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宣戦布告

食事を終えたフラスコは、酒を片手にこれからに思いを巡らせる。


  

魔王を討ったのはあの勇者だけではない。


これからも魔王に精神を持っていかれた人間は現れる。


だが、肝心の魔王はアリサの中に潜んでいる。


仕組みも理由も分からない。確実なのは今のままでは防戦一方であるということだ。



奴の能力を暴かねば勝利は無い。


酔わない程に酒を流し込んだフラスコは、アリサの部屋に乗り込んでいく。







はずだった。



「で、何でクラーレさんの部屋から出てきたんですか」


「何でって…何でかな」


あれ?


意を決して乗り込んだは良いが、何故痴話喧嘩染みた状況に陥っているのか。



そうか、魔王の厄介なところはこちらの都合通りには現れんことだな。


などと思考を踊らせていると、アリサがフラスコの腕をギュッと掴んだ。


「なっ…!」


「クラーレさんと契りを交わしたというのなら構いません。ただ、隠さないで…」


「クラーレとは何でも無いんだ。俺が、1番大切なのは…」


やべ。

何か勢い任せにぶちまけようとしているが、目の前にいるのはアリサ一人では無いのだ。


だからこそ、アリサを解放してから伝えようとしていた。



焦る焦るフラスコを知ってか知らずか、距離を詰めたアリサの両手がフラスコの背に回る。


「言って…?」


近くでまじまじと見るアリサは、フラスコの思いを越えて美しく脳髄に染みる。


「俺は……好きなんだ。アリサ、愛してる」


言って、しまった。


「嬉しいです、フラスコ様!」


ギュッと抱き着いたよアリサは、耳元で囁く。


「予行練習お疲れ、フ・ラ・ス・コ・さ・ま」


そう、魔王にこちらの事情は関係無く、寧ろ良好で持続すべき状況を破壊する為に現れる。


だからこそ、宣戦布告をしてやる。


「まったく色ボケもいー加減にするんだな。この身体はアリサ一人のものでは…!?ん、んむ⁉︎」


魔王ともども、アリサを蹂躙するような長いキスだった。


フラスコの唇が離れる。



いつか、アリサに謝らなきゃな……



力が抜けたようにベッドにへたり込んだアリサ=魔王は見下ろすフラスコを睨みつける。


「お、お前誰でも見境無しか!」


「さっさと出て行かなきゃ、何遍でも喰らわせたる」



出て行くフラスコの背中に罵詈雑言を浴びせかける魔王だったが、腹の据わったフラスコには何一つ届かなかった。




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