表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/66

第5隻目 宇宙戦艦を夢見る男!

宇宙戦艦に固執する男、マサヒサ・オガタは、1000年以上昔の日本という国で生まれ育った。

当時の日本という国は、豊かな文明国家であると同時に、様々なアニメーションや漫画やゲームを世界に送り出すサブカルチャーの発信源であった。その中で育つ中、十代半ばの頃、複数のスペースオペラを題材としたSFサイエンスフィクションに関するアニメとゲームに出会った。


アニメ トップをねらえ!  トップをねらえ2! 宇宙戦艦〇マト マク〇スF

ゲーム 無限〇路


アニメ作品に関していえば当時のアニメ界隈において、一般的に呼称される「オタク」という人々からすれば知らなければモグリかニワカ。と言われるほどの有名作品である。ただし、上記アニメ4作の内、トップシリーズと呼ばれる2作は作品世界における設定の作り込みが極めて深いことで知られている。

これそれぞれたった6話で起承転結を明確にした上で、物語に深みを与えるために徹底的に作り込まれた結果だった。

これらは間違いなくオガタの前世に多大な影響を与えた。それは彼だけでなく、当時のアニメーターや漫画家だけでなく、更に後の世代にまで多大な影響を与えた作品であった。制作会社が持てる技術を総動員して作られた本アニメはSFアニメの金字塔と言うべき作品だ。特に戦闘シーンの描写は別格であり、キャラクターの個性も際立っていた。オガタが主であるロボットよりも、戦艦に注目したのは垂直発射式のレーザーが一斉発射されるシーンだった。その格好良さは当時の彼に感動せしめるには十分だった。

オガタはだからこそ「宇宙戦艦を自らの手で作りたい」という妄執に駈られたのは、半ば必然だったのやもしれない。

悶々とした日々を過ごす中、とあるゲームをゲーム屋で見つけた。それが無限〇路というゲームだった。

その世界観はどこまでも広大で、そして深く深くまで綿密に作り込まれた設定や、多彩に散りばめられた過去の様々なSF作品への敬意を表すオマージュ。なによりも、200を悠に超える多種多様な宇宙戦艦を建造、改造、カスタマイズできるという自由度!

彼は歓喜した。その面白さのあまり、メモリーの記録容量限度まで周回プレイしたためにセーブが掛けなくなるほどに……。


だが、そこで彼は現実に引き戻された。

当時の地球には宇宙戦艦は疎か、まともな有人航宙船すらも存在しない。

一時期あったにはあったが、あくまでも地球の重力が届く範囲でしか行動していない上に、費用対効果という壁により退役していた。

彼は現在の技術では自らが夢見る宇宙戦艦など、生きている間に見れないことを悟ってしまった。

どんなに異常な速度で科学が発達しても、技術的特異点の打破が幾度も行られたにせよ、到底到達不可能な次元にあるのは明白だった。

故に、彼は来世という最も非科学的な物に賭けることにした。

自らが欲する超未来の科学のために、現代科学ですら否定され尽くされた神に縋ったのだった。

そして、現在宇宙歴1182年7月10日。小マゼラン銀河調査艦隊帰還より3か月が経過していた。


地球は大氷河期に突入したはずだったが、大自然は無念なことに、人類の超科学により温暖な気候となっていた。

温室効果ガスなどの影響ではなく、地球環境制御装置の恩恵であった。

だが、あくまでも大氷河期ではないというだけで、北半球は夏であり、南半球は冬を迎えている。

ミンミンゼミが景気良く鳴いて、本格的な夏の到来を告げている。そんな中、夏季正装である第3種制服の上着を椅子に掛け、ネクタイもだらしなく緩めた男は、今日も変わらずに職務に勤しんでいた。

と、綴りたいところだが様子がおかしかった。


「暑い。暑すぎる!」


本来、空調が効いているはずの研究棟で彼は暑さにやられていた。

既に上着だけでなく靴も靴下も脱いでしまい、それでも暑くて腕まくりをしていた、

ここは地球ではなく、火星だ。そう、ここは帝国宇宙軍技術開発局第2研究室「江計画」専用実験棟の設計室だ。

その様子を副官は虚ろな目で捉えていたものの、咎めるそぶりを見せない。


「仕方ないですぜ……。まさかエアコンが停まるだなんて、思ってもみやせんでした……」


サイジョウも軍服の上着を既に脱いでおり、パンプスも脱いでいた。汗ばんだブラウスから赤い下着が透けて見え、タイトスカートからすらりと伸びるお御足には黒い薄手のストッキングが纏わりつき、艶かしい雰囲気を醸し出す。

それを横目で見つつ胸中で「眼福眼福」とオガタは呟くと、腕時計型のマルチデバイスを起動させ室温を測る。


「うげ……36度もあるじゃねーか……」


「なら外に出ます? いまなら60度以上の温度でしょうけど……」


火星のテラフォーミング自体は完了している。だがテラフォーミングのために使用されたナノマシンが、太陽嵐により一部が機能停止され、太陽光線が人類からすれば過度に降り注いでいるためだ。

さらに最悪なことに、その太陽嵐はオガタらがいる帝国宇宙軍技術開発局第2研究室「江計画」専用実験棟に直撃したことだった。


「あーダメだ。何もできない……」


「予備の発電機すら起動していないそうですぜ……」


「……最悪だ」


「まだ不幸中の幸いではないですかね? あくまでも屋外にあった機械がやられただけで済んだわけですし」


「おかげで予備の発電機もやられてエアコンが停まっちまったけどな……」


「「はぁ」」


二人揃ってため息を吐く。

他にも数名の技術者がここにいるものの、皆一様に死にそうな表情をしていた。


「ナノマシンの再活性化までどれくらいかかりそうなんだ?」


オガタの問いに、誰も答えない。

そんなの誰もが知りたい情報だ。だが、残念ながら誰も知らない。太陽嵐の影響で軍のデータベースに接続したくても繋がらないのだ。


「オガタ中佐……だったら、奥の手はいかがでしょうか?」


そんな中、一人の技術将校が挙手した。

艶やかな長い金髪をポニーテールにした女性士官だった。端正な顔であるとともに豊満な胸部に視線がいく。

そんな彼女もまた上着を脱いでおり、なかなかに艶かしいとオガタは胸中で満足した。

だが、その視線に気づきつつも「このエロおっさんめ」とミッシェルは胸中で毒づきつつも、表情には一切ださないでいた。


「なんだね。ミッシェル中尉」


「はい。起動実験として縮退炉を起動させてみてはいかがでしょうか?」



ガタ!!!



同時に複数の椅子が倒れる音が響く。

ミッシェルはその音に委縮するがお構いなしに全員がミッシェルに向いた。


「「「「「それだぁぁぁああああああああ!!!!!!!」」」」」


設計室にいた延べ10名近い人員からの大声。その声の勢いのまま縮退炉起動実験室に駆け込み、電力供給のためのケーブルの接続や、電力変換器や変圧器の用意を猛スピードで行う。


1時間も経たないうちに起動実験の準備が整う。


「あの、ほんとに私の一言でここまでやってしまっていいのでしょうか?」


「構わん。責任は私が取る」


そして縮退炉は正常に作動し、館内に清涼な空気が満たされていく。


後に、またもや参謀本部に呼びだれたオガタだったが、「部下の生命の危機を感じたために、やむを得ず縮退炉を使用しました。地球帝国憲法における生存権の正当な行使と考えております」と強弁し、押し通したとされる。

一応、許諾を得ておりませんので一部伏字とさせていただいております。

なお、文中の一部の表現方法や描写は、作者の趣味です(キリ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ