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第41隻目 白熱の業火より出でる敵! 甲板破って出でる機!

遅くなったけど……遅くなったから、そろ~りと投稿します

γ線超えるΖ線を利用した対艦隊殲滅兵器、Ζ線砲。

試験艦型エクセリオンのみが装備する対艦隊殲滅用マイクロウェーブ砲を、数学的事象変動フィールドを攻撃転化させることにより、人類すらその存在を科学的に証明できない『Ζ線』を無理やり生み出す必殺の兵器。

艦の装甲すら透過する超極微の放射線による見えざる殲滅の一撃は、数百隻の敵戦艦を必中範囲に収め通過していった。

見た目こそ何の変りもないが、戦艦達は増速することを止め、いまや慣性の法則に従い漂う宇宙塵と成り下がっているのは目に見えて分かる。エネルギーを生み出すはずのエンジン部が機能を停止し、エネルギー波や重力波の一切が感知できないことからもそのことが確認できる。

恐らく、中の人員や精密機械類は悉く蒸発している。

生命体であれば、その体内の数十%が水分で出来ている。それが一瞬にして沸騰し蒸発。赤い煙となっているはずだ。

このΖ線砲は、いまだ熱量渦巻く核融合爆弾の爆発中心部にも届いていた。

尤も必殺距離からやや離れているうえ、既に死んだはずの艦艇群。この1億2000℃という白熱の業火の中で生き残ったのは戦艦クラスのみ。そんな戦艦達もこの業火から脱し、オガタ達超連合艦隊の前に進んできたすべてが表面装甲がドロドロに融解していた。

戦艦クラスですらそれほどのダメージを与えることに成功した核融合爆弾の飽和攻撃だ。まさか重巡クラスなどは一隻たりとも生き残ってなど居るはずもない。


だが、その白熱の業火より出でるモノたちがあった。


「やはり」


次第に収まり始めた核融合の熱から出てくるのは、核融合爆弾の飽和攻撃により殲滅したはずの、重巡クラス以下の中小の艦艇である。だがその艦艇群は全容を留めており、核融合爆弾により受けた損耗はわずかであった。

さらにこの艦艇群は、先ほどのΖ線砲を浴び、現在はその機能を喪失しているのも確認できた。


「あの白熱の中にはまだまだ生き残りが居そうですわね」


「なるほど……戦艦が盾になって小型艦を守ったわけですかい」


誰もが驚愕する状況だった。

太陽の中と同等の温度から逃れられるわけがない。戦艦以外は蒸発したとばかり思っていたにもかかわらず、それが艦の全容を留めているのだから、それは衝撃的であった。

しかし、オガタは恒星から直接エネルギー源にする技術を持っているのだから、これくらいのことは出来てもおかしくない。と、納得していた。


「サイジョウ。それは違う。これは陽動だ」


「陽動ですかい? まさか、こんな大規模な陽動なんてありえませんぜ」


「まぁ、見ていればわかる」


(強襲を行うも、核攻撃により強襲は頓挫。だが、戦艦で中型以下を防御し、生き乗った戦艦による陽動。そしてそれからの、死んだと思わせておいた中型以下による奇襲……それすらもΖ線砲により中型以下の艦艇が生き残ってるのが露呈したとなれば……それすらも陽動にした何かを嗾けてくる算段だろう)


サイジョウは否定するが、オガタは直感的にこれは陽動であると理解していた。

オガタはおもむろに指揮システムに自身の生体コンピューター化した脳を直結する。

何千、何万という戦闘プランを読み解きつつ、即座に敵の次の行動を明確に把握し、指示を下した。


「後方警戒を厳とせよ」


言葉と同時に指揮システムにも同様の命令を送る。


「どういうことでありましょうか?」


天羽もオガタの急な指揮の変容を見て異常を感じ取る。


「戦艦、いや目の前の艦艇群もすべて陽動だ。やつらの本命はきっと後方からの……」


「6時の方向、距離2auにてワープアウト反応! およそ2万以上!!」


「挟撃上等! アンドロメダ銀河帝国艦隊に通信。我々の後背を拝する輩の横っ腹を叩いもらいたい」


『こちらアンドロメダ艦隊司令。要請を受領する』


「後方の戦闘情報は収集しませんので、全力を出されたし」


『……感謝する』



言語変換機の言語蓄積の不足により素っ気ない言語の変換となったが、それでもアンドロメダ銀河帝国との最低限の戦闘中の意思疎通は図れる。また、アンドロメダが全力で戦えるように、情報収集を行わないことを伝える。アンドロメダからすれば地球帝国は同じ帝国主義国家。いずれ覇権を争う。もしくは、銀河間同盟と事を構えることになった際に、同盟に与する地球帝国に戦闘情報が知れていては、後々の戦いに差し障るということもあった。


オガタは次の手を考えていたが、それよりも先に白熱の業火から次々と中小艦艇が飛びだしてきた。


「前方より約7万!」


「直掩の半分を迎撃に回せ。作戦は変わらない。我らは攻城槌だ!戦艦重巡空母軽巡駆逐なんでもかんでもかまわん!串刺しにして塵芥と化せ!!!」


オガタの命令は変わらない。


(奇襲挟撃が失敗とわかったやいなや、間髪入れずに突撃攻撃。あくまでもイニシアティブを握り続けたいわけか)


「全砲門斉射始め!」


「敵の全小型艦艇のコントロール奪いましたわ」


「同士討ちさせろ。徹底的にだ! 敵主力の動きはどうだ?」


オガタの命令にミッシェルは待ってましたと言わんばかりにニコリと笑って「了解しましたわ!」と返事する。


「いまだ変化なし」


「ならばよし。レルゲン中佐。撃ち漏らすなよ」


「わかってやすぜ」


「シュナイツァー少佐、全速力で直進だ。チョウ中佐。縮退炉を全力運転させろ」


艦内指揮を執りつつ、脳で直接艦隊指揮の指示を出していた。


『全艦隊、紡錘突撃陣に移行。艦首に数学的事象変動フィールド全力展開。交錯時に全砲門を発射せよ』


この命令に従い、艦隊は鮮やかな艦隊運動を行い、見事な紡錘突撃陣を組む。

その中でも被弾する艦艇は0ではなかったが、高い練度をもって最低限に抑えていた。


「サイジョウ。あと何分かかる?」


「あと10分ほど、いや7分ください」


「敵との交錯まで残り10秒!」


シュナイツァーの声が上がる。


「残りは今まで通りだ。総員、衝撃に備えよ」


「5,4,3,2,1,今!」


艦に大きな衝撃はない。だがエクセリオンの艦首は確かに敵戦艦の艦首を捉えていた。本来訪れるべき衝撃はなく、その変わりに破片が大量にぶつかる擦過音が大音量で響いていた。

艦首に展開されていた高密度の数学的事象変動フィールドが敵艦を消失させながら通過していたのだ。その証拠に艦体には大量の破片によってできた無数の傷が出来ていた。

この交錯と同時に垂直発射式レーザーは全門が放たれ、既に絶命間近の複数の敵戦艦の横っ腹に風穴をいくつもあけていった。

この一瞬で敵艦隊は数千隻が沈んでいたが、エクセリオン艦隊も無傷では済まなかった。


「98、170番艦轟沈! 大破は30隻余り!」


サイジョウの報告にオガタは胸を痛める暇などない。

この一瞬で数万の人命が失われたことに、オガタは冷淡なほどに冷静だった。


(『百人の死は天災だが、一万人の死は統計にすぎない』……か。まさに、このことか)


オガタの独白は胸中にのみ吐露されたが、それすらもオガタの脳内では刹那の出来事だった。

生体コンピュータとした彼の脳の体感時間からすれば、現実の1秒を1時間とするのにはさして難しい問題ではないからだ。

冷静な頭脳を持ってして、彼は指示を出し続ける。


「生き残った艦で陣を組み直せ」


「次の接触まで6分!」


「絶対に横っ腹を取られるな」


シュナイツァーは喝を入れられ、操艦により集中する。


「ゲイ・ボルグ隊はどうなっている?」


『こちらマッカラン少佐。全機敵艦隊を強襲しております』


「そのまま攻撃続行。本作戦に参加する全艦隊に通達。我が艦体が次に敵艦隊と交錯した際に、我が国の機密兵器を使用する。それと同時に本宙域を離脱せよ。戦闘を継続しつつ、ワープエネルギー充填を始められたし。100分の1秒でも遅れれば、消滅するものと思われ。次の交錯予想まで5分12秒である」


「こちらレルゲン! さっきの衝撃で垂直レーザーの6割が発射不能! 砲塔系は全部やられました」


「了解。残った武装で善処せよ」


「りょ、了解!」


「サイジョウ。間に合うか」


「はい。いつでもいけます!」


サイジョウの返事は実に明るい。

しかし、悪い知らせとは急に入るものだ。それは昔も今も変わらない。


「レーダーに感あり! 高速で接近する敵機多数!約1万!」


「直掩を回せ!」


「直掩、間に合いません!!」


「なんだと」


悪い知らせはそのまま悪夢となる。

大破していたエクセリオンばかりが標的となり、次々と沈められていく。


「対空戦闘開始!全力だ!」


「アダムとイブにも敵機が……!」


オガタ達が乗る旗艦の上方50㎞にいるアダムとイブに、100機近い敵機が吸い寄せられていた。


「まさか、まさか」


(まさか、あれがブラックホール爆弾であることがわかっているのか!? あれが失われれば、我々は、負ける……!)


もはや絶望であった。


「チョウ中佐に伝達。エンジンを臨海まで上げておけ」


「准将?」


「いざとなればあのダイソンスフィアに本艦ごと突っ込むぞ。皆も軍人なれば、腹を括れ」


オガタはとっくの昔にしていた覚悟とは別の覚悟をする。

見し知った顔ばかりの本艦を道ずれにする覚悟は、オガタも持ち合わせていなかった。

敵機がアダムとイヴに近づく。エクセリオンから、アダムとイブからも対空砲火は上がるが、それすらもものともせずに敵の機動兵器は肉薄する。

あとわずかで敵機がアダムとイヴを射程に収める寸前、一筋の光線が敵機の群れを切り裂いていく。


「准将……第7格納庫のハッチが、開いています……」


「な、なにぃ!?」


オガタは一瞬、コンプライアンスや各種法に触れることを危惧した。

だが、その後ろ姿や、なんと頼もしいことか。

せり上がってくるその鈍色の機体は実にたくましく、勇ましい。


(あぁ、きっと、あの艦長はこんな感情だったんだろうな)


「これより、ゲイ・ボルグ試作機、仮称『バスター』による作戦行動を実施します!」


ニアの凛とした声がスピーカー越しに艦内に響いた。

コンプライアンス……?

うん、きっとガイナックスさんならOKしてくれるでしょ(多分……

それ言いだしたら、あの会社のトップをねらえ!なんて、タイトルとか各話タイトルとかメカニックデザイン(これはオマージュかな? インスパイア?)だってかなりパk(以下rya

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― 新着の感想 ―
[一言] >ガイナックス 天下のN〇Kの番組で、 某宇宙戦艦のオマージュやらかすぐらいだから 大丈夫!!
[良い点] ワクテカが止まらない。(w [気になる点] 軍隊アリなら別の群れがいますね。 [一言] 目指せ単素粒子構造。
[一言] 今のガイナックスにトップを狙えの版権はありませんぜ。 中の人間も全く別人、名前だけのハリボテ企業となっております。
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