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第二節

始業式

謎の男と会った次の日、悠一が通っている清明高校の新学期が始まった


あの後結局何も起こらなかったのだが、悠一は袱紗を捨てられずにいた


はぁ~・・・どうしたものかな


しばしの憂鬱。しかしそんな時間も長くは続かなかった


「新学期早々暗い顔をするな。悠一の親友で尚且つイケメン・天才・格好いいと三拍子がそろったこの俺様、白石剣様がいるっていうのによ」


イケメンと格好いいってほぼ同じ意味じゃないか?

剣は昔からの幼馴染でいわゆる腐れ縁と言う奴だ。まあ昔からでない幼馴染がいるのかどうかは知らないが


「些細な事は気にするな。それよりもどうしたんだ?なにか夏休み中に悪い事でもあったのか?」剣は昔から勘が鋭い


まあ、悪い事っていうかどちらかというと良い事かもしれないんだけどさあ・・・


「まあ、暗い顔って言う事は何かあるんだな・・・」


はあ・・・


まったりと会話は進む


しかしこんなどんやりとしたやり取りを新学期のハイテンションな雰囲気が見過ごす訳がなく、色白とメガネの二人連れが近づいて来たりするわけだ。


実は悠一は色白の方に少し好意を持っていたりするのだが

そんな事も勿論関係あるはずがなく、いつの間にか目の前までやってきてしまった


「ゆーいち、なんか不機嫌そうな顔をしている」と色白

「ねえ、なんかどんよりしてない」とメガネ


「おやおや、これは2-Cの大和撫子こと伊藤由美ちゃんと品行方正かつ清楚な美少女佐倉優子ちゃんじゃないですか」


不機嫌そうな顔は生まれつきだ、悪かったな

この二人の内、色白こと伊藤由美は俺と剣と幼稚園からの付き合い。メガネこと佐倉優子は中学校からの付き合いだ


「ゆ~いちはそこのバカよりずっと可愛い顔をしてるよ」由美は微笑んだ。まるで鈴蘭のような笑みだ。


そ・・・そうかな。ありがとう


「一つだけ言わせてもらおう。おれはバカじゃないし、それに悠一よりイケメンだ」と食い下がる剣


どこが一つだけなんだ?・・・やっぱりバカなのか?


「ばかって言・・


「ハイハイ、お喋りはそこまで。今から始業式だから早く講堂に行ったいった!」


前の学年から引き続き担任になった30才独身貴族様の百合先生は続けた


「ほらほら、遅れるぞ」


「じゃあね、悠一君・剣」二人の美少女は去っていった


「なあ、何故に俺だけ呼び捨て?」

一人の男の呟きが宙を舞った。


「起立! 礼! これにて本年度の始業式を終了する! 着席!」


校長先生のうっかり眠ってしまいそうな恒例の長い演説を聞き流している内,

始業式は終わった。


「あの、百合先生。」

「はい校長先生なにかありましたか?」

「お見合いの話なんですけれど」

「いや、いま結婚はちょっと・・・」


ただ一人を残して。



「百合先生は校長先生と大事な話があるということなので変わって副担任の私が終礼をする事になりました」

こちらは昨年も副担任だった29才で二人の子を持つ山崎先生だ


「それでは、皆さん。夏休みも終わったので気を引き締めてこれからの学校生活を送ってください 以上!」


「起立!」

「礼」


まだざわめきが残る教室の中美少女二人がまばゆい光を放ちながらこちらに近づいてきた。

勿論伊藤・佐倉の二人組だ


「ねえ、ゆーいち・剣どうせ暇なんだし一緒にカラオケ行かない?」と伊藤

「ねえ、いいでしょ宿題も終わってるよね」と佐倉も誘う


まあ、宿題は終わってるし

そう答えつつ後ろの剣を見ると・・・


「おうよ!宿題もとうぜん終わってるしな!」


心なしか吹っ切れた表情の剣も答えた


「じゃあ、行きましょ」


そして僕たちはカラオケに行った


ジュースを運んでいる時に剣がひっくり返してあわや大惨事になりかけたり、俺と剣がノリノリでデュエットをしてドン引きされたり、なんやかんやあってあっという間に三時間がたってしまった



「楽しかったね」

「おうよ!また来ような」


特に何も変わった事も起こらずに解散した


変わっている事といえば時折剣が何か苦しそうな顔をしていた位だ


「じゃあね。ばいばい~」

「バイ」


女子二人と別れを告げた後の帰り道、俺は剣に深刻な顔で相談を持ちかけられた


「なあ、お願いがあるんだけど」


どうかしたのか?

いや、なんとなく予想はついてはいるがな


「実はまだ宿題が終わってないんだ。スマンこの通りだ。お前の宿題移させてくれ」


予想どうり。というか一体どの通りなんだ?

まあ、分かってたよ。ほら、これだ。明日返せよ


「ありがとう。やはり持つべきものは親友だな。親友は持ちつ持たれつだ」


お前が僕になにかしてくれたことがあったっけ・・・


「親友。細かい所は気にするな。じゃあまた明日」


「バイ」


そうして一日が終わった


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