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第21隻目 自己修復型自律思考ロボットは取調べする!

私にしてはかなり過激な内容です。

2重の意味で15禁です。

グロテスクな描写が御座います。

アダルトな台詞(完全な伏字としておりますので脳内補完願います)が飛び交います。


一応はマイルドには表現していますが、気を付けください。

自己修復型自立思考ロボット。

それが私達の正式名称。自己修復型といっても液体金属ロボットのように、体がバラバラになっても再生できるというわけではない。

胴体内で生産している修復用マイクロマシンで少々の故障などなら直せる。といった程度だからだ。

さて、自律思考型と名がついているが、私達自身、それがなんたるかがわからない。

恐らく、今こうして考えていることが自律思考と呼ばれる所以なのだろう。


我思う。故に我在り。


古代の哲学者、デカルトの言葉を基にして作られた、人工知能よりもより人間に近い思考回路を有する存在。人工知能と異なるのは我々が我々を超える存在を考えることは、人間と同程度しかできないということだ。それが人類が導き出した「スカイネット事件」の答えだった。


I am robot.

I am near human.

I am not human.


私はロボット。私は人間に近い。私は人間ではない。

それが私たちの基本概念であり、絶対的なセーフティ。

ロボットが道具であり、使用者に反抗を行うことはできない。それをさせるとすれば、使用者がそういった使い方をしたときだけだ。

例えば包丁だ。包丁は調理のために食材を切る道具だ。だが、それを人に向かって振りかざせば凶器になる。

例えばロープだ。物を縛るのに使ったり、物を吊り下げたりするためにつかうが、これを人の首に回して締め上げれば凶器だ。

例えばペンだ。文字を書いたり、絵をかいたりする便利な道具。それもまた人に突き立てれば凶器となる。

ありとあらゆる身近な、人間の生活を豊かにする道具達。だがそれは、使用者が適切な用途で使用して初めて便利な道具として機能する。

人間がなぜ人間なのか。自律思考ロボットとして言わせれば、倫理という自らを律する根底的な思想があって、他者と共存できること。これこそが人間を人間足らしめていると、私は思考する。

現在の人間の多くが、その倫理の殻を自ら破ることができない。だからこそ、私はこんな思考をおこなって、こんな使われ方をさせられているのだろう。


「いい加減話してはいかがですか?」


「我々の持ち時間が終わるまでに話していただかないと、我々は手ぶらで帰らねばなりません」


BATOとSAITOが、ある男に言葉を投げる。

数日前に戦闘を行い投降した中にいた紅蓮海賊団の首領である。


「そろそろ普通の痛みでは体が慣れてきてしまっているようだ。TOGUSA。鉄製の縫い針か待ち針、安全ピンでもいい。とりあえず鉄製で先端がとがってるものをかき集めてこい。それとライターと、できれば蝋燭のような長時間燃えるものを用意しろ」


MOTOKOがTOGUSAに命令する。

少し前までは互いに生産番号で呼び合っていたが、いまでは与えてくださった名前で呼び合うようになっている。


「ま、待て。宇宙条約では捕虜へは人道的な扱いをするようになっているぞ!」


「うるさい。宇宙条約では海賊行為は即処刑だ。今回はあくまでも准将閣下の計らいで逮捕したに過ぎない。身を弁えろ」


「だったら、尚更だ! なんだこの扱いは! こんな手錠までつけやがって能面ロボット野郎!!」


この首領。終始こんな様子である。質問に全く答えようとしない。

ラグーン宙域方面軍の警務隊の面々も手を焼いていたため、サイジョウを通して我々が呼び出されたのだ。オガタ准将閣下はなぜか検査入院しているらしい。明日には退院するそうだが、休暇は今日までのはずだ。明日は出港準備で忙しいからだ。

それでやってきた取調室だが、全くもって手緩い取調べだった。

まるでやりまくったゆるゆるの〇〇〇よりもゆるゆるだ。こんなのではピーーを突っ込んでも、なんにも引っかからないから全く気持ちよくない。

いかん。准将から勧められて読んでいる漫画の影響か、ひどく思考が下品極まりないものになった。修正が必要のようだ。

兎も角、人道的観点という倫理が、ゆるい取り調べの原因であるのは理解していたので、入室直後に取りあえず足元に一発、鉛玉をぶち込んでやった。ついでにロープで椅子に縛り上げ、いわゆる肉体言語によって答えを導きだそうとした。

それでも口を割らない辺り、なかなかに肝が据わっているらしい。


「黙れこのふにゃ〇〇野郎。てめーの穴に9㎜弾の座薬をぶち込んでやろうか? あぁ?」


……ダメだ。この男の汚い言葉に釣られて、明らかに私の発言までも下品になってしまっている。

思考だけに留めたいが、無理かもしれない。


「やれるもんならやってみろカオナシが! ロボットの癖に人間にたてついてんじゃねーぞこのボロが」


「てめーが口を割ってから、てめーの〇〇〇にてめーのナニを突っ込んで鉛玉で栓してやる!」


あーもうだめだ。私には集積回路しかないはずだし、血液はない。だがあえて人間風にいうならば、頭に血が上ってしまってる。


「REBECCA。その辺になさい。あまりにも品位が低すぎる」


「こいつ自分の状況が分かってねぇんだから、()()()()()やってるんだぜ」


MOTOKOに釘を刺され、つい口応えをする。

型番で呼び合っていたころと違って「個性」ともいうべきものが私たちの中に出来始めていたのはわかっていたが、自分の発言でもう個性ができていることを自覚した。

口答えされた本人であるMOTOKOはどうやらリーダー気質らしく、リーダーとしての仕事をやってもらっている。


「MOTOKO。言われた通り針とライター。それとアロマキャンドル?っていうのかな。とりあえずすぐ集めれるだけ集めたけど、こんなのどうするんだ?」


「良く集めたわねTOGUSA。そこにおいといて。ついでだけど、監視カメラ、止めるようにお願いしといて。コードがネズミにでも齧られたってことで」


「りょーかい」


戻ってきたTOGUSAは大量の縫い針と待ち針を机に置いた。中には直径2㎜ほどの一寸釘まであるようだ。

そしてライターと、アロマキャンドルが10個ほど。

私はMOTOKOが考えていることが分かってきた。故に、MOTOKOもやはりオガタ准将のやりそうなことをよく理解しているとも思った。


「宇宙条約によれば、海賊行為はご法度。即処刑。けど抜け道があるの」


MOTOKOがキャンドルに火を灯していく。


「警務隊さんは、初めから監視カメラ止めてるそうです」


TOGUSAの報告に頷いて答えるMOTOKO。

右手には一本の針を摘み、左手は首領の右手首をがっちり掴んでいた。


「司法取引。貴方が背後(バック)を喋ってくれたら、残りの御仲間も痛い目を見ることなく、死なずに済むでしょうね」


その中指に針を一本、そっと沿わした。


「や、やめろ!やめろ!!」


「やめろじゃ、わからない」


首領の右中指の爪と肉の間に針が突き刺さった。私には痛覚は分からないが、人間は激痛を覚えるらしい。

その証拠に首領は軽く悲鳴を上げた。だが、意地でどうにかかみ殺していた。


「っっっ!!! お前ら。タダで済むと思うなよ」


「あらあなたこそタダで済むと思ってるのかしら。2本目はどれにしようかな。天の神様の言う通り。鉄砲撃ってバンバンバン。柿の種。撃っても撃っても、あ、た、ら、な、い!」


「ぁっっっ!」


またしても上がる小さな悲鳴。

その間に私はキャンドルを片手に持って、空いてる手で針が付き立ってる腕をガッチリ掴んで固定した。


「炙ります」


こういう時、やはり道具として使われているためか人間でいうところの罪悪感というものはない。

罪悪感というのは罪の意識があるから働くのであって、罪の意識がなければ働かない。だからこそ、我々にはピッタリの仕事であろう。


「おい。止めろ。止めてくれ」


「次はピーーにぶっさそう。きっといい感じに()()()はずだ」


飛び出た部分が徐々に熱を帯びてきたようで、タンパク質が焦げたときに出る物質を空気中から検出した。


「何度も言うけど、下品すぎる喋り方は止めなさい。……けど名案ね。全部の指が終わったら、そうしましょうか。炙りが済んだら神経が焼き切れて、痛みを感じなくなるでしょうから」


「わかった。話す。全部話す。だから勘弁してくれ!!!」


首領が涙を流しはじめた。

涙をさっと成分分析して、嘘を言うときにでるホルモンがないか調べたが、なかった。

あとは脈拍数、脳波、呼吸などを調べたが、嘘は言っていない。


「とりあえず、せっかく準備したから、やりながら話してもらいます。安心してください。死にませんから。多分」


即座に自供を始める首領である。

我々は准将のあの試験をパスしたのだ。あれに比べればまだまだ緩いと私は思っているが、どうやらそれは我々がロボットであるからのようだ。

お陰で後始末に来た警務兵から小言を言われた。

自供の裏取りをラグーン方面軍警務隊に任せて、我々は自供情報を手土産にエクセリオンに戻ったのだった。

もっと過激な方法もあるのですが、遠慮しました。

指先の触覚が最も優れているのは、刺激を感じる神経が多いためです。そのため僅かな痛みでさえも過敏に感じます。

決してこの方法は冗談や遊びでも、やってはいけません。非常に危険です!

下手すれば激痛によりショック死する可能性がありますので、絶対にしてはいけません。

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