立たないと思っていた【極】が、とんでもないチートに生まれ変わった瞬間であった。



やっと【極】を発動させることができました。

これから【極】が大活躍していきます。

感想、評価などよろしくお願いします。


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