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第34隻目 無難なれど斬新に設計する!

大変遅くなりました。

いまって7月の下旬。

……予定は未定なのです!


以下言い訳を……

自衛隊の訓練などでデスマーチ終了間際からちょっと体調悪くて、10日ほど前に夏風邪を引いたり、仕事が忙しくなってきて疲れてしまい、なかなか書けませんでした。

構想そのものはとっくに出来上がっていたのですが、申し訳ありません。

では本分をお読みください><

兵器のファミリー化というのは1000年以上昔から行われてきた。

西暦2000年代には各国の軍事力の増強と高騰する戦闘兵器。

予算が不足するなか最新鋭の兵器を数多く保有するためにも、兵器近代化のためにも低コストにする必要があった。

特に数が必要な陸軍の車両はそれが顕著であった。

陸上自衛隊では高機動車の車体をベースに、荷台部に近距離対空誘導弾発射機や対戦車誘導弾発射機を装備するなどして高機動車本体の生産数を上げることで、量産効果により価格を引き下げるなどの努力をしていたが、そもそもの生産数が少ない自衛隊の車両では量産効果の恩恵は微々たるものであった。

2020年になると陸上自衛隊は16式機動戦闘車のシャーシをベースとした、人員輸送型装甲車や装甲戦闘車を正式化するファミリー化構想を打ち出した。

旧式化した96式装甲車や89式装甲戦闘車、82式指揮通信車、87式偵察警戒車などを一挙に更新する陸上自衛隊初の一大改革となった。高額化した装輪式155㎜自走榴弾砲の代替として、ファミリーの一つに自走迫撃砲車も追加され、今まで非装甲だった救護車など含め、数多くの車両群が更新されることとなった。

16式機動戦闘車のシャーシ価格は大幅に下落し、当初の車体価格(砲塔除く)で約3億円だったものが、1億円まで下落することで1輌3億円ほどで調達されることになった。これは当初の導入額である一輌6億円の半分である。この恩恵は大きく、各車両はどれも2億円前後で調達することになる。

陸上自衛隊の車両はどれも高額で更新の遅れから陳腐化著しかったが、ファミリー化構想の成功により一気に近代陸軍に返り咲くことになった。

これは日本に限ったことでない。アメリカやロシア、中国といった軍事先進国の多くが戦闘車両のファミリー化を行っていた。

ただし、中国では政変に伴い軍縮の嵐が一時期訪れたのもあって、実際にファミリー化に着手したのは2030年代に入ってからとなった。

車両だけに留まらず、航空機においても輸送機と哨戒機のパーツの共有化や、戦闘機でも同系統の機種で空軍機、垂直離発着機、海軍機の3種を一挙に更新するF-35シリーズもある。

ただし、F-35においては多数の国の共同開発であったために各国の要求性能を満たそうとした結果、非常にコストが増加するという真逆の効果を招いたものもある。

さてエクセリオン級においてはどうなるのか。

既に200隻近くが竣工を迎えており、竣工間際が300隻、ドンガラだけが出来上がったものが500隻、残り1000隻近くが建造開始したばかりである。

建造計画は「謎の大艦隊」の接近に伴いいくつかの繰り上げが行われ、本年度中にさらに3000隻が建造開始できるようにドック建設も並行して行われていた。

建造開始されてすぐのエクセリオンは速やかに「強襲型」と銘打たれた設計に改められることになり、各種の背負い砲塔は廃止。代わりに15m級にスケールアップして発射孔の減った垂直発射式レーザーの、発射孔に宛がう。

機動兵器は数を減らし。カタパルトを廃止して直接宇宙空間に飛び出るようにする。

かなり大胆な設計変更だったが、基本設計から大きく逸脱した改設計ではなかったため比較的スムーズに建造が開始された。他にも多数のエクセリオンシリーズの建造が承認され、1隻あたりの建造価格は艤装及び艦載機込みで20億アース程度で調達されることになった。艦体ベースの共通化というファミリー化と量産効果。なによりも一番費用が掛かっていたエクセリニウム合金の大規模製造工廠の完成により、建造費の大幅減に繋がった。

また過去の遺物ともいわれる「核融合爆弾」の製造も開始された。

TNT換算で50メガトンの3重水素を用いた核融合爆弾を敵艦隊に数十~数百発を撃ち込み、排熱機能を遥かに上回る熱でローストする。この核融合爆弾を運搬するための「水雷艇」として、既存の艦艇の機関部を縮退炉への改造も順次進められている。

こうした各種の時間稼ぎのもと、遂にオガタは新たな主力戦艦の設計を完了させた。


全長9800m 全幅5,300m 最大高2100m 排水量6300,8000t 

動力源 縮退炉5基(主機) 常温核融合炉3基(補機)

推進方式 純エネルギー反作用推進方式

武装関連  垂直照射式12m級対艦レーザー砲(800門) 垂直発射式誘導弾発射装置(28000セル 光子ミサイル、対空ミサイル各種、対艦ミサイルなど) 正面固定式30m級対艦レーザー砲(28門) 対空レーザー機関砲7000基 背負砲塔式3連装22口径20m級対艦レーザー砲48基 対艦隊用広範囲殲滅マイクロウェーブ照射装置(1門)

装甲 エクセリニウム合金(最大厚30m 最低厚12.8m)の4重船殻構造

対物・対光学電磁フィールド 数学的事象変動域形成フィールド 電子攻撃・対抗装置(レーダー探知妨害装置、対レーダー探知妨害装置、電子攻撃妨害装置、電子攻撃装置、ハッキング・クラッキング装置)

電算装置 82式量子電算機「ミネルバの梟」3基

索敵関連 JA/MAIMO-9A(多目的・戦闘レーダー) JA/TOKU-3(超長距離天体識別レーダー)

機動兵器 新型機動兵器搭載予定 機数400機


連合からありがたく頂戴した謎の大艦隊の主力艦艇の予想情報と、連合主力となるアイレンバーゼン艦艇の機密、艦艇諸元情報から逆算し、それらを凌駕する性能の戦艦。

オガタの行きついた現時点で全宇宙一番の最強の戦艦の理想形。

エクセリオンを長く引き伸ばしたような艦艇(ロングエクセリオン 短称 長江)2隻の艦底を向き合わせるように並べ、その両端をアーチ状に指揮管制ユニットで接続する双胴船方式。

配置の関係上、ロングエクセリオン底面部の武装は背負い式砲塔と機動兵器カタパルトとなるが、逆を言えば、側面からの攻撃にあっても底部の武装は確実に生き残るという、継戦能力・抗耐性の向上に繋がる。

機動兵器の減数も、空母型エクセリオン(空江)や強襲型エクセリオン(強江)の建造開始により問題なく、また既存の戦艦型エクセリオン(戦江)は、本艦が実戦配備されるのと同時に重巡型エクセリオン(重江)へと艦種が変更されることになる。

試験艦エクセリオンが竣工されてから1年を待たずして、戦艦としてのエクセリオンは姿を消すことが確定することになった。

宇宙軍はエクセリオン級が次々と進宙・就役することで既存戦艦が一挙に陳腐化したことで「エクセリオン革命」とかつての英国が起こした「ドレッドノート革命」になぞらえたが、本艦の登場によりそれを遥かに上回るショックを受けることになるのは必然だった。

連合本部も本艦を仮称 「超江級戦艦」として、建造を許可した。

エクセリオン建造のために建造したドックは、オガタの指示により全て10㎞級ドックであったことと、ロングエクセリオンはエクセリオンの全幅と同じであり、多くの部品がエクセリオンと同じであったため、容易に建造可能であった。

また、ロングエクセリオン((なが)江)は哨戒艦隊旗艦などのワークホースとして、別個に採用された。


「准将の無茶ぶりでしたが、何とかなりましたわね」


ミッシェルが紅茶を優雅に口に運ぶ。新型戦艦設計完了を祝して茶会形式でささやかな打ち上げを行うことになった。

艦長代行としてエクセリオンを指揮していたサイジョウ。新方式の通信装置による電子戦兵装の試験を行っていたミッシェル。とある機密実験に志願したニア。連合との調整役として方々に掛け合った天羽。といった馴染みの面子に混じり、エミュレータ部門の長として散々振り回されたサクラや、機動兵器格納庫で「機動兵器実地研究」という名目で扱き使われていたアイやセットもいた。


「実際の現場で見たことから、実戦に最適な機動兵器の模索……アイとセット、よく頑張ったな」


「准将こそ、よく現場の声に合わせた設計にしてくれました」


互いにコーヒーを啜りながら、褒め合う。

機動兵器パイロットがもっとも不安なのは戦闘中の離発着だと語っていた。

いくら各種フィールドで保護されていても、レーザーやミサイルの破片などを100%防げるわけではない。

そんな中を離発着するのは、熟練したパイロットほど怖いものだと語っている。

新人などは敵機との交戦中に撃破されることが多い。だが、離発着時に流れ弾で被弾する数は新人も熟練大差ない。だからこそ、慣れた者ほど離発着が怖いのだ。

それを少しでも安全に離発着できるように、双胴船としてカタパルト部を保護するような作りとなったのだ。

不満としては上方視界がないということだが、それでも「上に盾があるから安全なだけマシ」と言われる程度だ。


「さて、アイとセット、君たちには重大な責務を任せていたが……」


「准将。既に9割8分は出来上がっています。試験機も作成済みです」


「サクラのエミュレータのほうではどうなってる?」


「彼らはなかなかに優秀です。さすがあんな奴れ……過酷な実地研修を耐えられるだけあって、心底から機動兵器が好きなんでしょうね」


(いま奴隷って言おうとしなかったか?)


サクラの言葉に若干の冷や汗を流すも、聞き流すオガタ。

言い換えが過酷と、さして変わらないようだが、両名が満足そうな表情のため深く考えないことにした。


「では聞かせてもらおうか。帝国の新型機動兵器の実力とやらを」


赤い彗星の異名を持つ人の声マネをしつつ、オガタは本題に入ることにした。

初期ガンは名言の宝庫ですよね……

……アイ、セットは「あんなの飾りなんです。偉い人にはそれがわからんのですよ」とは言いませんからあしからず。

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