表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/25

再会

ほんの1週間ばかりの軟禁状態ではあったが、宙ぶらりんというのは堪える。

クラーレ宛ての書き置きを残して、フラスコはさっさと家を出る。


太陽に照らされたペキンパー城は、部屋の窓から見るときよりも美しく見える。

商店街に辿り着いただけなのに、人の営みがこんなに眩しく、また尊く感じるとは。

もし、魔王軍の北上を止められなかったとしたらゾッとする。

城への道すがら、視界に入るもの全てがフラスコを祝福するかのように彼は酔いしれていた。


「橋ィ下げェい!」


衛兵の威勢のいい掛け声で、ペキンパー城へ入る唯一の架け橋が下がっていく。

四面を掘で囲まれたペキンパー城は何人もの侵入をも拒む。

ついつい侵入経路を探ってしまいたい衝動に駆られるのは、フラスコの悪癖である。


「こちらでお待ちを」


フラスコは、多くの扉が並ぶ廊下を延々と連れてこられた挙句、一つの部屋へ通される。

なんの変哲も無い豪華な部屋としか形容のしようがない。

とりあえず部屋の中央に鎮座するソファに座ってみるも腰がソワソワする。


いつもの癖か、椅子の裏や戸棚の中に盗聴陣が描かれていないか探ったり、窓からどう逃げるかなど思案を巡らせるうちに、ドアがノックされる。


「流石にお早いですな、隊長」


「おお、ジャンク!」


入ってきたのは髭面の大男、フラスコ隊の切り込み隊長ジャンクだった。


「元気してたか?」


「お蔭さんで……ところで、隊長のところにも……その、家政婦が?」


「お前のところもか……なあ、上手くやれてるか?」


ウン……と唸るジャンク。


「その……とてもタイプだったもので……初日に襲ってしまいまして」


「え」


「それから今日まで四六時中繋がってる始末で……いやお恥ずかしい」


「お前……この報酬で満足か……?」


「確かに金を期待してた節はありますが、今となっては」


「そうか……」


大人気ないのは俺だけかと自己嫌悪に陥りそうなフラスコの思考を遮るように、さらに2人の男が入ってくる。眼鏡をかけた小男と、赤ら顔の男である。


「ベール兄弟か、久しぶりだな」


眼鏡をかけた方がサム・ベール。赤ら顔の男がジョン・ベールだ。

兄弟と呼ばれているが血縁関係は一切なく、単に家名が同じだったことをきかっけにつるんでいたのが今に至るだけである。


サムは元猟師で罠の扱いに長けており、ジョンは弓術に長けている。


「お久しぶりです隊長」


「おまっとさんです!……ヒック」


さて、あと一人だが……








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ