第三話 勇者は地下へ降り立つ
どうも、ぽてとです!
第一話に続き、第二話も沢山の方に読んで頂き、また評価して頂き大変光栄に感じています!!
ぜひ感想欄でご感想、御意見お待ちしてますのでドシドシ書いてください!
それでは色々起こる第三話、始まります!
「ふーん、君なら気付いてると思ったけど。」
強引にカーネルの言葉を遮り、どこか遠くを見つめるように彼は続けた。
「如何に······この社会の中枢が腐敗しているか―――――、君なら分かるだろ?」
ただ無音がこの場を支配する。
それが何を意味するのかは当人しか分からない。
恐らく2人の関係性も。
カーネルは服についた汚れを気にしながら。
ただ告げた。
「ーーーーーあぁ。」
腐敗。
読んで字の如く、腐っていること。そして、精神が堕落し切って、弊害が多く生ずる状態になることを意味する。
そういった意味と理解しながらもカーネルは返答した。
そして何かを思い出すようにカーネルはつまらなそうに溜息を吐いた。
首を右周りに一周回し、自らの首の骨が鳴るを聞いた後、抉りとるような視線でカムイを睨む。
「たったそれだけの事だよ。本当にそれだけ。それ以外も何も無い。俺はそれを〝利用〟してるだけなんだ。」
「そうかーーー。」
「まぁ無駄話はここまでにしよう。こっちも予定があるのでね。」
カムイは静かに己の腕をあげた。
何が起ころうとしてもいるのかは瞬時に分かった。
つまり再び始まるのだ。
2人の大攻防戦が。
瞬間、バキッ!と床が捲れる音が響き渡った。
床はタイル製にも関わらず、石ころのように砕け散り宙を舞う。
その石ころが再び地に戻るまでの数秒間。
つまり、1秒にも満たない世界で彼らは戦闘を開始した。
まず、カーネルの勢い乗った右鉄拳がカムイの右頬下を捉える。
だが、カムイは拳の軌道に顔を沿う形で完璧に受け流した。
一撃でも外し、隙を見せれば自分がどういう姿になるかはカーネルも分かっている。
だが、分かっていても動けない。
常人を遥かに脱する速さで繰り出したカーネルの攻撃だったが、更にこれを上回るの速度で攻撃を受け流し、己の力に変えたカムイの勝利だった。
そのまま勢いに乗ったカムイの左膝がカーネルの鳩尾に突き刺さる。
「グッ······ガァ······!」
瞬間、肺から強引に息を吸い出されたような感覚がカーネルを襲った。
世界で3人しかいない最高勇者ランクSの彼がこれまで受けてきた様々な攻撃を笑い飛ばせるくらい、頭一つ飛び抜けた痛みが全身に駆け抜ける。
彼は抗うことも出来ず、無造作に壁面に叩き付けられ地に落ちた。
僅か2秒弱。
互角と思われた勝負は常人の瞬き1つ程度の時間で終わりを告げる。
「俺に肉弾戦で勝とうと思う事自体が愚かすぎるよ。どうやら〝平和ボケ〟したツケが回ってきたようだね。呆れたよ。」
勇者最高ランクSは何も答えない。
否。
答えることが出来ない。
「覚えておけ。俺の前に立ち塞がるなんて真似は百年早い。」
まるでボロ雑巾のように転がるカーネルを視界に入れることも無く、吐き捨てるように彼は告げた。
そして、カムイは足元に散らばる血に汚れた資料を足で退かしながら転送装置を見つめる。
「転送装置があるからーーーーー。」
細々と呟く。
それは誰にも聞こえないような声。
何を思ったのか彼は奥歯を噛み締める音と共に、転送装置に手を翳した。
そんな彼の瞳は闇色。
憎悪、殺意、憎しみ、厭悪、嫌悪、その全てが瞳に集っていた。
「転送装置を破壊するってか? なら止めとけ、この俺から長時間背を向ける事になるからなーーーー」
ふとカムイの背後から声がした。
だが、彼は眉一つ動かさず、振り返る様子もない。
その声の正体を理解しているのか、彼は溜息を吐きながら返答する。
「いいからそこで這いつくばってろよ、ど素人。」
「じゃあ死ね。」
「?」
刹那。
カムイの身体の全体が拒絶反応を示した。
何故かは彼自身も分からない。
寒気、悪寒、殺気、殺意、そのどれにも当てはまらぬ何かが彼を襲う。
振り返る余裕などない。
まるで死を直感したような危険信号が彼の脳内に響き渡る。
瞬間、思考より先に彼の身体が動いた。
カムイは身体の上半身を極限まで捻り、自らの右方側へと飛び込む。
そして、同時に先程自分がいた場所を振り返る。
そして、彼は見た。
〝青白く輝く、光の何か〟を。
足元で輝く〝それ〟を見つめ、カムイは青ざめる。
仮に少しでも自分の反応が遅れていて、〝それ〟を喰らっていたらどうなっていたのか。
否。
彼にとって、それはどうなっていたどころの話ではない。
(笑止。危うく俺の成すべき『大義』が消滅してしまうとこだったーーーーー)
考えるだけでもゾッとする。
彼にとって『大義』を失う事は、死を意味していたからだ。
彼はその中で改めて認識させられる。
自分の成すべき事。
自分が理想とする世界。
己の大義。
そして。
今自分が目の前にしている人物は、決して侮ってはならなかった勇者界最強のSであった事ーーーーー。
『王者の三角形』。
通称、S。
普段は表舞台へと出ず、その〝異名〟だけが広まる者達。
圧倒的という言葉すら馬鹿馬鹿しい。
絶対強者。
人間が持つ力を超える勇者を更に超える者。
故にその異名だけは世間でも知らぬ者はいない程有名なのだが、ギルドが非公開にしている為、その者達の本名と顔は誰も知らない。
そんなSのメンバーは3人。
「光司る者」
「命司る者」
「神司る者」
そんな彼らを人はこう呼んだ。
『王者の三角形』と。
カムイはそんなことを遠い記憶の中でふと思い出した。
当時はそれをよく嘲笑ったものだなと苦笑する。
どうやらそれは大きな勘違いだったようだ。
目の前にいるSを目にして嘲笑う事など出来ない。
否。
そんな余裕などない。
特に、剣を抜いた彼の前では。
先程まで輝いていた〝青白いそれ〟は蝋燭の灯火のようにゆっくりと消滅していく。
それを目に焼き付けるよう見つめた後、カーネルに視線を移す。
先程まで拳のみで何一つ装備を纏っていなかった彼は得物を握っていた。
それは光り輝く剣。
全長1メートル弱で、青白く輝く剣はカーネルの右手に握られていた。
剣の先からは光質状の放射体が帯びているのが見える。
どうやら先程の現象はあの剣によって生じたようだ。
「カーネル、やっと本気になったの?」
「久々だよ、この俺に剣を抜かせたのは······」
「へぇ。普段はお目にかかれない訳だ。ラッキー!」
「御託はいい。君は殺される事だけを考えていろ。」
「ほざけ。君を此処で虫けらのように捻り潰すのは訳ない話だ。でもね残念なことに〝時間〟が迫っていてね······〝目的〟を達成しなければならないのだよ。」
「遺言はそれだけかい?」
カーネルは鬼の形相で剣を構えた。
それが何を意味するかを理解出来ぬ程、カムイは愚かではない。
それ程先程の事象は彼に恐怖を印象付けていた。
「最近"こっち側"は平和で仕方なかっただろう? 〝上〟は忙しくしてたみたいだけどね。」
「何の話だ?」
カムイはつまらなそうに。
「ーーーその様子じゃまだ〝真相〟には気付かん、と?致し方ない。······が、もう時間切れ。俺はそろそろお暇するよ。」
「馬鹿が。ここでお前を易々と取り逃がすと思うか? ここで息絶えろッ!」
「はいはい」
カムイは再び右手をカーネルに向け突き出す。
今度は外さない、そう言わんばかりに。
「また〝あれ〟か?」
先程カムイが繰り出した攻撃がカーネルの脳裏に蘇る。
Sですら知りえない未知なる呪文。
どこで編み出され、なんの目的で生み出されたのかすらも分からぬ呪文。
そんなものを前にし、彼は一つ疑問を持つ。
「終わるのか······? この世界はーーーーー。」
そんなことを告げるカーネルに。
カムイは微笑みながら返答した。
「そんな怖い顔するなよ。元々、僕らは"兄弟"だったじゃないか―――――」
あ。
とカーネルは動くのを停止させた。
理由はただ一つ。
まるで真っ暗な洞窟に炎を照らしたかのように、彼の中にある〝ある一つの記憶〟が蘇ったからだ。
それが何の記憶かは本人にしか分からない。
カーネルは全身に力が抜けていく。
それは戦う気すら失せ消える程に。
だが、そのような事にわざわざ構う程のカムイではない。
その時は、無慈悲に訪れた。
「暗黒呪文・自爆こそ究極の献身ッ!」
何をした訳でもない。
ただ掌を翳し、呪文を唱えただけ。
だが、それでもSは動けない。
否。
動かない。
その夜。
彼のその指先がそれ以上動く事は、〝二度と〟なかったーーーー。
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「やっと収まったかーーーー。」
原因不明の大地震がエイト達がいるギルド全体を襲ってから10分という時が経過した。
周りが騒ぎ行く人の群れの中で、サムはパーティーである仲間を自分の元へ引き寄せる。
ギルド内は混乱の渦の中。
出口を求め様々な勇者が怒声をあげている。
「私達も出口に行こうよ······! ギルドごとペチャンコになっちゃったら私達もヤバいって!」
先程の酔いが冷めたのか、力限りの大きな声を張り上げるカンナ。
それにエイトも首を縦に振り、同意を示す。
ここに留まる理由など一つも見当たらない。
だが、エイト含め皆が混乱に陥る理由はそれだけではなかった。
「なんか臭う······なんだこの臭いは······!」
「私も感じてたよエイト······。吐きそう······」
「ナナ、大丈夫か? しっかりしろ!」
軽く口に手を当てるナナを介抱するエイトを横目にサムは叫ぶ。
「皆は先に出口に向かってくれないか······?」
「······サムは?」
当たり前のように聞き返すエイト。
当然ながら仲間を見捨てるようなエイトではない。
何言ってんだお前と言わんばかりに不満げな表情でサムに問い質す。
この状況下を見れば、この場に残るのは得策ではないのは誰にでも分かるからだ。
「俺は少し調べたい事がある······!」
「お前何言ってんだ······! サムの身が危ねーだろッ!」
「そうだよ······! 早く出よ?」
「俺は大丈夫だ······! 頼む······調べさせてくれ······!」
そんな懇願するサムを目にし、エイトは目を丸くする。
これまで団体行動を重んじてきた彼がそんな事を言い出すとは予想がつかなかったからだ。
何か理由を言えぬ理由でもあるのだろうか?
だが、そんな事はサムにしか分からない。
考えるだけ無駄なのだが、彼の表情からして恐らく何を言っても無駄なのだろうと悟る。
仲間としての決断がエイトに迫られる。
「確かにその揺れは異常だが、ギルドには建物自体にも呪文がかけられているんだ。故に建物の崩壊は考え難いだろう······行かせてくれないか、エイト······」
「でも······!」
彼は何かの呪いがかかったかのように懇願する。
彼の意思は一切揺らがない。
仲間としてどうしてあげるのか正解なのか、何も分からぬ青年を追い詰めていく。
しかし、ナナの体調を考慮すれば長考する時間などない。
エイトは割り切るように叫ぶ。
「······分かったよッ! 行ってこい! でも必ずすぐ出てこい! 絶対だ! いいな?」
「当たり前だ。」
サムは首を縦に振ると、エイトらに背を向け、人混みの中へと足を踏み入れていった。
その消えていく背中を見つめる。
「じゃあ私達は出ましょ!」
「あぁ······!」
「エイト介抱ありがとうね······」
「おう」
エイトらは人混みの群れの中に紛れ、出口と向かう。
その際、何度かエイトの横腹に共に出口を目指す者の肘や腕が突き刺さるが気にしている余裕などない。
ただ出口へと突き進んでいく。
かつて、命を捨ててでも守り抜くと誓った筈だった仲間の命を戦場に置いて。
***
「えー! 外は全然揺れてないじゃん······」
人混みの中を掻き分けて進んだ為か、髪が乱れているカンナが呆れたように呟いた。
気分を悪くしているナナを横にし、エイトも口を開く。
「地震じゃ······なかったのか······?」
「設備の問題······?」
「かもな」
「もー! せっかく飲んでたのにありえない! ほんとなんなの!」
声を荒らげるカンナを横目にエイトは〝ある事〟が気掛かりで仕方がない表情だった。
そう、サムの事だ。
「どうしたの?エイト?」
「いや······サムは大丈夫かなって······」
「大丈夫でしょ! そのうち出てくるって!」
「そうだろうけど······」
「気になるの?」
「あぁ······何か嫌な予感がするんだよな······」
この地震。
あの臭い。
そして、サムの行動。
全てが繋がりそうで怖い。
エイトはただサムの安否を心配しているだけだが、どうも嫌な予感がしてならない。
それらの思いが彼にある決心をさせた。
「ちょっとサムを探してくる······!」
「ちょっ! 本気で言ってるの?」
「当たり前だ! 仲間が危険な場所にいるんだぞ! 放っておけるか!」
「絶対大丈夫だって······」
「それでも行く······! ナナを頼むぞ!」
エイトは不透明な運には頼らない。
つまり、それは彼の行動力が高い事を意味していた。
決意を固めるとカンナに背を向けエイトは走り出す。
そして、人で溢れかえる人混みを強引に掻き分け再びギルドの内部へと滑り込んだ。
意外にも中に入れば、それほど混雑しておらず、人に埋もれることは無かった。
(さっきより人が減っている······もう大多数は外に出たのか······)
ふと足元からガラス片が砕ける音がした。
見るまでもなく、そりゃそうだろうなと納得する。
床中には無造作にガラスやグラスの破片が散らばっており、少しでも足を踏み外せば大怪我を負うだろう。
そんな事は全くの想定内だが、気になるのは〝この臭い〟だ。
思わず噎せかえってしまうくらいの強烈な臭い。
これが血なのかどうかが気になる。
もしこの臭いの正体が血だとすれば、それが何を意味するするのかは説明するまでもない。
だからこそ〝気になる〟。
サムが無事でいる確率は大きく減少するからだ。
そんな事を考えていると、エイトはギルド1階フロアの最奥まで行き着いた事に気付く。
「一般勇者が立ち入れるのはここまでか······」
エイトは辺りを見渡すが人の姿は一切なく、無論サムの姿の見当たらない。
ただひたすらに焦燥感だけが増していく。
そんな気持ちを割り切るように辺りを彷徨いていると、ギルドのカウンターが目に入った。
普段なら未開拓領域遠征を申し込む際に受付をするカウンターだが今はこの騒ぎからか誰の姿もない。
今日の遠征も先日このカウンターで申し込んだ事を思い出す。
「······行ってみるか」
通常なら一般勇者がカウンター内に足を入れる事など出来る訳がないが······今は非常事態だ。
そんな事を自分に言い聞かせながらエイトはカウンター内に入り込む。
そこで最初に目に入ったのはカウンター奥にある階段。
恐らく地下に行けるのだろうと推測する。
「確か······転送装置って地下にあったよな······」
今日の遠征の際に、転送装置まで職員に案内された事を思い出す。
この非常事態に転送装置が関係するのかは定かではないが。
「あぁ······もう行くしかない······」
こんな場所で立ち止まっている時間などない。
一刻も早くサムを探し出す事が第一優先だ。
エイトは覚悟を決めると下に続く階段へと足を踏み入れた。
一歩ずつ慎重に。
全身に警戒心を張り巡らせながら階段を下っていく。
だが、そんな足取りも次第に重くなる。
何故か。
理由はただ一つ。
下に進めば進むにつれて、〝血の臭い〟がより強く、濃くなっていくからであった。
エイトは思わず、うっと口を抑えた。
明らかに異常だ。
抑える事が出来ない程の吐き気が彼を襲う。
(どうなっているんだ······この中は······)
普通だったら引き返すのが正解だが、サムの存在が気に懸かる故に彼は進む。
彼の行動理由はその一つだけであった。
どれくらいの時間が経っただろうか。
振り絞る思いで地下一階へとエイトは降り立つ。
目の前に広がるのは廊下。
人が五人程度並んで歩く事が出来る広さの廊下だった。
赤い絨毯が廊下上に敷いてあり、途中所々に扉が存在している。
「あのー······ 誰かいませんか······?」
細々と呟くエイト。
その強烈な血の臭いにやられ、大声を出すことが出来ない。
流石に血の臭いが強烈すぎた。
まるで血の海の中にいるような、そんな感覚に陥ってしまう。
誰もいなさそうなので引き返そうかなと考えていたその時であった。
「おっと! こんなところに人がいらっしゃったよ」
エイトの前方から声がした。
思わず驚き声をあげ、後ずさる。
そこには、一人の男性が立っていた。
ギルド関係者であろうか。
だとすれば、一般勇者であるエイトがこの場に居るのは非常にまずいことになる。
男は身長180センチ程度で全身黒色の服を身に纏っていた。
髪は長く、もみあげは見えない。
そして髪色は今自分が嗅いでいる血の臭いと同じの真紅。
特に関係のないことだが、その男はどこか何か違う雰囲気を醸し出していた。
「あ、あの······すみません······人を探していたんです! ほらっ、こんな騒ぎじゃないですか? 」
「人を探していたのかい? 恐らく人は今居ないと思うけどねー? ここ立ち入り禁止だし。」
男は淡々と告げた。
どこかテンションの高い声で、この状況下では異質であった。
「そ、そうなんですね······! それでしたら戻ります。 すいませんでした······!」
「んー? そういう意味じゃないよ? "来るな、立ち去れ"を唱えていたからね、誰もいない〝はず〟なんだ。俺は此処の人間ではないしね。ミスったのかなぁー。」
「え······?」
『来るな、立ち去れ』
この男が唱えたとされる呪文の名は勇者最低ランクEのエイトでも知っている。
要は"人払い"の呪文だ。
その呪文を唱える事で、人はその特定の場所に一定時間の間は寄り付かなくなるという効果を持っている。
だがこの状況下において、エイトは疑問を覚える。
別にその呪文自体は問題なのではない。
一般勇者が使用していた、という事が問題なのだ。
当然といえば当然だが、勇者は未開拓領域以外で呪文を行使する事は法律で禁止されている。
理由はシンプルで、治安維持の為。
ギルドが許可した場所以外での呪文の行使は一般人への危険性も考慮し、禁じられているはずだ。
それではこの男は何者なのか。
「まぁいいや。君、こんな所に迷い込んではダメだよ。すぐに逃げるんだ。」
「え、あ、はい······あのすいません、この臭いって何だか分かりますか? さっきから異臭が凄くて―――――。」
「分からないのかい? 血だよ、血。」
男は面倒くさそうに告げた。
何を当たり前のことを、と言わんばかりに。
どうしてそんな事を平然と言うことが出来るのか。
エイトにはそれが理解出来ない。
否。
理解したくなどない。
「なら発生源は―――!?」
まだ聞くのか、と。
男はつまらなそうに。
「発生源? "俺"だけど? あーあ、残念。もう俺は君を生かしてはおけなくなった―――――。」
巡り会う運命ーーーーー。




