表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/66

閑話 地球組の行動(前編)

どっちかというこっちメインのほうが書きやすい……新キャラがたくさんいると、自分自身で動かしにくい。というのが本音です。

こんな低速度更新なのに読んでくださってありがとうございます。

地球に降り立ったミッシェル、サイジョウ、シュナイツァー、ティラ達。

彼らはすぐさまトウキョウの参謀本部高度情報処理演算室に向かい、ミッシェルは参謀本部副部長から直接中佐の階級章を突然渡された。地球に来た英雄にさらに箔をつけるため、というのもあったのは事実だが、彼女の功績は1個昇進では済まないレベルの快挙である。だが一度に特進するのは死んだときだけとする帝国軍の慣習もあり、時期をずらしての昇進となった。


言わずもがなプログラミングにおいてもやはり設計が必要である。そのため、アマテラス指揮システムを上回る性能のシステム開発のために、アマテラスシステムの開発スタッフも加わり、総勢500名態勢でまずは設計図を描くことから始まった。

とはいえ、一部の人間(特にエミュレータ部門のティラ)は暫く手隙となったので、これ幸いとばかりに首都星地球狭しとあちこちにフィールドワーク(遊び惚けて)に明け暮れるのとついでに、貯まりにたまった代休・有給消化を行っていた。

それを尻目に、ミッシェルとサイジョウは侃々諤々の議論をアマテラス開発陣とくり広げていく。

アマテラスシステム自体、まだ開発されて30年と経っていない新しいシステムであり、いまだ改良が続いている。

にも拘わらず全く新しい画期的なシステムを作ることに、アマテラス開発陣は憤りを隠そうともしなかった。当然であるが反発は想定以上であり、設計図を作るだけでも1週間以上も費やした。


だが、初めから明確な仕様が出ていたので、それを組み立てるための設計図が出来上がってからは、それは怒涛の勢いで追い上げが始まった。



アマテラスシステムと新システムとの違いは自立行動プログラムの有無が最も大きい。

アマテラスはあくまでも相互補完が前提であり、互いに助け合うというシステムである。

一方新システムのベースとなるアーセナルシップ構想における艦艇の運用は、人で例えるならば腕を増やすような感覚に近い。

あくまで脳(イージス駆逐艦)の延長としてある肉体アーセナルシップというものだ。

だが今回の新システムではむしろ肉体からは独立した腕。意識のない肉体を操ること。さながら死霊使い(ネクロマンサー)に近い性格である。

さらにこの意識のない肉体は意識はないが、ある程度は自立してその場の対処に可能というのも相違点としては大きい。

つまり、ミッシェルが軍隊蟻駆除作戦で発揮した行動をシステムとして組むというものだ。


だが、あれはあくまでも軍隊蟻の艦艇の指揮システムを乗っ取り、演算機の性能で無理やりぶん回していたに過ぎず、それをプログラムとして一から組み上げるのは到底困難である。

そのために責任者となったミッシェルは、時間外となっても休まずに仕事に取り組んでいた。


「ミッシェル中佐、お疲れのようですね」


「少佐。ミッシェルでよくてよ。ついこの間まで上官だった人に敬語も使われるのも、居心地が悪いわ」


そういいつつ、出された紅茶のカップを唇へと運ぶ。

彼女は片手でタイピングしながら、脳内で別のプログラミングを組みつつ、各所から送られてきたプログラミングを脳内で簡易エミュレートして添削を行っていた。


「そういえばなんで少佐が私の付き人なのです? ほかにも適任者がいたでしょうに」


彼女はただシュナイツァー少佐がエクセリオンの航海長という重要な役職についていながら、なぜ自分の副官に選ばれたのか疑問におもっただけだった。さらに言えば、シュナイツァーは年こそ30半ばだが、かなりの美形であった。

しかし、それを聞かされたシュナイツァーからすれば、いろんな意味で考えるには十分だった。


(やっぱり俺なんかじゃ不服なのか? 俺の顔がタイプじゃないとか? それともそもそも俺のこと嫌ってるのか?)


様々な疑問が脳内を駆け巡っていたが、それをかき消すようにサイジョウが現れる。

酒の匂いを漂わせながら……。


「あれれ知らないんですぜぇ? 少佐はぁ、あなたが寝たきりの時にぃ、ずぅっと……」


シュナイツァーは目を丸くして慌てる。これ以上は今回の人事理由が白日の下になってしまうからだ。

そこににゅるりと人影がサイジョウの背後に現れ、サイジョウの首にチョークスリーパーを極める。


「サイジョウ中佐は酔っぱらっているようですので、こちらで回収しておきます。仕事の邪魔をして申し訳ありません」


「よろしくてよ。サイジョウさんの酒癖の悪さはもう周知のことですもの」


ミッシェルは振り向きもせずに言うと、黙って作業に没頭し始める。


「ミッシェル中佐。シュナイツァー少佐。失礼します」


そういってチョークスリーパーを掛けつつ、自立思考型ロボットAYAMEは姿を消していった。


「ぐ、ぐるじぃ。た、たすけ……」


悲痛な声だったが、身動きが取れないだけで問題ないだろうと二人は救援を求める声を無視した。

途中で声が聞こえなくなったのは、遠ざかったからと納得する。


「ところで中佐。もう8時を回っています。そろそろ休まれないと明日に響きます」


「そういわれても、このままじゃ開発に数年必要よ」


「ですが、このままでは能率は下がる一方です。休むことも必要です」


「それもそうですわね。んー疲れた」


座ったまま伸びを一つ。すると胸部の自己主張におのずとシュナイツァーの視線が一瞬とはいえ行ってしまうのは、どうしようもないほどに男の宿命ともいえる、いわば脊椎反射に等しい反応であった。


「そうだわ。少佐。今からお暇かしら。私に付き合って残ってくれてるお礼に、どこか御馳走するわ」


「いえ。副官としての役割を全うしているだけです。お気遣いいただかなくても……」


「それなら上官命令です。私と食事を一緒に行く」


「……そういうことでしたら、喜んで」


ミッシェルという女が、さすがにシュナイツァーの目線……だけではないが、日ごろからのやり取りで好意を寄せていることくらいは知っていた。だがシュナイツァーの奥手と彼のなけなしのプライドを鑑みて、彼から誘うことは新システム完成よりも先になりそうだった。そのため、一歩間違えればパワハラといわれるような命令で、食事に誘うことにしたのだ。

そして食事自体はよくある居酒屋でとなった。お互いかしこまらずに食べるとなると、そこが一番安パイだったというのもある。

ミッシェルが化粧直しに中座した隙に、シュナイツァーは会計を済ませることに成功した。これで好感度が上がるはずだと自信満々のシュナイツァー。だが、食事の途中でミッシェルが疲れのあまり寝てしまい、負ぶって官舎まで運び、彼自身も疲労のために寝てしまった。そして翌朝に起きたミッシェルの勘違いにより、しばらくの間二人の仲は気まずいものとなるのだった。

書き終わって……いつからサイジョウはこんな絡み酒するめんどくさいやつになったのだろうか。いつからネタ要員になったのだろうかと考えたら、かなり前から飲んだらネタ要員に使ってましたね。

サイジョウはわかりやすいキャラだから動かしやすい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ