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第35隻目 機動兵器もまた収斂する!

早めに投稿できました……

今回のレーザーテーマは「収斂」です。

収斂というのは私自身がよく考えることです。

様々な物事も、「効率化」の名のもとに機械化されていく様は、ある意味、「収斂」なのかもしれませんね……哲学的な考え方なので、本来の用法とは異なりますが、お読みいただければ幸いです。

ゲイ・ボルグ

ケルト神話に登場するクー・フーリンが使用したとされる「必中する槍」。

投擲すれば敵軍を残らず突き刺し、一人も残さず命中し、必ず致命傷を負わせる。

とあるアニメではその投擲で大爆発を引き起こしている……ともかく、その名を冠する機動兵器に込められたコンセプトは、「出撃すれば残さず敵機を打ち倒す」という物だ。

だが開発者が「どやぁ!この兵器すごいやろ!」とドヤ顔で言ったところで、「こんなん使えへんわ!」と現場から総スカンを食らう兵器というのも少なくない。

列挙すれば暇がない。だからこそ現場から総スカンを食らわないために、アイとセットの2名が現場にて研修を兼ねた調査を行っていたのだ。

彼らはマッカラン少佐(当時大尉)に扱き使わ……の元で実地研修を積み、見事現場の意見を汲み上げた機動兵器を完成させるに至った。


試作型 可変人型機動兵器「ゲイ・ボルグ」

全高24m 空虚重量26.2t 基本重量38.8t 最大重量52t(地球重力下での上限重量)

巡行速度 光速  戦闘限界速度 亜光速 地球上最高速 マッハ4(安全性。音速衝撃波(ソニックブーム)などを無視すればさらに加速可能)

動力源 小型縮退炉1機(縮退炉起動用蓄電池有)

推進方式 純エネルギー推進方式(各スラスターには非接触式エネルギー伝達によりエネルギー供給)

操縦方式 イメージフィードバック操縦(予備としてマニュアルあり)

基本武装 127㎜レーザーライフル 超振動ブレード 30㎜頭部機関砲 肩部装甲格納式155㎜レーザー砲4門(片肩2門) 肩部装甲格納式大型ミサイル2発(片肩1発) 自律型誘導兵器迎撃装置(レーザー及び指向性マイクロ波)

追加武装 320㎜超電磁砲(対艦兵器) 280㎜多目的砲(火薬発射式 弾種には徹甲弾、粘着榴弾、フレシェット弾など) モジュールにより格納式兵装類を追加可能

装甲 エクセリニウム合金・空間装甲(モジュール式装甲。追加装備可能)

その他防御 対物・対光学フィールド 電子攻撃妨害装置 慣性制御装置 数学的事象変動フィールド

82式小型量子演算機 「雛梟」

索敵装置 光学自動探知装置 戦闘レーダー(JA/MAIMO-10C)

突撃形態・人型形態に変形可能


イメージフィードバックという新機軸の操縦方式は銀河間連合の標準的な操縦だ。それは現在の地球帝国宇宙軍より数段階上の操縦技術である。

しかし数百年前の地球圏ではAIによる無人兵器という人間という脆弱なパーツを排除することで、機体を限界までぶん回す超機動(スーパーマニューバ)を可能とさせていた。それに比べれば見劣りする。現状は視線認証システムなどは使用しているものの、操縦の大部分をマニュアルに依存している。地球人類でもイメージフィードバック基礎研究は成功させているが、なかなか量産化に目途が立ってないのは前提条件として「電脳化または生体コンピュータ化されている」ことであり、これをすべてのパイロットにさせるには地球帝国憲法と倫理上不可能であり、採用が見送られていた。これが外部端末による読み取りできる装置というものを連合は開発していたため、それを採用することになったのだ。マニュアル操縦はマニュアルになれたパイロット用に予備として残された。

小型の縮退炉を搭載することで推進剤を不要とする純エネルギー推進方式を採用可能となり、多大な容積を必要とする「邪魔者」を取り払うことが可能になった。非接触式エネルギー伝達方式という銀河間連合ではポピュラーな技術により、縮退炉で生成されたエネルギーの99.8%というほとんどロスのないエネルギーをスラスターやマッスルパッケージ、さらには大出力兵器に直接供給することで、機体内部の煩雑なコード類の一切を排除する。この恩恵とモジュラー式装甲により、マッスルパッケージの交換性は驚くべき程上昇する。

大型の肩部装甲を閉じた時、本機は真骨頂である突撃状態となる。鋭利な先端には連続しては1分が限度だが数学的事象変動フィールドを発生させられる。フィールドを展開して突撃すれば優れた機動性能と相まって、オーバーテクノロジーとされる謎の大艦隊の艦載機如きは串刺しにするのは容易く、ゲイ・ボルグの名に恥じぬ「絶対必中・一撃必殺の槍」となる。

整備性と操作性、そして極限まで研ぎ澄まされた性能、現場の求める最高かつ最上の機動兵器である。


(ガン……バスター)


「なにかおっしゃいましたか?」


「いや、なにも……」


小型縮退炉を搭載したこの機動兵器の姿は、オガタがいまだに幻想するあの史上最強のロボット兵器。それを小さくしたような姿形は、オガタを感嘆せしめるには十二分だった。

オガタの頭に(よぎ)ったのは『収斂』の2文字。


目的、目標が同じであれば、スタート地点や経過は全くバラバラでも、最終的には同じ状態に辿り着く。

大昔の地球において世界各地で各種の原始人が同時期に誕生した。場所も時代も様々であったが、彼らは等しく、様々な猿から進化し、ヒトの姿を得た。たしかに、現代人類に比べれば幾分野性味溢れる顔つきであったが、最低でも顔の大部分は肌が露出し表情が一目でわかることや、道具を使って狩りを行い、集団で行動するなど、共通点は多く、猿種から進化した生物は等しく「ヒト」になるということが裏付けられる、収斂の象徴であろう。

これは神話や宗教などにおいても当てはまる。

世界各地で時代ごとに発起した宗教は、最初は自然崇拝であり、その多くが「太陽」を神として崇めた。多神教であっても「主神」と「従神」の関係があったり、ギリシア神話と日本神話の類似点の多さは、博識な方であればすぐに気づくほどだ。

多神教。旧神と新神の戦争。奇形神の存在(ギリシア神話ではヘカントンケイル、日本神話では蛭子など)。神々の血みどろの物語……。

時代も、場所も全く違うにも関わらず、全くもって似通った神話が語られるのは、人が考えうることが最終的には同じ物になるという表れに他ならない。

人が考えつく物事は、目的が同じなればこそ終着点は同じとなる。

人の業の妙をオガタは覚えると共に、収斂という奇妙な(ことわり)に興味を覚えた。


「実機での稼働試験は?」


「実機ではまだです。現状はニア曹長がシミュレータで動かしてる段階ですが……」


アイが言葉を詰まらせる。どういうことか、アイは脳通での通話に切り替えた。


『ここだけの話。彼女であれば、超江1隻くらいの防空は余裕でこなせるくらいの性能です』


『それは……仮に連合が相手だとしてもか?』


『御冗談を。連合なら彼女だけで1個艦隊は「壊滅」判定です』


「壊滅!?」


「准将。リアルで声を出さないでください」


「す、すまん」


下っ端……とはいえ、「江計画」発足以前よりの付き合いだからこそできる突っ込みに、「私の出番が取られた気がする!」とサイジョウは直感したのは、第6感が芽生えたわけではなく「女の感」というべきもの。

それはさておき、この茶会そのものは終焉に近づきつつある。

打ち上げの茶会というのは、便宜上の建前であった。

そして本題に入ることにする。


「すまないが、そろそろ私は席を外す。あとで、サイジョウ、ミッシェル、ニア、天羽の4名は艦長室に来るように」


「准将、一体全体何用ですか?」


「突然なんなのですわ」


「どういうことでしょうか?」


「……」


四者四様の反応を示す中、オガタは茶会会場となっていた小会議室を後にした。




収斂。

頭の中で引っかかるのはその言葉。

謎の大艦隊の艦艇は全くもって科学の理から外れた設計思想の基に作られたものであるのは明白だった。

地球帝国だけでなく、大マゼラン銀河共和国、ライラバル星系連合、アイレンバーゼン、連合の強国の一角だったラーゼンバーグ連邦……艦の大きさなどはかなりの差がどれもある。だが、武装面ではいえばレーザーや超電磁砲やミサイルといった科学技術の一つの到達点である武装であったり、そのレーザーやミサイルを防ぐためのフィールドないしシールドを有し、ブラックホールを利用したエンジン技術といった随所に共通点が認められる。だが、謎の大艦隊は違ったのだ。

レーザーでも超電磁砲でもミサイルでもない攻撃を行い。フィールドやシールドとは異なる防御装置を有し、エンジンにいたっては科学を純粋に発展させた文明には解析不可能な代物……かつて銀河間連合の強国だった連邦が辛うじて得た情報は、科学文明とは全くもって異なる出発点から地球帝国などと同じ、いや超える技術の兵器をもつ文明が存在することを突き止めるに至った。

苦しくも、その姿形はオガタの遠い記憶の中でも、今でも鮮明に思いだせるあのゲームの真の敵に酷似していた。大きさこそことなるが、それは間違いない事実だ。

これがもし収斂というならば、現実は小説よりも奇成りをオガタは体感することになる。


「……まさか、な」


オガタは己の妄想を打ち消さんと頭を振る。ちょうどノックする音が、艦長室を響かせた。

出典があるもの(神具であったり歴史だったり神話だったり……)てのは、ネットがあるから調べるのは楽なのですが、情報が多すぎて抽出するのも大変だったりします。

そういえば古今東西、大体の王様の祖先は神様だったり英雄だったりします。

これもまた収斂なのかなー……


作品へのコメント、待ってます><

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[一言] (ガン……バスター)まだシ....ズラー
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