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第23隻目 対艦隊殲滅兵器を準備せよ!

※この回ではとある製品名が出ますが、私はその会社の関係者ではないということを先に宣言します。


GW終了しましたが、皆さんはどうでしたか?

私はひたすら仕事でした(((

そのため2日で1話掲載とさせていただきました。

今回はエクセリオンの秘密兵器に関してと、とある栄養補助食品に関してです(2つの関連性はありません)

世の中には変わった兵器が数多く存在する。

オガタの前世のころから数多くあった。

有名なのはWW2において、イギリスのパンジャンドラムであろう。珍兵器=パンジャンドラムという定義が成り立つほどの有名だ。他にも戦車より中の人が先にオーバーヒートするカヴェナンター巡行戦車(イギリrya)、大砲が後ろを向いており打つときには操縦手の頭を強打するアーチャー自走榴弾砲(イギrya)や艦橋が右舷よりど真ん中に立つために着艦が極めて困難な空母フューリアス(イrya)などがある。だが、日本も負けておらず、気球爆弾というものを開発し、実際に使用している。高空を吹きすさぶジェット気流に乗せてアメリカ本土を爆撃するというこの爆弾は、実際にアメリカ本土に辿り着いている。

一見すればどの兵器も当時は役に立たないか、無理やり使われた。もしくは机上の空論に終わったものであったが、後に生かされる研究もあった。その一つに終戦間近の日本で開発された、電波を利用しB-29爆撃機などを撃墜する兵器。ただし、実戦配備されずに終戦を迎え、米軍に接収された。

これが活かされたのかは不明であるが、西暦2000年代からアクティブ・ディナイアル・システムという指向性マイクロ波兵器を米国は開発した。表向きこそ非殺傷兵器と謳われているが、その実は照射出力によっては人体などを、一瞬で沸騰させることも可能になる兵器である。

この兵器において実際に人を沸騰させるには、非常に高出力でなければならないが、戦場などに投入するにあたってはサイズ的な限界があったため、殺傷兵器として投入されなかった。

しかしWW3においては山岳や草原での戦闘で、この兵器により草木を「焼く」という使用方法が一部なされ、一定の戦果を挙げている。

では、それを宇宙戦艦クラスにした物を、宇宙戦艦に照射すればどうなるのか。

航宙艦の表面装甲にはチタンやニッケルなどを用いた特殊合金である、その基本的な融解開始温度は2,000℃~3,000℃とやや低い。

これは恒星付近の直近で活動する必要がなく、大気の存在する惑星に突入する際に発生する断熱圧縮やレーザー兵器等は電磁フィールドなどにより防御するのも理由にあげられる。

そのため、超高出力のマイクロ波が航宙艦に照射された場合、表面装甲を成す特殊合金がマイクロウェーブによる発熱性が高い物資であるため、ごく短時間で温度は急速に上昇すると予想される。

表面温度が1000度以上にに達せられれば、熱伝達により艦内温度は数百度に達し、空調では冷却が追い付かず、中の人間や電子機器は茹蛸になる算段だ。

宇宙空間では排熱が困難であるため、排熱用の蓄熱フィンを備えていたとしても、そのフィンすらも加熱されるため冷却は期待できない。

またマイクロ波は通信やレーダーなどでも用いるため、基本的に電磁フィールドや特殊フィールド(この場合、数学的事象誘導域形成フィールドを指す)では遮断されないようにされている。

このことをオガタが電子レンジのチーンで思い付いたのではなかった。思いだしたのだ。無限〇路にでてきた対艦隊決戦兵器を。

その兵器はマップ上のほぼ全域を網羅しており、もし誤ってその照射範囲に入れば即「ゲームオーバー」という過酷な設定であった。

これに幾度となく悩まされた記憶が、あのサイジョウに頭からリバースされた夜に思いだしたのだ。

この兵器そのものは作ることは容易だった。

問題はそれを搭載するためには1㎞近い長さと100m前後の縦、横幅が必要だったことだ。

だが、エクセリオンを7㎞という巨艦にすることで、スペース問題は解消されることになった。いや、搭載するためにこれほどまでの巨艦になったとも言える。

その対艦隊殲滅兵器の実射の命令を、オガタは下した。


「……砲雷長。艦首砲発射準備に掛かれ」


オガタの号令によってその兵器の実射準備が進められる。


「待ってました!」


レルゲン中佐は歓声をあげた。

対艦隊殲滅兵器という、オガタの前世のころの俗語を借りれば『厨二病』まっしぐらの名前の兵器。この実射は待ちに待ったレルゲン達砲雷班の面々は嬉々としている。


「13時5分で照射開始。照射時間は30秒とする」


「30秒!? 跡形も残りませんよ」


レルゲン中佐がさすがにやりすぎだと苦言を呈すが、オガタは気にしていない。


「構わん。蓄電池に送電開始せよ」


こんな天の川銀河の端っこでドンパチしたところで、縮退炉相当の機関を搭載した20万隻もの大艦隊が来なくなるわけではない。

このライラバルとの戦争そのものが、不要な時間の消費であり、血よりも貴重な時間を浪費するのと同義であった。


「了解しました。これより蓄電池への送電始めます」


対艦隊殲滅兵器マイクロウェーブ砲は艦内供給電力を直接供給することもできる。だがそうした場合、他の兵装が一切使用不可になるという最大のデメリットがあった。

宇宙空間の艦隊戦において1秒というのは、日常の1日に匹敵するほどの価値だ。例え1秒だろうと戦闘能力を喪失する時間はあってはならない。その解決策が蓄電池を利用する方法である。

余剰電力があるうちに電気を貯めておくことで直接供給よりも効率は落ちるものの、十分に実用範囲の電力を利用できる。

この時を待っていた砲雷班は、レーダー班と連携して射撃最適目標の割り出しを進めていた。

相対して早2日となるエクセリオンだが、指揮所内に疲労の色はない。

適切な休息を交互にとることと、バイオナノマシンの投与がなされているためだ。

既に前方哨戒を勤める機動兵器は一部の前線観測班を残し、撤収を始め、照射に備える。

残り1時間。

この隙間時間を利用して多くの者が栄養固形ブロックや、経口栄養ゼリーを口にして、戦闘に備える。

その中にはオガタだけでなくサイジョウやミッシェル、また天羽も含まれている。

カロリー〇イトやウィダ〇インゼリーの軍用のものだ。味気ないと評判で、訓練状況によってはこれらを連日食べることもしばしばあり「ディストピアにいる気分だ」と漏らすものがいる。

尤も、オガタだけは本家本元のカロリー〇イト チョコレート味をおやつ感覚で食べていた。


(この時代までよくオオツカグループは生き残れたな。俺の地元が創始者の出身だったかな。まさか1500年以上先も食べ続けられるとは……夢にも思わなかったけどな)


感慨深く食べる中、サイジョウとミッシェルがオガタに擦寄ってきた。

何事かと食べかけていたカロリー〇イト チョコレート味を口内に押し込み、ボトル入りコーヒーのチューブを吸って口内に残っていた物体を流し込んだ。


「准将。私もそれ食べたいですぜ」


「私もですわ。一つ、いえ一口。いや、准将の食べかけがいいですわ」


おねだり。というやつであろう。ミッシェルに関しては相も変わらずストーカーというより病的な発言でるが、慣れたのでオガタはスルーした。

幸いなことに、オガタは私物として各味1000食ずつほどを艦内にストックしてあった。

賞味期限が正味時間で10年間という、オガタの前世時代に比べて遥かに長いがために地球出港前にに一括購入していたのだ。

軍に納入されてるのと違い、味にバリエーションがあるのが特徴のこの栄養固形食。プレーンタイプからチーズ、ポテト、チョコレート、フルーツ、メープル。今ではパイナップル、コーヒー、紅茶、シュガーアンドソルト、ベジタブルがある。

なぜこんなにも種類が多いのに各1000個も買ってしまったのか。

それは単純に睡魔に襲われる中二桁も0を多く発注し、届いた時には出港間際だったためクーリングオフできなかったのだ。


「……私室と艦長室においてある。希望者がいれば好きに配れ」


「え、でも代金は……」


「たかが知れてるし、小銭を持ってこられても勘定に困る」


ぶっきら棒な台詞ではあったが、それから察するのが副長の仕事である。

今時、電子決済も進み、個人間でのアースのやり取りもできるのだ。それをオガタが知らないわけではない。要約すれば「こんなもので士気が上がるなら安上がりだ」といった所だろうとサイジョウは判断した。

オガタとしては在庫処分できるなら安い出費だった。


「了解しました。では希望者に配布しますね」


「あぁ」


オガタは食後の一服と言わんばかりにタバコを吸い始めた。

前世から吸っている変わらぬ味……とはいかないが、それでも高級品となった紙巻きタバコを吸えることに彼は感謝していた。

その紫煙を見ている者がいる。


「……君も食べたいのか?」


「はい。先ほど食べたのは……とても軍隊的な味でしたので」


言外に「不味い」と表現するあたりは聡いものの、まだ幼い故か直截的な言葉だった。


「では口直し……といっても、軍用より少し()()な程度だぞ」


「温食を食べられない現状としては、マシでも()()です」


尤もな話だ。第一種戦闘態勢中は一日に一食しか温食が食べられない。全ての人間が各持ち場に付きっきりになるため、基本的には飯上げ(食堂や厨房から飯を運ぶこと)となるため、この業務も補給となる。

しかしエクセリオンはいまだ地球出港時のままの人数であり、補給関連に至っては定員の3分の1未満だ。

この少人数で1万名の人員の腹を満たすために飯上げを毎回行うことは困難であるため、定員を割っているにもかかわらず1日1食の飯上げをしてくれるだけでも御の字でもあったりする。

そのことを加味しても、やっぱり軍用栄養食は不味いことには違いない。


「それもそうだな」


オガタは軽く首肯するとミッシェルがちらりと見えた。


「(見敵必殺見敵必殺見敵必殺)」


(……ヤバい奴がいる)


最早恒例となったミッシェルの様子だが、触らぬ何タラである。オガタは見なかったことにした。

それと同時にサイジョウと同伴していたMOTOKOなどのロボット十体ほどが戻ってきて、カロリー〇イトが各員に配られていく。

人気だったのはチョコレートやメープル、フルーツやパイナップルといった甘い系統だった。

不人気はチーズとポテトとベジタブルだった。

その中の一つ、チョコレート味を天羽は選び、開封して齧りだした。


「軍用よりマシと仰られましたが、これは美味しいです」


「……温食さえ食えれば一番いいんだけどな」


オガタがそうぼやく。

ミッシェルやサイジョウも食べ始めたらしく、かなり味は良い。

問題はカロリーが1本100カロリー。1箱あたり4本入りのため、一食としてみたときかなり低いカロリーであることだった。


「コンデンサへのチャージ完了」


「よろしい。レルゲン砲雷長、適宜部下を休ませよ」


「了解しました」


砲雷班も休息に入り軍用固形栄養食には目もくれず、オガタの私物固形栄養食に飛びついた。

射撃予定時刻まで残り20分を切っていた。

1000年以上先であれば、フレーバーが増えているでしょう。

むしろ、今なぜコーヒー味や紅茶味がないのかが疑問であります。

……鉄鉱はマイクロウェーブをよく弾く(ぼそ


次回更新予定は5月9日19時ごろ予定です。

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